文科省が地方中小規模校の教育支援で45校を選定、構造改革に期待
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2025.0127
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3行でわかるこの記事のポイント
●人材育成機能強化に向け、1校あたり1000万~2500万円を支援
●2025年度は新たに5校の選定を想定
●今回、大学間連携による運営効率化支援は4グループを選定
文部科学省はこのほど、私立大学等を対象にした経営改⾰⽀援事業の選定結果を発表した。教学改革が対象の「メニュー1」で選ばれた45校は、収容定員2000人以下の大学が大多数を占める。地域の将来ビジョンを見据えた改革によって、地域に必要不可欠な教育機関としての機能強化を図ることができるか、5年間の継続支援による成果が注目される。2025年度の新規募集も予定され、申請をめざす大学には今回の選定結果をふまえた実効性ある計画が求められる。
🔗文科省の発表
🔗新たな私大支援事業-「教育改革」は中小規模校中心に45校程度を選定
*記事中の表は文科省の発表資料から引用
私立の大学・短大・高専に経営の構造転換を促すことを目的とする文科省の新事業「少⼦化時代を⽀える新たな私⽴⼤学等の経営改⾰⽀援」には、教育・研究の改革を支援する「メニュー1」と、大学間連携による運営の効率化を支援する「メニュー2」がある。いずれも原則、5年間の継続的支援がなされる。
メニュー1は111校の申請の中から45校(大学32校、短大13校)が、メニュー2は8グループの申請の中から4グループ13校(大学10校、短大3校)が選ばれた。
メニュー1は、地方の中小規模大学が主な対象。社会や地域にどのような専門人材がどの程度必要になるかという予測に基づく学位プログラムの見直し等、人材育成機能強化に向けた経営改革を支援する。
全国を10ブロック、取り組み分野を7類型にそれぞれ分け、各ブロック、各類型とも1校以上が選ばれた。45校のうち、収容定員2000人以下が40校と大多数を占めた。
ブロック別、取り組み分野別の選定校数は下表の通り。
1校あたり1000万~2500万円程度(加えて一般補助による増額)の支援が予定されている。
「観光・地域振興」の分野で選定された宮崎学園短大は、「宮崎県唯一の短期大学がキラリと光る教育力日本一の短期大学へ~教育・経営改善プロジェクト~」に取り組む。地元・宮崎の教育資源を最大限に活用した人材育成と、徹底した組織・業務改革による教育研究活動および学生募集の充実を柱に、改革を推進。自治体や地元企業との連携強化によるカリキュラムの構築を実現する。また、学内のDX化によって生まれる余力をあてる形で、最優先課題である教育の充実、定員充足などの経営改革に取り組む。
「国際」分野で選定された長崎外国語大学は、「新学科・国際日本学科(仮称)設置」「専門教育カリキュラム改革等による国際性の尖鋭化」の2本を事業の柱に据え、多言語多文化グローバル人材の育成機能を強化。外国人労働人材需要の増大が見込まれ、交通網整備や誘客施設開発等による東アジアを含む広域経済圏との連携を志向する長崎県の将来を見据え、変わりつつある地域社会の人材ニーズに合致した人材の育成を図る。
「人文・社会」分野で選定された京都光華女子大学のテーマは「全学ハブ拠点学部設置による健康・未来創造キャンパスの実現」。2026年の設置を構想中の社会学部社会共創学科(仮称)では福祉・健康分野と社会問題の包括的な教育を行い、幅広い社会科学的手法によって社会に貢献する人材を育成。同学科を全学ハブ拠点とし、学部間や地域社会との連携カリキュラムを展開して「Well-Beingな未来のための健康・未来創造キャンパス」をめざす。
「その他」の分野で選定された香川短大は、「青い国・四国瀬戸内まるごと留学」をテーマに掲げて改革に取り組む。四国各県での体験を通じて企業が期待する広い視野、多様な視点、想像力、実践力などを身につけられる教育環境を整備。編入学や国内外留学を支援し、専門分野の知識・技能の向上を促してグローバル社会で活躍できる人材の育成を目指す。
メニュー2では、特に小規模大学にとって負担が大きく、改革の阻害要因になっている管理・運営業務の改善と効率化を支援する。複数大学間でリソースやシステムを共有して効率化・高度化を図り、各大学が個別に力を入れることの選択と集中につなげるねらいがある。
桐蔭横浜大学(神奈川県)、昭和音楽大学(神奈川県)、桃山学院大学(大阪府)、西九州大学短大部(佐賀県)をそれぞれ代表校とする4つの各選定グループに対し、3500万円程度の支援がなされる。
昭和音楽大学は東京音楽大学(東京都)、平成音楽大学(熊本県)と共に「音楽大学アライアンス協定締結による学校運営及び教学改革事業」に取り組む。
文科省は2025年度もメニュー1で5件、メニュー2で5グループを新規に選定すべく、予算案では2024年度より4億円多い24億円の事業費を計上している。