2026.0929

「職業に対する志の高さ」など、専門学校教育の価値を再確認―進研アドセミナー

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3行でわかるこの記事のポイント

●東京と大阪で開催、経営幹部や広報担当者が高校教員とも交流
●高校、企業との連携による"人財育成"など、先進的な取り組み紹介も
●不足する現場専門職の育成は専門学校の得意分野

専門学校は自らの価値をどう定義し、それを高校にどのように発信すべきか―。進研アドは9月18日に東京、25日には大阪で、対面の専門学校向けセミナー「ベネッセが考える、専門学校の新しい価値とは?-偏差値からキャリアへ。進路選択を変えていく」を開催した。両会場合わせて約120校から専門学校の経営幹部や広報担当者など165人が参加。専門学校ならではの価値形成の取り組みや、高校現場が求める情報について耳を傾けた。高校の進路指導担当者を交えた情報交換会にも多く参加し、相互理解を深める場となった。東京でのセミナーの内容をダイジェストで紹介する。

*参加者から好評をいただき、問い合わせも多数いただいているため、東京、大阪でのセミナーを収録した動画を配信します。
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専門学校のリソースは社会とのつながりを実感させるうえで有効

東京での専門学校向けセミナーは以下の内容で開催された。
◇ベネッセ教育総合研究所・佐藤昭宏主席研究員による情報提供
◇学校法人小山学園東京テクニカルカレッジ・白井雅哲校長の基調講演
◇都立蒲田高校進路指導部主任・淺川貴広教諭、三浦学苑高校(横須賀市)入試広報委員長・佐々木綱衛教諭へのインタビュー動画
◇進研アド専門学校支援部の松本晴輝部長(ファシリテーター)、佐藤主席研究員、白井校長によるパネルディスカッション

冒頭で登壇したベネッセ総研の佐藤主席研究員は、18歳人口の減少や労働力供給不足の見通しを示したうえで、高等教育や高校改革をめぐる行政の動向を解説。その中で掲げられている「学ぶことによるワクワク感」「社会とのつながりの実感」を与えるためには、専門学校のリソースやノウハウが求められると述べた。

知識やスキルをさまざまな形でアウトプットする機会を提供

東京テクニカルカレッジの白井校長は、社会で活躍する力を育てるために、「わかる」にとどめず、「できる」ようにする教育に注力していると説明。「わかる」を徹底するための独自の教学マネジメント「コヤマ式教育システム」などを紹介した。

修得した知識やスキルを活用する場として、学生が学科ごとの専門性を持ち寄って学校のカフェを完成させたり、学生マンションのリノベーションを担ったりと、さまざまなアウトプットの機会を設けているという。

神奈川工業高校、清水建設との高専産(高校・専門学校・企業)連携で7年間の人財育成プログラムに取り組む「次世代建築リーダー育成コンソーシアム」にも触れた。学びと仕事が分離している中、生徒や学生にキャリアパスを示して現場専門職の担い手を増やす試みだという。
白井校長は「AIが知的労働を代替する一方で現場を調整できる技術職が不足しているが、その育成こそ、専門学校が得意とするところだ」と指摘した。

専門学校生は日々職業観を学び、使命感を高める

高校教員のインタビュー動画では、専門学校に求める情報として、淺川教諭と佐々木教諭がそろって「希望通りの就職ができないなど、『うまくいかなかった時にどんな支援をしているか』」を挙げた。活躍する学生の情報もさることながら、そうではない学生がどのように軌道修正できるかわかれば、生徒も保護者も安心できるという。

さらに、「学力によって大学・専門学校を線引きするような指導はしない」「目的を明確にできた生徒ほど専門学校で大きく成長している」といったことも、両教諭が指摘した共通点だ。「なぜその道を選ぶのか」を自分の言葉で説明できるかどうかで進学後の姿勢が違ってくるという。

淺川教諭はさらに、同じ分野の専門学校同士を比較できる情報を提供してほしいと要望。また、「不登校が増える中、高校側は送り出して終わりではなく、生徒が継続的に学べるよう、一人ひとりの情報を引き継ぐような専門学校との連携が大事になる」と述べた。

佐々木教諭は、大学進学者との比較における専門学校進学者の強みとして「職業に対する使命感や志の高さ」を挙げた。「母校を訪れる学生は、もうその分野のプロのような顔をして、プライドを持っている。専門学校で日々、職業観を学んでいるからだろう」と、「専門学校の価値」について示唆に富む指摘をした。

多様な選択肢を示す進路指導への転換を

パネルディスカッションでは松本部長の問いに、佐藤主席研究員と白井校長が答えた。

これからの進路指導や進路選択のありかたについて、佐藤主席研究員は「大学か専門学校かという選択をさせる進路指導を変える必要がある。学び方を複線化したうえで、一人ひとりのライフプランの中でどんな順番で学ぶのがいいか考えさせ、多様な選択肢があることを高校生のうちから知ってもらうことが大切」との考えを示した。一方、白井校長は「18歳で進路を決めるのは難しい。専門学校にできることの一つは、リカレント教育の体制を整え、失敗しても学び直しができるようにすることだ」と述べた。

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「高校教員と本音で話せる有益な場」との感想も

情報交換会には、インタビュー動画に登場した高校教員も参加。専門学校の広報について「高校の現場にどう伝えるか」「生徒・保護者にどう伝えるか」「限られた人と予算で、どこから手をつけるか」などのテーマについて意見を交わした。
参加者の一人は「普段、高校の先生と本音で話せる機会はほとんどないので、有益な場になった」と話した。

25日の大阪会場では、学校法人修成学園の山下裕貴理事長による基調講演のほか、いずれも府立の守口東高校と枚方津田高校の教員がインタビュー動画で登場した。

*参加者から好評をいただき、問い合わせも多数いただいているため、東京、大阪でのセミナーを収録した動画を配信します。
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<記事のふりかえり>

Q:専門学校で大きく成長する学生の共通点は?
A:専門学校で大きく成長する学生の共通点は、進学前に「なぜその道を選ぶのか」を自分の言葉で言えること。目的を明確にできた学生ほど、専門学校で大きく成長している

Q:高校教員が専門学校に求める情報とは?
A:高校教員が専門学校に求める情報は、うまくいかなかった時の支援に関すること

Q:専門学校は高校、企業と連携してどんなことができる?
A:専門学校は高校、企業と連携して生徒や学生にキャリアパスを示し、現場専門職の担い手を増やす取り組みができる。


2026年9月取材
文・株式会社進研アド(ベネッセグループ)
真境名妙子(事業企画部)