2026.0421

専門学校生採用動向調査から読み解く募集広報・就職支援のカギ

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3行でわかるこの記事のポイント

●2490社が専門学校生の採用意向、初任給などについて回答
●6割の企業が2026年卒の初任給を引き上げ
●専門知識を身につけていることを評価し、8割が採用に前向き

人手不足、人材不足を背景に新卒採用における「売り手市場」が続く中、専門学校で学んだ人材に対する企業の期待も高まっている。このほど、㈱グッドニュースが公表した「26・27年卒専門学生採用動向調査」から、その傾向が明確に読み取れる。調査結果を読み解き、専門学校の学生募集広報や就職支援に生かすべきポイントについて考えてみたい。
*図表は公表資料から流用


初任給引き上げは「人材を確保するため」

「26・27年卒専門学生採用動向調査」は、専門技術職に特化した就活アプリケーション「Careermap」の開発・運営を主たる事業とする🔗㈱グッドニュースが実施した。

調査概要
【調査Ⅰ】
調査名:2026年1月度採用動向調査(26・27年卒対象)
調査時期:2026年1月15日~2月13日
調査対象:新卒採用をCareermapで実施している企業(2490社が回答)
回答者:人事・採用責任者
調査方法:アンケートフォームへの回答

【調査Ⅱ】
調査名:新卒初任給の実態調査
調査方法:Careermapに登録のある2025年卒・2026年卒向け募集情報データ

2026年卒の初任給を前年度から引き上げた(または引き上げ予定)企業は、過去3年間の同時期の調査(24年卒56%、25年卒47.5%)と比べて最高水準の61.2%に達した。企業間の人材獲得競争が一段と激しくなっていることを物語る。

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2027年卒については、44.6%が初任給の引き上げを計画。引き上げ理由として最も多かったのは「人材を確保するため」(81.4%)で、続く「最低賃金の上昇」(50.4%)を大きく上回った。「優秀な若手人材をいかに採用できるか」が、企業経営に直結する課題となっていることがうかがえる。

専門学校は、この動きを学生募集広報で「専門分野で学んだことが、待遇面でも評価される」というメッセージとして伝えることができるだろう。高校生やその保護者に対し、就職実績と合わせて初任給動向を紹介することで、専門教育の価値をより具体的に示す材料になるはずだ。

身につけたスキルを自ら言語化できるよう指導を

専門学校生の採用意向については、「積極的に採用したい」「初めて採用に取り組もうと考えている」「できれば採用したい」が合わせて78.6%で、約8割が前向きな姿勢を示した。専門学校生が引き続き重要な採用ターゲットとなっている。

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専門学校生の採用で期待することは、「専門知識を身につけている」(1575件)が最多で、次いで「専門職を自ら選んだ覚悟の強さ」(1225件)、「実践で使えるスキルを持っている」(1224件)など。即戦力や職業意識の高さなど、専門学校が長年培ってきた「職業直結型教育」の成果に対する期待が高いと言える。

専門学校の就職指導の現場では、こうした企業ニーズをふまえ、「授業・実習で身につけたスキルを、学生自身が言語化できるようにする」「業界研究と結びつけたポートフォリオ・成果物の整理を促す」といった支援が、今後ますます重要になりそうだ。

採用充足率は改善傾向にあるが、母集団形成が課題

2026年卒採用において、「採用計画を100%達成した」と回答した企業は24.0%。前年調査から4.3ポイント改善したものの、多くの企業が依然として採用目標の未達に悩んでいる実態が浮かび上がる。

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充足できなかった理由として、7割の企業が「応募者が予定より少なかった」(1405件)と回答。続く「内定辞退が予定より多かった」(247件)を大きく上回り、母集団形成が最大の課題となっている。

つまり企業側は、採用意欲が高く、待遇改善に踏み切っているにもかかわらず、学生との出会いの場を十分に確保できていない状況にあるわけだ。この課題解決において、専門学校が果たすべき役割は大きい。企業説明会の企画や産学連携の取り組み、学校推薦の仕組みなどを通じて、学生と企業をつなぐハブとしての機能が、今後さらに価値を高めていくと考えられる。

留学生採用に「取り組みたいがどうすればよいかわからない」企業も

これまでに留学生(外国人)を「採用したことがある」と回答した企業は33.5%で、3社に1社に上る。業界別に見ると、飲食・ホテル等(45.4%)、服飾・販売等(44.3%)、IT・ビジネス等(42.0%)で採用経験の割合が高い。

留学生(外国人)の採用について、現在の状況に最も近いのは「積極的に取り組んでいる」18.5%、「今年度から取り組もうと思っている」2.9%、「今後、取り組む予定」15.7%で、一定程度の企業が前向きな姿勢を示している。

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一方で、「取り組む予定はない」が56.0%で、全体としては慎重姿勢が優勢だ。「取り組みたいがどうすればよいかわからない」は6.9%。他の設問から、採用におけるハードルは主に言語面と制度・受け入れ体制だということがうかがえる。

専門学校は日本語教育と職業教育を同時に提供できる点が強みで、「業務に直結する専門スキル」「現場で必要な日本語コミュニケーション力」「日本の職場文化への理解」の体系的な指導が可能だろう。企業への情報発信でこれら専門学校の特色を伝え、言語面と制度・受け入れ体制に関する企業側の不安を軽減する努力が必要だ。留学生の定着率が高い企業の取り組みを紹介することも有効だろう。
こうした情報発信を通して企業とのネットワークを強化することが、留学生の就職支援にもつながる。

留学生募集においては、卒業後の在留資格や就職支援の施策、就職や定着の実績を可視化することが重要だ。

職業教育の価値があらためて評価されている

「26・27年卒専門学生採用動向調査」から読み取れるのは、「専門学校生は、企業にとって今後も魅力的な人材である」というメッセージだ。初任給引き上げ、採用意欲の高さ、留学生への関心の高まりといった状況は、職業教育の価値をあらためてアピールしていくチャンスだと言える。

学生募集広報では卒業生や企業の協力を得ながら「学んだ先にある就職の姿」を示し、在学生に対する就職支援では「企業が求めている人材像」をデータに基づいて示すことが重要である。

出典:「2026年1月 採用活動の実態調査」(Careermap)

文・藤原 健太(専門学校支援部)