既卒者増や大規模校の絞り込みにより私大は引き続き定員充足-私学事業団調査
大学(募集・接続・教学)
2026.0907
大学(募集・接続・教学)
3行でわかるこの記事のポイント
●入学定員充足率は前年度から1.1ポイント上昇して102.7%
●2年連続で入学定員が減少、入学者数は過去最多を更新
●"踊り場"の18歳人口は次年度以降、再び減少期へ
私立学校振興・共済事業団はこのほど、2026年度の入学志願動向調査の結果を公表した。私立4年制大学全体の入学定員充足率は前年度の101.6%から1.1ポイント上がって102.7%、2年連続で100%を超えた。定員割れの大学は41校減って275校で全体の46.2%(7.0ポイント下降)。18歳人口の一時的な回復や既卒者の増加によって定員割れの状況が緩和されたが、今後は再び18歳人口が減るため、規模の適正化を含む経営の見直しは不可避だ。
🔗調査結果
🔗過年度のデータ
*表やグラフはいずれも私学事業団の資料より
<注意>文科省のデータ修正により、2025年度までの学校基本調査に基づく過去の記事と本記事では、18歳人口の数値が異なる。
学校基本調査によると、2026年度入試の対象となった18歳人口は対前年指数100.2、ほぼ前年並みの約110万3000人。2024年度に107万人台に急減した18歳人口が2025年度に110万人台に回復、一時的な"踊り場"状態が続いている。
私学事業団の調査では、私立大学595校(前年から1校増)の入学定員や志願者数、合格者数、入学者数などを集計・分析している。
各数値と対前年指数は次の通り。

全体の入学定員は前年度より0.4%少ない50万579人で、2年連続の減少。
2026年度は京都ノートルダム女子大学、名古屋柳城女子大学、北陸学院大学教育学部などが学生募集を停止した。ほかにも、改組に伴う定員減や充足状況改善のための定員減があり、全体としてこれらが新設・改組による定員増を上回った。
18歳人口の変動幅同様、共通テスト出願者数も前年並みとなった一方、既卒者の出願数は前年より6336人(9.8%)の大幅増で、大学進学希望者全体としては増加。私立大学入試の志願者数は前年から9.1%増の431万7000人に。
前年度入試と同様、大規模大学が収容定員管理のために年内入試と一般選抜の両方で合格者を絞り込んだ結果、難易度上位の大学からより下位の大学に入学者が流れる構造となった。
これらによって定員割れの大学が減り、特に定員規模が比較的小さい大学で充足率が大きく改善した。
入学者数は0.7%増の51万4000人で、2年連続で最多となった。
前述の傾向は、入学定員規模による11の区分ごとの入学定員充足率を示した下のグラフからも読み取れる。

「3000人以上」を除き、どの区分でも充足率が上昇し、「300人以上400人未満」が7ポイント以上、「800人以上1000人未満」が10ポイント近い大幅な上昇。前年度は「1000人以上1500人未満」だった「充足ライン」は、今回「600人以上800人未満」になった。
定員1000人未満の大学では、規模が小さいほど定員確保が厳しいというおおよその傾向は従来通りだ。
充足率超過によるペナルティを警戒する「3000人以上」の大学は、充足率が3ポイント近く下がり103.1%だった。
下のグラフは、21のエリア別の入学定員充足率を示す。
微減の東京など3エリアを除く18エリアで充足率が上昇し、ほぼ半数の10エリアで100%を超えた。
上昇幅が大きいのは千葉(前年度より5.2ポイント高い101.9%)、北陸(5.0ポイント高い97.7%)、東海(7.5ポイント高い98.0%)、中国(6.5ポイント高い89.3%)など。

18歳人口は今後、再び減少に転じ、2040年度には74万人まで減るとの予想もある。こうした中、甲子園大学や京都華頂大学・華頂短大などが2027年度から学生募集を停止。学部・学科単位での募集停止や定員減を決めた大学もある。
文部科学省が「規模の適正化」を打ち出して定員削減へと政策誘導を図る中、大学の安定的な存続のため、一時的な措置も含む規模縮小は、すべての大学に共通する検討課題となっている。