2025.1208

2回目の「学際科学ランキング」で日本から33大学がランクイン

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3行でわかるこの記事のポイント

●トップ2は前回と同じMIT、スタンフォード大学
●日本トップは38位の東北大学
●アジアの大学がランキングの半数以上を占める

イギリスの教育データ機関「Times Higher EducationTHE)」はこのほど、学際的な研究に取り組む大学を対象とする2回目の「THE学際科学ランキング2026」を発表した。トップのマサチューセッツ工科大学と2位のスタンフォード大学は前回と同じで、トップ10のうち7校をアメリカの大学が占めた。日本からは東北大学(38位)はじめ33校がランクインした。
🔗THEによる発表


新たに社会科学、医学・健康学との組み合わせも対象に

THE学際科学ランキング」は、複数分野の知見の活用によってグローバルな課題の解決を図る学際的な研究を奨励することを目的に、THEと科学技術分野の学際的研究推進プログラム「シュミット・サイエンス・フェローズ」が協力して作成している。

同ランキングの「学際科学」とは、2つ以上の科学分野(THEが定めるコンピュータ科学、工学、生命科学、物理科学の各分野)を統合した研究を指す。今回から、これらのうち1つ以上の科学分野と社会科学分野や医学・健康学分野(トランスレーショナル研究を除く)を組み合わせた研究も対象となった。​

理系学部があり学際的研究を推進している大学​、社会的課題解決に積極的な大学​、日本で言うと理系を含む「学環」「学群」「学域」などを設置している大学などを想定したランキングだ。

ランクインするためには、2020年から5年間で100件以上の学際科学研究学術出版物を発表してエルゼビア社のScopusに収録されていること、申告する科学分野で50人以上の学術・研究スタッフを擁していることなど、要件を満たす必要がある。

研究プロジェクトのライフサイクルの各段階を表す「インプット」「プロセス」「アウトプット」の3つの分野の下、11の指標で大学をランク付けしている。

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「昇進プロセス」は、学際的な研究を評価するテニュア(終身在職権)または昇進システムの有無をスコア化。「評判」は現役の研究者に、学際科学研究支援において最も優れた大学を5つまで挙げさせる調査に基づいてスコアが算出される。

アジアの大学は「インプット」分野の上位を占める

2026年版の「THE学際科学ランキング」には94か国・地域の911大学がランクインした(前回は92か国749大学)。アジアから478校と半数以上を占め、国別ではインドが最多の88校だった。

トップ10は下表の通り。

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アメリカの7校のほか、前回に引き続きシンガポール2校、オランダ1校がランクインした。

THEによると、アメリカは学際科学研究の論文数と割合、学際科学研究の被引用数、学際科学研究支援の評判など、「アウトプット」分野での評価が総合的な強さにつながっている。同分野トップ20のうち13校をアメリカが占める。

シンガポールの2校はいずれも、「プロセス」分野の指標の一つ「学際的研究の成果を測るための評価指標・方法」で満点を獲得。そこには、学際的チームによるプロジェクトの資金獲得の成功などが含まれる。「アウトプット」分野の論文数や評判調査でも高スコアだった。

9位のオランダ・ワーゲニンゲン大学は、論文の量と質、両面に秀で、「アウトプット」分野で1位を獲得。産業界からの研究資金の多さでも高い評価を得た。

トップ20まで広げると香港、タイ、サウジアラビアなどの大学も名を連ねる。アジアの大学は「インプット」分野の上位を占め、研究資金、科学分野のための産業界からの資金の額が評価されている。

私大は慶應、東京理科、芝浦工大などがランクイン

日本からは国立大学18校、公立大学3校、私立大学12校の計33校がランクインした。校数は前回と同じだが、一部、入れ替わりがあった。

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国内トップは38位の東北大学で、67位タイの九州大学、139位の東京科学大学と続く。

私立トップは195位の慶應義塾大学で、東京理科大学(351-400位)、芝浦工業大学と帝京大学(いずれも601-800位)と続く。

熊本大学(251-300位)、金沢大学(301-350位)など、前回同様に地方国立大学の健闘が目立つ。