2026.0416

アルバイト収入が42%増加、収入全体の4分の1に―JASSO調査(後編)

この記事をシェア

  • クリップボードにコピーしました

3行でわかるこの記事のポイント

●背景にコロナ禍からの回復や人手不足、最低賃金アップ
●奨学金は9.8%減、家庭からの支援は2%増
●在学生の声を通して「安心して学べる環境」の訴求を

受験生とその保護者は、在学中にかかる費用に加え、収入にも関心を持っている。オープンキャンパスの進学相談では「在学生はどのくらいアルバイトをしているか」「奨学金に頼らないと苦しいのか」といった質問も出るようだ。日本学生支援機構(JASSO)の「専門学校生生活費調査」2024(令和6)年度版から、今回は収入に関するデータを見ていく。
*図表は公表資料から流用

🔗専門学校生は自宅通学が多く、生活費は大学生の83%-JASSO調査(前編)
🔗令和6年度専門学校生生活調査結果
🔗令和6年度学生生活調査結果(調査結果の概要等)
🔗令和6年度学生生活調査結果(集計表) 
🔗令和6年度学生生活調査・高等専門学校生生活調査・専門学校生生活調査 | JASSO


アルバイト経験者も5ポイント増の79%に

2024年度の専門学校生の収入総額は189万3000円で、前回2022年度調査から8万3000円(4.6%)増えた。

構成比の高い順に内訳を見ると、「家庭からの支援」が85万7000円(45.3%)、「奨学金」が47万1000円(24.9%)、「アルバイト収入」が46万8000円(24.7%)などとなっている。

syunyusuii.png

前回(2022年度)の調査と比べると、アルバイト収入が13万9000円(42.2%)と大きく増えている。コロナ禍からの社会・経済情勢の回復や人手不足によってアルバイト求人が増えたことや、最低賃金引き上げに伴う時給アップなどが要因だろう。

zogen.png

調査時前の1年間でアルバイトをした経験がある学生は79.4%で、コロナ禍の影響下にあった2022年度から4.8ポイント増加。経験者のうち「家庭からの支援のみで十分修学可能」と答えたのは2.0ポイント増の41.0%、「家庭からの支援のみでは修学がやや困難・非常に困難および支援なし」が2.8ポイント増の38.4%で、2年間での変動や両者の差はさほど大きくない。

このことからも、アルバイト経験者およびそれによる収入の増加は、困窮によるものというより、就労機会の回復と時給アップという外部環境の好転によるものと考えるのが適切だろう。

「奨学金」は前回から5万1000円(9.8%)減少。🔗前編では授業料支出が前回調査から6.7%下がっており、国の修学支援新制度の拡充による授業料減免で、学生が実際に支払う額が抑えられたことが要因の一つと推測した。
奨学金収入の減少は、これと連動していると考えられる。つまり、授業料負担が軽減されたことによって、さらにはアルバイト収入の大幅増もあって、それまでと比べると貸与型奨学金に頼る必要性が低くなったのではないか。修学支援新制度による給付型奨学金が一定程度増えても、日本学生支援機構のものも含め貸与型奨学金の利用が減り、奨学金収入全体としては減った可能性がある。 

「家庭からの支援」は前回から2万円(2.4%)増えた。アルバイト収入が大幅に増えたとは言え、🔗前編で見たように物価高騰の影響で生活費が20%アップする中、家計からの支出も増やさざるを得ない状況だったと言えそうだ。

在学生の実際のアルバイト状況を伝え、関心に応える

大学昼間部の学生の収入は、前回調査から6万3000円(3.2%)増の203万円。内訳と構成比は「家庭からの支援」103万円(50.7%)、「奨学金」43万8000円(21.6%)、「アルバイト収入」50万8000円(25.0%)となっている。

専門学校生は大学生に比べ、「家庭からの支援」の構成比が5ポイント以上高い。社会人学生や外国人留学生の割合が高いためという推測もできるが、公表データからは「家計への依存度」が相対的に低く、収入源が相対的に分散傾向であることが読み取れる。 

高校生対象の募集広報では、自校の学生調査結果なども交え、よりリアルな学生生活を伝えることを考えたい。医療系など、実習や課題で忙しい分野の志望者は、学生が実際にどの程度アルバイトをしているか、知りたいはずだ。専門分野との関連性が高いアルバイトを学校側が紹介しているなら、経済支援策としてアピールできる。実際にそのようなアルバイトをしている学生が多い場合は、「授業で学んだことを現場で実践することによって、知識やスキルが定着し、就職活動でも強みになる」といったことを訴求できるだろう。  

データを使って専門学校生全般や自校の学生の生活をイメージできるよう伝えたうえで、学校側としてどんな支援、伴走をするかもぜひ説明してほしい。在学生のリアルな声を通して奨学金利用状況やアルバイトを含む週間平均活時間などを紹介し、「安心して学べる環境」「充実した学生生活」を伝えることができれば、受験生と保護者にとって志望校検討の有益な情報となるはずだ。

文・弘田翼(専門学校支援部)