THEアジア大学ランキング2026―中国が1・2位を堅持、東大は4位タイ
ニュース
2026.0525
ニュース
3行でわかるこの記事のポイント
●高等教育重視の国家戦略の下、中国がトップ10の半数を独占
●マレーシアは35位タイで過去最高位、トップ100も6校に倍増
●日本・韓国は平均スコアが伸びるも世界の改善スピードに追いつけず
イギリスの高等教育専門誌「Times Higher Education(THE)」はこのほど、「THEアジア大学ランキング2026」を発表した。トップは8年連続で清華大学。2位の北京大学など、中国勢がトップ10の半数を占めた。東京大学は1ランクアップの4位タイ、京都大学は16位だった。中国が圧倒的な競争力を維持する一方、マレーシアが躍進を印象づけた。
🔗ランクインした日本の全大学の一覧
14回目となる「THEアジア大学ランキング2026」には、36の国・地域から過去最多となる929校がランクインした(前年は35の国・地域から853校)。
ランクイン校数を国別に見ると、最多がインドの128校、次いで日本が115校で、両国の順位が入れ替わった。3番目はトルコの109校。
トップ10は1位の清華大学、2位の北京大学はじめ、顔ぶれと順位に大きな変動はない。中国5校のほか、シンガポール2校、香港2校、日本1校がランクイン。シンガポール国立大学と南洋理工大学は、それぞれ3位と4位タイを維持。上海交通大学(9位)と香港中文大学(10位)は順位が入れ替わった。
中国は今回も圧倒的な強さを示した。ランキング対象となったのは97校で、前回より3校増加。このうち21校が順位を上げ、33校は下げた。
トップ10入り5校、トップ50入り20校はいずれも前年と同じ。他のアジア各国・地域が高等教育システムの評価向上のペースを上げる中、依然として強固な地位を保っている。
強さの背景には、高等教育の卓越性を高める国家戦略「双一流構想」がある。前年のアジアランキングについてのTHEの分析では、2023年版以降、同戦略の対象大学は、国内の他大学に比べてはるかに速いペースで評価を上げていることが示された。特に特許、研究の卓越性、研究影響力などの指標で大きく評価を上げ、総スコアを向上させている。
日本からランクインした115校のうち、12校がトップ200入り。
東京大学は1つ順位を上げて4位タイで、2015年版以来の最高位に。
京都大学は16位だった。
2024年10月の東京医科歯科大学と東京工業大学の統合後、新大学として初めてランキングに参加した東京科学大学は34位。
![]()
前年から引き続きランクインした大学のうち順位を上げたのは東京大学だけで、61校が順位を下げた。
その他の国について見ていく。
■香港
香港からは前年より2校多い8校がランクインした。香港大学が6位を堅持し、香港中文大学は10位。
香港バプテスト大学は50位から40位へと大きく上昇した。
新顔2校はいずれもトップ100入り。7校がトップ50、5校がトップ20にランクインするなど、高い順位を獲得している。
■韓国
韓国からは41校がランクイン。トップ20に4校、トップ50に9校入ったが、41校中25校は順位を下げ、上がったのは6校にとどまる。
国内トップは15位のソウル大学で、17位の韓国科学技術院(KAIST)がこれに続く。
■インド
インドのランクイン校数は前年から21校増え過去最多の128校で、全体の14%を占める。
国内トップは43位タイの理科大学院。
■マカオ
過去最多の3校がランクイン。国内トップのマカオ大学が34位から過去最高位の28位に上がり、同国で初めてトップ30入りした。
■マレーシア
今回のランキングで特筆すべきは、マレーシアの躍進だ。
ランクイン校数は前年から4校増え、過去最多の27校。トップ100も6校に倍増した。
国内トップのペトロナス工科大学は8ランクアップの35位タイで、マレーシアの大学として過去最高位となった。
サンウェイ大学(141位タイ→84位タイ)、マレーシア国民大学(103位タイ→87位タイ)、マレーシア科学大学(103位タイ→100位タイ)などがトップ100入り。
香港大学教育学部のジェラルド・A・ポスティリオーネ名誉教授は「マレーシアの躍進は、地域内での立ち位置を見据えたより戦略的な取り組みの成果だ。隣国・シンガポールに学びつつ、人口規模を生かして中国にとってASEAN最大の大学間国際連携パートナーになった」と解説する。
今回のランキングは、特に東アジアでの競争激化を示している。
THEは「日本と韓国の多くの大学が順位を下げているのは、データを見る限り、実力の低下というより相対的な地位の後退と言える」と指摘。
データサイエンティストのキャサリン・トゥシャベ氏は「韓国の多くの大学で総合スコアは小幅に改善しているにもかかわらず、順位は下がっている。また、日本と韓国は平均スコアが上昇しているものの、その伸びは世界全体の中央値を下回り、世界的な改善スピードに追いついていない」と説明。両国に共通することとして、「研究環境、研究の質、産業界との連携に関する指標の低下が一貫したマイナス要因になっている」とも述べる。
前出のポスティリオーネ名誉教授は日本と韓国の順位低下の原因について、「THE世界大学ランキングでのアメリカの順位低下と同じく、中国の存在によるものだ。中国では海外経験のある人材の帰国、基礎研究への予算拡大、そして高等教育分野で世界をリードするという政府の強い意志を背景に、巨大な大学システムを急速に拡大している」と指摘する。
アジアの高等教育における競争環境は大きく変化しつつある。中国が大規模な体制の下で高い成果を上げ続ける一方で、香港の着実な成長やマレーシアの台頭など、アジア域内の他国・地域の力も強まっている。
同時に、日本や韓国の相対的な後退は競争が一層激しくなっている現状を示す。多くの国・地域が急に力を伸ばす中においては、わずかな改善による順位の維持は、上位に到達するのと同じくらい難しくなっている。
THEのチーフ・グローバル・アフェアーズ・オフィサーのフィル・ベイティ氏は次のように話す。
「今回のランキングで、中国の高等教育と研究分野における目覚ましい成果と進展がはっきりと示された。中国の大学が上位を占めるだけでなく、香港やマカオといった特別行政区の大学の評価が向上している点にもそれが表れている。世界で最も活気ある地域の一つである東南アジアの大学が好成績をおさめているのは心強い。特にマレーシアは今後、アジアだけでなく世界の高等教育を牽引する存在となるだろう」