データサイエンス教育認定プログラム第1号は大学7校、高専4校
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2021.0702
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3行でわかるこの記事のポイント
●和歌山大学は全学の1年生を対象に必修科目を開講
●認定では取り組みに関する社会への発信も重視
●7月末までに第二弾を発表予定
文部科学省はこのほど、2021年度の「数理・データサイエンス・AI教育プログラム(リテラシーレベル)」認定校の第一弾を発表した。大学は国立2件、私立5件の計7件が認定された。2020年度までにプログラムを開講済みで体制がある程度整っているケースが目立つ。5月に申請した大学等が対象となる第二弾は、7月末までに認定される予定だ。
*文科省の発表資料はこちら
「数理・データサイエンス・AI教育プログラム認定制度(リテラシーレベル)」は、大学・短大・高専の全ての学生がデータサイエンスの基礎的な知識・スキルを修得できる環境の整備を目的に、2021年度にスタートした。全学生を対象に正課として開講される体系的な教育プログラムで、文理を問わず複数の専門分野の学生が履修していることなどが認定の要件。履修すべき学生数や履修率の目標を示し、それを達成するための具体的な計画を示すことも求められる。
2021年3月から5月にかけて申請を受け付け、文科省によると80~90校が申請。今回は4月までの申請分の審査結果を発表した。公表されている要件を満たせば認定されるため、5月申請分については数十件規模の認定となる見通しだ。
今回の認定は、国立大学が和歌山、岡山の2大学。私立大学は敬愛、創価、広島工業、徳山、サイバーの5大学。高専4件と合わせ計11件が認定されている。
和歌山大学は、2020年度開講の「データサイエンスへの誘い」を全学部(教育、経済、システム工学、観光の4学部)の1年生(約900人)を対象に必修化。「データサイエンスへの誘いA」(1単位)では統計の基礎と社会での活用事例を理解し、Excelによる基本的なデータ操作法を習得する。「データサイエンスへの誘いB」(1単位)ではデータサイエンスの基本的な手法、データ分析言語のR、Pythonによる分析方法の特徴や応用事例について理解する。
LMSを活用したオンデマンド型の講義を行う一方、ウェブ会議システムによる同時双方向型のフォローアップ講義(サポート室)も実施して学習成果の向上を図る。
プログラムの運営は、データサイエンス教育やビッグデータ解析、AI技術など基盤技術に関する教育研究の推進を目的として2018年 に発足した「データ・インテリジェンス教育研究部門」が担う。
徳山大学(山口県周南市)は2020年度、経済、福祉情報の両学部の学生を対象に「数理・データサイエンス・AI教育プログラム」を開講した。「日常生活や社会の課題を解決する有用なツールになり得る」「実データ・実課題を用いた演習」など、5つの「審査項目」(学ぶ内容)それぞれに対応する学部科目や共通科目を複数指定。各審査項目から所定の基準以上の単位を修得した場合にプログラム修了を認定する。
2021年度は数理・データサイエンス・AI教育に必要な内容を網羅した1年生(入学定員280人)対象の全学必修科目「データサイエンス入門」(2単位)を新設し、複数の審査項目に対応する科目として位置づけた。この科目で基礎的な内容を理解したうえで、他の科目で発展的な内容を学ぶことができる。
他の履修科目と重なってこのプログラム科目を履修できない場合は、オンデマンド授業を受講できるよう配慮するという。
文科省の担当者は「認定にあたっては全学生を対象に開講することに加え、データサイエンス教育への取り組みを社会に対して積極的に発信することも重視している」と説明している。
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