2026.1008

穴吹学園が韓国の大学との連携協定で短期研修、編入学制度をスタート

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3行でわかるこの記事のポイント

●単位制によって連携が実現、大学寮や奨学金で優遇される
●「グローカル人材育成」「学生の選択肢拡大」の課題解決を図る
●海外大学の学士取得の道を開き、キャリアの可能性を広げる

地方の専門学校でグローバル人材の育成は可能か―。瀬戸内地方で専門学校を展開する穴吹カレッジグループ(穴吹学園)は、この問いに答えるべく、韓国の祥明(サンミョン)大学と教育連携協定を締結、短期語学文化研修や編入学、交換留学制度を始める。「グローカル人材の育成」「学生の選択肢の拡大」という2つの課題の解決を図る。


提携先には漫画アニメの学部のほか日韓文化コンテンツ専攻も

🔗穴吹カレッジグループは瀬戸内地域を代表する総合専門学校グループで、本部のある高松市をはじめ、徳島市、広島県福山市・広島市をそれぞれの拠点として専門学校を展開する3法人で構成。IT、調理・製菓、美容、建築、デザイン、マンガ・ゲーム、保育、医療・福祉、動物、自動車整備、ビジネスなど、幅広い分野をカバーしている。せとうち観光専門職短大のほか、通信制高校も運営する。

韓国・祥明(サンミョン)大学との教育連携は、3法人が運営する12の専門学校とせとうち観光専門職短大の学生が対象となる。

祥明大学は、ソウルキャンパスに教育学系、経営系、理工系などの学部、天安キャンパスには強みとする写真、漫画アニメーション、デザイン、舞台芸術・映画・文化芸術経営などの学部を設置。穴吹学園の専門学校と重なる分野も複数ある。

日本人留学生に人気の日韓文化コンテンツ専攻があり、ソウル市内で韓国語教育専攻に外国人学生を受け入れる数少ない大学の一つでもある。ソウルキャンパスは立地が良く、大学寮や受給要件が比較的緩やかな奨学金制度を設けるなど、留学生の受け入れに積極的だ。

連携協定を担当する穴吹カレッジグループ本部経営企画部の池下慎一郎氏は祥明大学について、「都市部の中堅私立総合大学で、編入学によって取得できる学士のポテンシャルが高いと考えた」と話す。

短期研修は韓国語学習とK-POPダンスなどを体験するプログラム

穴吹学園と祥明大学との教育連携は、①短期語学文化研修、②編入学制度、③交換留学を柱とする。

まず、2027年3月に専門学校と短大の1年生を2週間の短期語学文化研修に送り出す企画が進んでいる。午前中は韓国語研修、午後はK-POPダンスなどの文化体験でプログラムを構成。祥明大学は同様のプログラムで他の国や学校からも学生を受け入れているが、穴吹学園で15人以上の参加者が集まれば独立したクラスを設け、プログラムのカスタマイズにも協力するという。
2週間の滞在で学費、滞在費が計15万円前後に収まるよう調整中だ。

編入では韓国語能力試験のレベルに応じ授業料を免除

2028年度からは、専門課程(2年制)から祥明大学の3年次への編入学制度をスタートさせる。2027年9月頃に希望者を募り、学内選考をする予定だ。

学校推薦として出願し、祥明大学での選考は書類選考と面接など、簡素なものになる方向。編入時点での韓国語能力の基準は設けない。編入後、大学が提供する無料の韓国語講座を受けるなどして力を伸ばしてもらう。
韓国語能力試験(TOPIK)のレベルに応じた祥明大学の奨学制度として、3級(日常会話レベル)で授業料の40%、4級で70%が免除される。連携協定によって、大学寮に優先的に入ることができ、寮費も最初の半年分が免除される。

3年制のせとうち観光専門職短大からは、4年次への編入が可能になる。

韓国語も学べる日韓文化コンテンツ専攻を主な編入先として想定するが、学校推薦があれば、専門学校での専攻と関連する分野の学部への出願も可能だ。

短期語学文化研修については、祥明大学との相互交流も進めたいという。グループ内の日本語学科が連携し、「語学研修+文化体験」のプログラムをつくることも検討。瀬戸内の風土と穴吹学園での学びに触れてもらい、日本語学科、さらには専門学校各学科で留学生としての受け入れにつなげたいと考えている。

短期語学研修と編入学制度で連携の土台を固めたうえで、次のステップとして交換留学制度について検討する。

学生からは「専門学校の2年間は短すぎる」という声

穴吹学園にとって今回の連携協定の背景には、「グローカル人材の育成」「学生の選択肢の拡大」という2つの課題があった。

東南アジアをはじめ、海外での学生募集を担当した経験がある池下氏は、「日本以外の多くの国では、若者が学校卒業後に留学や海外での仕事を経験する。自分の国から出たことがないまま新卒一括採用で職に就く人がほとんどという国は日本ぐらいで、このままでは今後、国力に大きな差が出かねない」と話す。

「YouTubeや映像だけでなく、実際に自分の肌で感じ、学んだ言語を操って外の世界を知る―日本の若者にはそうあってほしいし、チャンスさえ与えられれば挑戦したいという気持ちはあるはずだ」

穴吹学園では専門分野ごとに、韓国での美容研修、沖縄のホテルでのインターンシップなど、学んだことを実地で試す機会を設けていて、毎年多くの希望者が集まる。参加した学生はめざましく成長し、その後のモチベーションが全く違うという。

「学生からは『専門学校の2年間は短すぎる』という声が多く聞かれる。1年次終盤から就活が始まり、2年次もずっと続いてあっという間に卒業なので『物足りない』と。専門学校で学んだことを大学でさらに深め、海外や日本の学士を取得してキャリアの可能性を広げるという新たな選択肢を提供したい」(池下氏)

これら2つの課題をまとめて解決する手段が、海外大学との教育連携だった。若者が親近感を持ち、美容研修の実績もある韓国で提携先を探していたところ、同じ地方専門学校として情報交換している東北の学校法人から、祥明大学を紹介された。

「専門学校ならではの編入ルートを増やし、選ばれる学校に」

これまで、専門学校卒業後に海外大学に進学する場合、通常の入試を受けて1年次から入り直すのが一般的だった。2026年度の制度改正によって専門学校に単位制が導入され、国際標準の指標で学修成果を示せるようになったことが、穴吹学園から祥明大学への編入制度実現につながった。

穴吹学園は今後も韓国の他大学や台湾の大学など、編入学の連携先を確保したいと考えている。

国内大学との連携にも力を入れる方向で、現在は、専門学校に在籍したままオンラインで大学の授業を受けられる併修制度の導入をめざし、大学との交渉を進めている。池下氏は「経済的な事情で大学進学を断念した学生や、専門的な勉強を継続したい専門学校生が地方でも学士を取得する道を開きたい」と話す。

池下氏が穴吹学園について説明する時、よく口にするキャッチコピーは「せとうちから世界へ」だ。
「『東京や大阪で学ばなくても、18歳で大学に進まなくても、地方から世界に飛び出しチャレンジするチャンスはある』というメッセージを込めた。18歳人口の減少で専門学校、とりわけ地方の学校を取り巻く環境は厳しいが、何もしないで縮小に向かうわけにはいかない。専門学校ならではのやり方で編入学のルートを増やし、『こんな選択肢もある』と示すことによって、選ばれる学校であり続けたい」(池下氏)。

<記事のふりかえり>
Q:専門学校から韓国の大学に学生を派遣する短期研修のプログラム案は?
A:専門学校から韓国の大学に学生を派遣する短期研修のプログラム案としては、午前中は韓国語研修、午後はK-POPダンスなどの文化体験で構成する内容などが考えられる。

Q:専門学校は「2年間では短すぎる」という学生のために、どんなことができる?
A:専門学校は「2年間では短すぎる」という学生のために、国内外の大学と連携して編入学制度を設け、学びの幅と深さを拡張することなどができる。

Q:専門学校にとって海外大学との連携協定は、留学生派遣においてどんなメリットがある?
A:専門学校にとって海外大学との連携協定は、学校推薦で留学生を派遣するため、簡素な入試、大学寮への優先的入居や寮費免除、奨学金制度の適用などのメリットが得られることがある。


2026年9月取材
文・株式会社進研アド(ベネッセグループ)
事業企画部・真境名妙子