定員割れの私大は過去最多の59%、全体の充足率も過去最低
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2024.0920
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3行でわかるこの記事のポイント
●規模別では入学定員1000人以上の3区分のみ充足
●三大都市圏全体で初めて未充足に
●都市部でも小規模大学の厳しい募集状況が鮮明に
私立学校振興・共済事業団はこのほど、2024年度の入学志願動向調査の結果をまとめた。私立大学全体の入学定員充足率は前年の99.6%より1.4ポイント低い98.2%で過去最低。2021年度に初めて100%を割り、翌年度は充足したが、その後2年続けて未充足となった。定員割れの大学は34校増えて354校、全体の59.2%を占めて過去最高となった。
*🔗調査結果
*表やグラフはいずれも私学事業団の資料より
2024年度入試の対象となった18歳人口は約106万3000人で、対前年指数は96.9。
私学事業団の調査では、私立大学598校(前年から2校減)の入学定員や志願者数、合格者数、入学者数などを集計し、分析している。
各数値と対前年指数は次の通り。
全体の入学定員が前年度から0.2%の微増の50万3874人となる一方、入学者数は1.2%減の49万4730人。入学定員充足率は98.2%で、初めて98%台まで下がった。未充足校の割合は6割に迫る。
入学定員規模による11の区分ごとの入学定員充足率を見ると、充足しているのは定員1000人以上の3つの区分のみ。定員600人未満の6区分はいずれも充足率が90%を切っている。規模が小さい大学ほど定員確保が厳しい現状が、あらためて浮き彫りになった。
前年度より充足率が上がったのは「100人未満」(4.2ポイント増)、いずれも微増の「1000人以上1500人未満」(0.4ポイント増)、「3000人以上」(0.1ポイント増)の3区分のみだった。
21のエリア別に見ると、「愛知」が前年から2.9ポイント減の98.9%で、初めて定員を割った。
その影響もあり、三大都市圏(埼玉、千葉、東京、神奈川、愛知、京都、大阪、兵庫)の充足率も初めて100%を割り込み、99.9%に。特に「埼玉」は6.3ポイント減の91.2%で、落ち込みの大きさが目立つ。
充足しているのは東京(102.2%)、大阪(101.5%)のみ。
三大都市圏の小規模大学(収容定員4000人未満)だけで見ると、充足率は90.3%。2020年度には106.3%だったのが年々低下し、都市部でも小規模大学を中心に定員確保が難しくなっている。
定員割れの大学に対するペナルティは徐々に強化されている。
2024年度から「直近3年間すべての収容定員充足率が8割未満」の大学等は、原則として🔗修学支援新制度の対象外とする新たなルールが導入された。
8月には13大学が対象外になることが発表されたが、このうち8校は「3年連続で充足率8割未満」(「直近の充足率が5割未満ではなく、直近の進学・就職率が9割を超える」という猶予条件も適用されない)によるものだった。
従来、経営状態の悪化によって修学支援新制度の対象から除外されるのは短大がほとんどだった。充足率の基準が独立して適用されることにより、今後は大学でも対象外となるケースが増える可能性がある。定員割れの大学にとって、学生募集が一層厳しくなる要因となりそうだ。
定員割れの大学の増加については、中央教育審議会の大学分科会も危機感を強めている。「高等教育の在り方に関する特別部会」が先ごろ出した🔗中間まとめでは、「危機に対応しなければ募集停止や経営破綻に追い込まれる大学がさらに増える」という認識を示し、大学の再編・統合や縮小・撤退等による規模の適正化を打ち出した。