2026.0521

地域産業中核的人材養成事業に"生産性が高いエッセンシャルワーカー"養成のための新メニュー

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3行でわかるこの記事のポイント

●AI等のデジタル技術を活用して業務を効率化する人材の教育モデルを構築
●委託費2400万円×16か所を選定
●高齢者施設の見守り用センサーや移動支援機器等の技術活用を例示

文科省による専修学校への委託事業「専修学校による地域産業中核的人材養成事業」に、2026年度、新たなメニュー「アドバンスト・エッセンシャルワーカー(AEW)創出のためのリ・スキリング」が加わった。介護・医療・保育など、人手不足が深刻化する業界において、AI等のデジタル技術を活用できる労働生産性が高い人材を養成するための教育プログラムを開発するねらいがある。
文科省の公表資料


予算は4億円増の129000万円

「専修学校による地域産業中核的人材養成事業」は各職業分野において、地域特性に配慮しつつ、今後必要となる新たな人材養成モデルを形成することが目的。各地域から⼈的・物的協⼒を得てカリキュラムの実効性、事業の効率性を⾼めることを重視する。その時々の社会課題の解決に資する内容でメニューを見直しながら、継続的に実施されている複数年の委託事業だ。

過去のメニューには、地方創生に必要とされる人材養成のためのモデルカリキュラムなどがあった。

2026年度の同事業は3つのメニューで構成。「人口減少地域の職業人材を確保するための専修学校の振興」が2年目、「中等教育段階から高等教育段階(専門学校)への接続」が6年目となり、それぞれ委託された専修学校で教育モデルの構築に向けた実証等が行われている。
これらに加え、新たに「アドバンスト・エッセンシャルワーカー(AEW)創出のためのリ・スキリング」の委託先を公募する。

事業全体の予算として、前年度から約4億円増となる129000万円が計上されている。

自治体や企業・業界団体と連携したリ・スキリングが対象

近年、社会のライフラインを支えるエッセンシャルワーカーの不足が顕在化し、人手の確保が急務となっているが、同時にエッセンシャルワーカーの労働生産性の向上も求められている。これらを背景に、20256月に閣議決定された「経済財政運営と改革の基本方針(骨太方針)2025」で、「専門学校」が大学・短大等とともに「アドバンスト・エッセンシャルワーカーの育成」を求められたことをふまえ、この新メニューが追加された。

「アドバンスト・エッセンシャルワーカー(AEW)」とは、デジタル技術等も活用して、現在より高い賃金を得るエッセンシャルワーカーのことだ。「デジタル技術等」は設備投資を必要とするものから対話型AIOAツールなど身近なシステムまで、幅広く想定されている。

新メニューでは、専修学校が各分野で自治体や企業・業界団体等と連携し、AEW創出のためのリ・スキリングなど、労働生産性向上に資するモデルを構築する。

例として、次のような人材を養成するための教育コンテンツが挙げられている。

【福祉分野】高齢者施設の利用者の見守りにおけるセンサーや移動支援機器等の介護テクノロジーの活用
【工業分野】自動車整備業における故障診断のスキャンツール等を活用した整備、現場業務省力化のためのドローン操縦

構築した教育コンテンツやカリキュラムは自校で開講することはもちろん、同じ分野の他の専門学校に横展開していくことが期待されている。

事業期間は2026年度から2028年度までの3年間。16か所を選定し、初年度は1か所あたり2400万円程度の委託費を予定している。

文科省は各受託団体の事業の進捗管理や成果のとりまとめ等についても事業委託する予定。民間企業も想定されるこちらの受託団体は、進捗管理のほか、AI等のデジタル技術の動向や各職業分野における労働生産性に関する実態の調査、各取り組み成果のとりまとめと普及・定着・横展開の方策の検討も担う。
同じく事業期間は3年間で、年間3700万円程度の委託費を予定している。

文・松本晴輝(専門学校支援部)