2026.1105

東専各が東京都と連携して第三者評価の評価者を養成し、受審環境を整備

この記事をシェア

  • クリップボードにコピーしました

3行でわかるこの記事のポイント

●評価者バンクを活用するチーム評価の仕組みを構築
●専門学校のPDCAに伴走する評価制度をめざす
●都は独自の認定制度で教育の質に"お墨付き"

専門学校の教育の質向上に向け、学校団体と自治体はどんな共同が可能なのか―。2026年度から専門学校の第三者評価受審が努力義務になったのを受け、東京都専修学校各種学校協会(東専各)は、東京都と共同で「東京都専修学校第三者評価促進事業」に取り組んでいる。このほど、評価者養成講座を実施。修了者を登録する「評価者バンク」の構築を進め、専門学校が確実に受審できる環境を整える。


第三者評価を担う評価機関や評価人材は足りない

2026年4月の学校教育法改正で、大学と同様、専門学校に対しても教育の質保証と継続的な改善を促す仕組みが導入された。大学と同じ項目での自己点検・評価が義務化されるとともに、第三者評価についても努力義務に。大学院入学資格が付与される専門課程および専攻科を置く学校、外国人留学生キャリア形成促進プログラム認定校については2026年度当初から第三者評価が義務化され、5年の間に受審する必要がある。それ以外の学校も順次、義務化される予定だ。

これまで専門学校では、自己点検・評価に加え、ステークホルダーによる学校関係者評価への取り組みが進んできた。一方で第三者評価は未経験の学校が多く、評価機関や評価を担う人材が十分に確保されているとは言い難い。

こうした状況をふまえ、🔗東京都専修学校各種学校協会(東専各)は、会員である専門学校269校(各種学校等を含む全会員は311校)が確実に受審できる環境を整えるべく、東京都と連携する。

初年度は120人が養成講座を修了

東京都では、保育園から専門学校までの私学機関を私学部が所管。学校に対し、自己点検評価や第三者評価の補助金を出すなど、専門学校の教育の質向上に関わってきた。

東専各の専務理事兼事務局長を務める飯塚美紀子氏は「私たちと都の間では、専門学校の教育の質の高さをいかに発信していくかという課題を継続的に話し合ってきた。第三者評価による教育の質保証の仕組みが必要だという認識で一致していたところに、今回の制度改正が重なった」と説明する。

東専各は、受審環境の整備として評価者養成講座をスタート。2026年度は10月上旬から11月上旬にかけて、3項目12時間のプログラムで実施した。専門学校制度や第三者評価の考え方、評価者の役割、評価技術などについてオンラインで解説した後、対面のグループワークで評価演習を行った。 

受講料を無料とし、受講者を募集。専門学校の現役教職員やそのOBを中心に120人が受講した。
第三者評価制度の1サイクルとなる5年間は毎年、養成講座を実施し、その間も必要に応じてプログラム内容を見直すという。

専門学校がバンク登録者を確認し、評価者を指名

講座の修了者は「評価者バンク」に登録され、会員校の第三者評価に携わることになる。大学の認証評価での評価員経験者など、一定の要件を満たせば養成講座の受講を免除してバンクに登録することも検討されている。
評価機関が限られる中、東専各は、バンクから評価者を派遣する「チーム評価」の仕組みを構築して受審環境の整備を図る。

チーム評価を希望する都内の専門学校に評価者バンクへのアクセス権を付与し、3人を指名してもらう。選べない場合は、初年度または次年度までは、東専各が要件や希望を確認したうえで適任者を紹介する方向だ。

東京都は、文科省の「学校評価ガイドライン」の任意項目から選定した17項目に基づく自己点検評価を実施し、第三者評価で適格と判断されるなど、一定の要件を満たす専門学校を独自に認定する「東京モデル評価事業」(仮称)の実施を予定している。認定された専門学校はウェブサイトなどで「東京都認定」の教育の質をアピールできるわけだ。

17項目とは、文科省のガイドラインで必須項目とされている15項目に、都が重視する留学生教育と情報公開に関する2項目を加えたもの。東専各は、17項目での自己点検評価実施をチーム評価の要件とする。

東専各は最終年度への集中を懸念し、早めの受審を呼びかけ

ほとんどの専門学校は第三者評価の受審経験がないため現在は様子見の状態で、5年間の最後の方に受けようと考える学校も多いようだ。
飯塚専務理事は「最終年度に集中すると、受け入れ可能な評価機関や評価者が足りず、受審したくてもできないということになりかねない。なるべく早い受審を」と呼びかける。

「第三者評価は受けたら終わりではなく、課題がわかったらそれを改善するというPDCAによって教育の質を向上させることが大切。ただし、各校の教職員に過大な負担を負わせるべきではない。評価者の側も課題を言いっぱなしで終わるのではなく、学校に伴走して改善を支えるような仕組みを作りたい」(飯塚専務理事)

<記事のふりかえり>
Q:第三者評価機関や評価者が足りないという問題に対し、東京都専修学校各種学校協会(東専各)はどのように対処しているか
A:第三者評価機関や評価者が足りないという問題に対し、東京都専修学校各種学校協会(東専各)は、評価者養成講座を実施して評価人材を増やそうとしている

Q:東京都専修学校各種学校協会(東専各)が構築する「評価者バンク」とはどのような仕組みか
A:東京都専修学校各種学校協会(東専各)が構築する「評価者バンク」とは、評価者養成講座の修了者を登録し、その中から専門学校が評価者を指名する仕組み

Q:東京都が専門学校の自己点検評価で求める「17項目」とは何か
A:東京都が専門学校の自己点検評価で求める「17項目」とは、文科省の「学校評価ガイドライン」の任意項目から選定したもの。ガイドラインで必須項目とされている15項目に、都が重視する留学生教育と情報公開に関する2項目を加えた。

2026年10月取材
文・株式会社進研アド(ベネッセグループ)
事業企画部・真境名妙子