2026.0625

総合型選抜合格者の意欲向上や仲間づくりを支援する独自の入学前講座-岡山情報ビジネス学院

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3行でわかるこの記事のポイント

●早期入試に対する高校教員の不安を払拭し、信頼関係を強化
●学科の学びの説明、企業による業界動向紹介など多彩な内容で実施
●入学後の目標をプレゼンする入試を設け、インセンティブも付与

岡山情報ビジネス学院は2024年度入試での総合型選抜導入にあたり、高校との信頼関係を重視し、入学予定者の成長を促す講座とのセット実施を決めた。学科の仲間や先輩、教員との交流を深めながら目的意識と意欲を高めるプログラムになっている。早期入試に対する高校教員の懸念払拭につながり、総合型選抜のエントリー者は年々増えている。


入学までの「学びへの準備期間」に成長させる

1985年創立の🔗岡山情報ビジネス学院は、地元では「OIC」の略称で知られている。留学生向けの学科を含め、デザイン、ホテル・ブライダル、情報・デジタル、ビジネス等の分野の10学科5コースがある。日本人学生は1学年計350人ほどが学んでいる。

同校の「🔗総合選抜型入試」の中核となるのが、合格者全員を対象に数回にわたり対面で実施する「入学前プログラム講座」だ。6月から第1期エントリーが始まる早期入試の合格者を、入学まで数か月の「学びへの準備期間」に成長させるねらいがある。仲間づくりを促しながら学習意欲と目的意識を高め、学校生活に対する不安を払拭する。一方、学習習慣の継続と基礎学力向上を目的に、進研アドが提供する入学前教育プログラムの受講も課す。

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「早く決める」ことだけが目的化しない入試の工夫

同校のHPでは、総合選抜型入試について「早い時期から進路探究を始めて希望進路を固め、将来に直結する進学先の学びを入学前からスタートさせたい方向けの入試制度」と説明している。

6月の第1期エントリー者は「ハッピースタートチャレンジ制度」に挑戦することができる。夢の実現に向けて岡山情報ビジネス学院で何を頑張りたいか、決意をプレゼンテーションで表現する入試だ。入学後の学びについてしっかり考えて言語化する機会を設け、「早く決める」ことが目的化しない入試にしている。同入試の定員は約100人で、合格者は授業料を5万円減免する。

2026年度入試までは総合選抜型入試とハッピースタートチャレンジ入試を並置し、別々に募集していた。2027年度入試からは総合選抜型入試にハッピースタートチャレンジ入試を統合し、総合選抜型入試エントリー時にハッピースタートチャレンジ制度に挑戦するかどうか選べるようにした。

高校ヒアリングで早期入試へのネガティブな意識を実感

岡山情報ビジネス学院の総合選抜型入試実施は2024年度入試から。それ以前は「進路は時間をかけて検討してほしい」と考え、早期入試を導入していなかった。その姿勢が高校現場からの信頼にもつながっていた。

しかし、全国的に入試の早期化が進行する中、方針の見直しを迫られることに。県内の専門学校も次々と総合型選抜を導入、「早く進学先を決めたい」という高校生が増えた。学生確保の観点から、同校も「時代に合った対応」(広報課の担当者)へと舵を切らざるを得なかった。

高校訪問で総合型選抜の導入についてヒアリングしたところ、「ついにOICさんもですか」「最後の砦だったのに」といった反応が多く、早期入試に対する高校現場のネガティブな意識をあらためて感じた。
そこで、単なる早期化ではなく、受験のプロセスや合格後も学びについてしっかり考え意欲を高められる独自の方式を取り入れることにした。それが総合選抜型入試とハッピースタートチャレンジ入試(現・ハッピースタートチャレンジ制度)だ。

合格者説明会で入学までの目標設定を行う

総合選抜型入試の第1期は次のようなスケジュールで実施される。
6月
エントリー
(希望者はハッピースタートチャレンジ制度に申し込み)
7月下旬
選考
(面談。ハッピースタートチャレンジ制度申し込み者はプレゼンも実施)
8月中旬
結果通知
(出願許可証送付)
9月上旬~10月上旬
出願
(調査書、出願許可証等の提出)
10月中旬
入試
(書類確認)
11月~
合格通知発送

総合選抜型入試合格者を対象にした入学前プログラム講座は以下の内容で実施される。
12月
合格者説明会

入学までの目標設定を行う。入学前教育プログラムについて説明し、「ここまで勉強しておけば大丈夫」という安心感を与える。
1月
学科別クラスミーティング
導入授業を通じて入学後の学びについて理解させる。
2月
業界丸わかりセミナー
企業の担当者や卒業生が業界の最新動向や職場の様子を話し、働くことに対する意識を高める。
3月
成長実感イベント
講座を通じた自身の成長を振り返り、入学に向けて決意表明をする。
学科別歓迎イベント
在校生が企画し、自己紹介やゲームで交流する。

※プログラムの内容は年度によって異なる。

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入学前教育で提供されるデータを入学後の指導に活用

入学前プログラム講座と並行して実施する入学前教育の教材は、情報スペシャリスト学科やゲーム・VRクリエイター学科が「IT・情報ビジネス系コース」、医療事務総合学科は「医療コース」、それ以外は汎用性が高い「学ぶ力の基礎コース」というように、専門分野に応じたものを選択。それぞれの進路をイメージしてもらい、モチベーション向上を促す。
課題の得点はもちろん、受講アンケートに基づいて分析・提供される学習習慣や学習意欲に関するデータも、入学後の指導に活用している。

高校の信頼を得るため毎年、講座の実施報告

総合選抜型入試とハッピースタートチャレンジ制度の初実施後、同校は入学前プログラム講座の内容と受講生のアンケート結果を紹介するチラシを作成し、高校訪問で配った。

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「入学前教育で何をやっているか、説明してくれる学校はほとんどない」「こうしたフォローがあれば、安心して総合型選抜を受けさせることができる」といった声は、広報課の担当者を大いに勇気づけた。

以来、同校は高校訪問で欠かさず講座について報告している。「オープンキャンパスのチラシを渡すだけではなく、総合選抜型入試の中で本校がどんな取り組みをしているか丁寧に説明する方が信頼感を生み、生徒にオープンキャンパス参加を勧めてもらいやすくなる」。学科の担当者はそう話す。

ハッピースタートチャレンジ入試の認知拡大や高校教員との信頼関係強化を背景に、ハッピースタートチャレンジ入試の受験者は徐々に増加。募集形態を変更した今回も、第1期総合選抜型入試エントリー受け付け中の6月中旬現在、エントリー者の8~9割がハッピースタートチャレンジ制度へのチャレンジを希望している。

受験自体が成長の機会になるよう、入試内容を再検討

制度の課題についても聞いた。
同校では、ハッピースタートチャレンジ入試による入学者には、明確な目的意識を持ち、学科内でリーダーシップを発揮することを期待しているが、個人差があり、必ずしも期待通りではない学生もいるという。
学科の担当者は「プレゼンでは自分の気持ちだけではなく、より深い内容を語ってもらう方がいいかもしれない。そして、せっかくこの入試を受けてくれるからには、受験自体が成長の機会となり『受けてよかった』と思ってもらえる経験を提供したい。そのためには、われわれからのフィードバックのあり方も含め、ブラッシュアップしていきたい」と話す。

                                        (文・和多田博夏)