三幸学園の美容系専門学校から韓国の大学への編入制度がスタート
専門学校
2026.0716
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3行でわかるこの記事のポイント
●単位互換制度の下、専門学校での2年間の学びを大学が評価
●短大と四大、いずれの卒業資格も取得可能
●在学中の韓国の美容師国家資格取得、卒業後の就労の可能性も
学校法人三幸学園は韓国・ヨンソン大学と教育提携(単位互換協定)を結び、美容系専門学校の卒業生が、同大学の2年次に編入できる単位互換・編入制度を創設した。美容を志す学生の大学進学や海外留学、韓国美容のハイレベルな技術修得を後押しする連携だ。単位制が大学との単位互換を可能にし、学生の進路選択肢を広げたという点でも注目される。
🔗学校法人三幸学園は、美容、保育・教育、調理・製菓、スポーツなど各分野の専門学校を全国で展開。傘下には東京未来大学、小田原短大のほか単位制広域通信制高校、中学(学びの多様化学校)、保育園などもある。
2026年6月、同学園は韓国のヨンソン大学と、単位互換・編入制度に関する教育提携(単位互換協定)を締結した。東京・名古屋・大阪をはじめ全国に12校あるビューティーアート専門学校および🔗ビューティー&ブライダル専門学校(いずれも2年制)の卒業生を、ヨンソン大学が2年次編入で受け入れるという内容。
専門学校での2年間の履修を同大学の1年次の履修と同等と見なす単位互換に基づく受け入れだ。2027年3月の卒業予定者から対象となる。
一般的に、専門学校卒業後に海外大学に進学する場合、通常の入試を受けて1年次から入り直すことが多い。編入の場合は、専門学校での修得単位について確認を受け、個別に判断されるなど、ハードルが高い。
今回の新制度は、専門学校のカリキュラム全体の履修による学修成果を大学側が認定するという合意に基づくものだ。「学校間の協定なので学生が自分で留学先を探す必要がなく、入学願書をはじめとする書類の準備においても、両校から支援を受けられる」。2025年度まで法人内の美容部門統括担当を務め、現在は千葉ビューティー&ブライダル専門学校を担当する職員の岸本拓也氏はそう話す。
ビューティーアート専門学校・ビューティー&ブライダル専門学校には、美容師養成学科をはじめメイク、ネイル、エステ、ブライダルなど関連分野の学科がある。
一方のヨンソン大学はソウル近郊にあり、総学生数6000人ほどが学ぶ総合大学だ。
三幸学園の専門学校卒業者は同大学のビューティースタイリスト科の2年次に編入でき、ヘアデザイン、メイクアップ、スキンケアの3専攻の中から一つ選択して学ぶ。
編入して1年間学んで修了すると、短期大学士を取得できる。さらに3年次、4年次と進んで学士号の取得をめざすことも可能だ。専門学校志望で、「将来的には大学卒業資格を取得したい」「海外留学したい」という高校生に、現実的な選択肢を提供する制度と言えよう。
ヨンソン大学在学中に韓国の美容師国家試験を受けることができ、卒業後の韓国での就労ビザ取得についても大学の支援を受けられる。日本と韓国、双方の資格を取ってそれぞれの現場で経験を積むなど、キャリア形成の可能性が広がる。
「韓国の美容師国家試験はヘアだけでなくメイクやネイル、皮膚美容(エステ)の分野もあり、実務技術のレベルが求められる」(岸本氏)といい、その資格取得は技術力の高さの証明となる。
ヨンソン大学は編入希望者に対し、原則として韓国語検定(TOPIK)3級(日常生活の基本的なコミュニケーションが可能なレベル)の取得を求め、編入試験では韓国語による面接等を課す。試験は面接中心で学力試験の負担はないという が、「卒業までには、日本の大学と比べてかなりの勉強が必要になると聞いている」と岸本氏。
入学時期は3月と9月の2回あり、韓国語にある程度自信があれば専門学校卒業と同時に3月の編入も可能だ。語学力を高めたうえで9月、または翌年3月に編入するという選択肢もある。
同大学では、授業を十分に理解できるよう留学生にはTOPIK 4級の取得を推奨。学内で、韓国語の修得を支援する有料サービス(語学堂)も提供している。一方の三幸学園も、国内の外国語学校と提携し、美容関係の専門用語もカバーする留学レベルの韓国語講座を、在学生が割安で受講できる支援制度をスタートさせる予定だ。
ヨンソン大学には、留学生対象のさまざまな支援制度がある。三幸学園からの編入生には、TOPIKの取得級に応じて入学時の学費を30%~70%減免する制度を適用。学生寮も完備している。
三幸学園グループ内の高校から同大学への進学実績もあるという。留学経験者から学業や生活面についてヒアリングをしたうえで、岸本氏は「安心して留学できる環境が整っている」と説明する。
ヨンソン大学との基本合意がなされた2026年2月、三幸学園が就職活動を始めていたビューティーアート専門学校・ビューティー&ブライダル専門学校の学生に編入制度について説明すると、10人前後が「編入したい」と手を挙げた。
「全国12校で1学年4000人いるが、例年、大学進学希望者は0.5%いるかどうか。同じ企業に10人就職することも滅多にない中、海外留学、かつ同じ大学に10人規模というのに驚いた。『K-Beauty』と呼ばれる韓国美容への若者の関心の高さは知っていたが、それを専門的に学びたいというニーズもかなり高いことを実感した」(岸本氏)。
編入希望者のうち、2027年3月のストレートでの編入希望は少数で、多くは韓国語の力をつけたうえで同年9月の編入を希望している。
オープンキャンパスで来校する高校生や、高校訪問で会う教員 にも「専門学校卒業後のキャリア形成のオプション」として、編入制度を紹介している。
今回新設された編入制度は、従来型の留学制度とは異なる。単位制によって担保される専門学校の2年間の学修成果を大学教育に接続し、学生の進路選択肢を広げる教育モデルと言える。就職が中心だった専門学校卒業後の進路に、「海外大学への進学」「学位取得」「国際的なキャリア形成」という新たな選択肢がより現実的なものとして加わったわけだ。
専門学校は2012年から、従来の授業時数制を単位制に変更できるようになり、三幸学園では2019年度、美容系専門学校に単位制を導入した。
「学生にどのような力を身につけさせるか」という学修成果に着目した単位制は世界標準の仕組みだ。ヨンソン大学は、ビューティーアート専門学校、ビューティー&ブライダル専門学校での学修が自学の求める水準に達していると認定し、編入の受け入れを決めた。
「調理や製菓の分野もそうだが、美容系は技術修得のために開講科目のほぼ全てを履修する必要がある。単位制になっても『興味がある科目を選んで受ける』というわけにはいかず、学生側から見ると授業時数制(学年制)とほぼ変わらない。そうした中で今回の制度は、単位制が目に見えるメリットを生み出したと捉えている」(岸本氏)。
岸本氏によると、ヨンソン大学は編入受け入れ対象校の要件として、国際交流に積極的なことを考えていたという。海外の教育機関や美容関係団体から研修生を受け入れるなど、多様な国際交流を展開していた三幸学園がこれに合致。
さらに、専門学校の一部カリキュラムが国際的な技能認定機関・City & Guildsの認定を受けていること、最新の実習設備をそろえていること、そして「自ら考え自ら行動することで社会に貢献する人物」という学園の人材育成像も評価されたようだ。
三幸学園ではこれまで、各種教員免許取得の支援を目的とした大学・短大との連携はあったが、単位互換に基づく連携は国内外の大学を通じて今回が初となる。今後は特に、海外の教育機関との連携を推進したい考えだ。
「美容に加え調理や製菓の分野でも、学生一人ひとりの可能性を広げる国際教育の充実を図り、世界で活躍できる人材の育成をめざす。ヨンソン大学とは、専門技術を持つ教員の技術交流や教授法に関する学び合いを進めていきたい」(岸本氏)
文・大谷照夫(専門学校支援部)
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