専門学校について知ってもらおうと、小・中学生向け職業体験イベント-大阪の衣食住コンソ
専門学校
2026.0827
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3行でわかるこの記事のポイント
●大阪の3校を中心に、2年目は協力校5校も参加
●学生募集と切り離した活動を通し、長期的に「選び方を変える」
●高校生ボランティアの参加が結果的に専門学校広報にもつながる
2026年8月上旬の週末、大阪市にある修成建設専門学校で小・中学生向け職業体験イベント「ミラクル2026」が開催され、親子連れなど約450人で賑わった。イベントは同校が、同じく大阪市にある上田安子服飾専門学校、大阪調理製菓専門学校 ecole UMEDAと共に結成した「『衣・食・住』専門学校コンソーシアムOSAKA」が主催し、趣旨に賛同した協力校・5校も参加。それぞれの専門分野で子ども向けの実験や創作のプログラムを企画し、楽しみながら技術や職業に触れてもらった。
🔗「『衣・食・住』専門学校コンソーシアムOSAKA」(以下、「衣食住コンソ」)の構想は、コロナ禍が一段落した2023年の夏頃、修成建設専門学校(修成学園)と大阪調理製菓専門学校ecole UMEDA(村川学園)の理事長らが「互いに協力し合って、学校の職業教育を補完する取り組みができないか」と話し合いを始めたことがきっかけとなった。
当時、両校の間では「コロナ以降、高校の進路指導や職業に対する生徒の理解が様変わりし、理解が不十分なまま『とりあえず大学へ』という進路選択が増えているのではないか」「調理など、専門学校が強みを発揮できる分野に生徒が興味を持っても、保護者が趣味にとどめるよう諭してしまうケースがあるかもしれない」といった共通の課題意識があったという。
こうした状況を変えるべく、法人の垣根を超えて連携しようと考えたのだ。両校の専門分野である「食」と「住まい」に「衣」が加われば「衣食住」がそろうと考え、上田安子服飾専門学校を運営する上田学園にも声をかけ、2023年12月にコンソーシアムを結成した。
「人々のくらしの基盤である『衣・食・住』の視点を通して持続可能な社会の創り手の育成を共に推進すること」を衣食住コンソの目的として掲げ、当初は学生募集につながる活動に重点を置いた。

衣食住コンソが最初に手がけたのが、高校の探究学習などでの活用を想定したボードゲーム「SDGsタウン物語」の制作だ。ファッションデザイナー、パティシエ、ガーデンデザイナーなどの仕事内容をSDGsへの貢献と関連づけ、楽しみながら理解できる内容になっている。

説明用リーフレットや解説動画も作って、高校訪問等で紹介。希望した高校にゲームを貸し出し、初年度に約1000人の生徒が体験した。
次に取り組んだのが体験型イベントの開催だ。
2024年夏には「ミラクル」の原型となるイベントを高校生や日本語学校生を対象に実施。実施後、「各校がオープンキャンパスを本格化させる時期に学生募集目的のイベントを重ねるよりも、専門学校がカバーする仕事や技術の魅力をもっと早い時期から知ってもらうための取り組みが必要ではないか」という判断で一致した。
そこで、ターゲットを高校生から小・中学生に変更。保護者と一緒に楽しめるイベントにして、目先の学生募集ではなく、専門学校について知ってもらうことを主たる目的に据えた。
修成学園の山下裕貴理事長は「本校ではコロナ禍の前、周年行事の一環として建設企業の協力を得て、地域の小学生に建設の仕事に触れてもらうものづくり体験イベント『こどもカレッジ』を開催していた。分野を広げれば、さらに充実した面白いイベントになると思った」と話す。
初年度となる「ミラクル2025」(会場:上田安子服飾専門学校)では、衣食住コンソ3校の特色を生かしたファッションショーや建築模型作り、アイシングクッキー体験などを実施し、398人(148組)の親子が来場した。
2回目の「ミラクル2026」は、子どもたちにより多彩な仕事に触れてもらおうと、分野を拡大。「目先の学生募集を目的としない」という趣旨に賛同した5校(ECCアーティスト美容専門学校、大阪健康ほいく専門学校、大阪自動車整備専門学校、大阪総合デザイン専門学校、大阪テーマパーク・ダンス専門学校)が、協力校として新たに参画した。

競合分野も含めプログラムが重複しないよう連携・調整し、整備士やヘアアレンジ、テーマパークショークリエイターなど、さまざまな職業を体験できるプログラムとなった。
教育委員会の後援による広報効果もあり、参加申し込みの受け付け開始から2日目の早い時間に定員に達し、締め切った。当日の来場者は457人(151組)と前年を上回った。
初回、2回目とも参加者は小学生が約80%を占めた。アンケートでの満足度は2回とも90%を超え、地域の人気イベントとして定着しつつある。

「ミラクル」には、初回から各学校の学生に加え、高校生にもボランティアスタッフとして参加してもらった。「せっかくなら、職業体験の内容を高校生にも見てほしいと考えた」(山下理事長)。小・中学生をサポートして教える体験を通じて、人と接する楽しさや達成感、自身の成長を実感してもらうという教育的効果も期待した。
各専門学校のネットワークを活用して高校教員経由で募集したところ、初回、2回目とも60人前後の生徒が応じた。事後アンケートではやりがいや達成感があったとの声が寄せられ、ほぼ全員が「また参加したい」との意向を示した。
山下理事長は「高校生にとってもさまざまな職業に触れる機会になり、結果として専門学校の魅力を伝える広報にもつながった」と振り返る。
山下理事長は「今回参加し、アンケートで『また来たい』と答えた小・中学生が数年後、学生として専門学校に戻ってきてくれるかどうかはわからない。普段は見られない、触れられないさまざまなモノやことの体験を通して、それまで何となく遠くにあった専門学校について少しでも知ってもらえれば十分だ」と話す。
「人は知らないものは選ぼうとしないし、知ることで選び方が変わる。今回来てくれた子ども自身の選択は変わらなくても、周りの人に何かを伝えてくれるかもしれない。『専門学校について知っている人』が1人でも2人でも増えて、最終的に学生募集につながっていけばいい」
衣食住コンソはこれまで、教職員対象のオンライン合同研修会の開催や、各校の高校生対象コンテストをまとめた告知リーフレットの制作、互いの授業を開放し合って学生の学びのきっかけを作る試みなど、多角的な試行錯誤を重ねてきた。
これらを通じて3校が共有するようになったルールは「無理をしない」こと。各校が学生募集をはじめ目の前の課題にしっかり取り組みつつ、できる範囲で手を取り合って専門学校の認知向上に努めている。
当面は「ミラクル」の開催を主たる連携事業とし、会場を各校持ち回りとしながら次年度以降も継続する予定だ。
山下理事長は「『ミラクル2026』で協力してくれた5校には感謝している。専門学校同士が法人の枠を超えてまとまり、魅力を発信する取り組みが、専門学校という学校種そのものを社会に周知していく広報の一つになれば幸いだ」と、今後の連携への期待を語った。
「『衣・食・住』専門学校コンソーシアムOSAKA」の活動を含め、意欲的な広報に取り組む修成学園の山下裕貴理事長が、進研アドの「専門学校向け広報セミナー」(大阪会場)に登壇、「専門学校の価値をどう伝えていくか」と題して講演を行います。
ぜひご参加ください。
🔗専門学校向け広報セミナー