専門学校生は自宅通学が多く、生活費は大学生の83%-JASSO調査
専門学校
2026.0410
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3行でわかるこの記事のポイント
●物価高騰を受け、生活費は2年前調査から20%増
●授業料が7%弱下がったのは修学支援新制度の拡充も要因か
●大学に対する優位性の訴求に加え、経済支援策の発信も
高校生とその保護者が進学先を検討する際、学費だけでなく「在学中にどれだけお金がかかるのか」が関心事となる。特に近年は物価上昇が続き、「学校生活にいくらかかるのか」「大学と比べてどうか」が気になるところだろう。そこで、日本学生支援機構(JASSO)がこのほど公表した「専門学校生生活費調査」2024(令和6)年度版から、専門学校生の生活に関わる"お金"の現状を概観する。前編は支出について見ていく。JASSOが同じ設問項目で実施している大学生の学生生活費調査との比較もふまえた、専門学校の学生募集広報への示唆とは―。
*図表は公表資料から流用
🔗令和6年度専門学校生生活調査結果
🔗令和6年度学生生活調査結果(集計表)
専門学校生や大学・短大生の生活費調査は、JASSOが隔年で実施。同じ項目で質問し、比較できるようになっている。2024年度調査の結果は2026年3月に公表された。大学生と短大生の調査結果はまとめて公表されているが、ここでは大学(昼間部)の学生に関するデータと比較する。
2024年度調査は、同年11月に無作為抽出によるWebアンケートで実施。
概要は次の通り。
◆専門学校生生活調査
• 調査対象:全国の専門学校(専修学校専門課程)に在籍する学生(社会人学生を含む/通信課程・休学者・外国人留学生を除く)
• 対象者数:1万7910人
• 有効回答数:7465人(有効回答率:41.7%)
◆学生生活調査
• 調査対象:全国の大学・短大の学生(社会人学生を含む/通信課程・休学者・外国人留学生を除く)。ここでは大学昼間部の学生のデータを使用
• 対象者数:大学・短大合わせて8万2593人。
• 有効回答数:1万2659人(有効回答率:15.3%)
専門学校生の年間学生生活費(学費+生活費)は180万7000円で、前回2022年度の調査から11万6000円(6.8%)増加した。このうち、学費は114万4000円で前回から0.4%増だったのに対し、生活費は66万3000円で20.1%増。物価高による生活費の大幅アップとなった。学生生活費全体に占める生活費の割合は32.6%から36.7%に上昇した。

生活費の中でも「娯楽・し好費」「食費」の増加が大きい。
学費のうち、授業料は72万円で前回より5万2000円(6.7%)下がっている。上がったのは課外活動費(182.4%増)、修学費(教科書・参考書・実習費等、34.5%増)など。
授業料が下がった要因としては、国の修学支援新制度の拡充による授業料減免で、学生が実際に支払う額が抑えられたこと、学校側の経営努力による授業料引き下げなどが推測される。
課外活動費の大幅増については、物価高騰による課外活動の移動交通費、施設使用料等のコスト増も要因と言えそうだ。
大学(昼間部)の学生生活費(学費+生活費)は201万9000円で、前回から10.7%増。内訳を見ると、学費は122万2000円で6.5%増、生活費79万7000円で17.7%増となっている。
学費のうち授業料は88万4000円で、前回調査の86万9000円から1.7%増えた。
大学生の学生生活費は専門学校生より年間で約21万円高い。生活費だけで見ると、専門学校生は大学生の83.2%に抑えられているが、これは自宅通学者の割合が高いことが主な要因だ。
今回の調査で専門学校生は、自宅通学者が7割台を占めている。

一方、大学昼間部では、自宅通学者は国立大学34.5%、公立大学40.3%、私立大学 66.0%となっている。
専門学校生の居住形態別データを見ると、自宅生と自宅外生では年間生活費に大きな差があり、この差が全体平均を押し下げる要因になっている。

専門学校が「地域密着型」の高等教育機関で、地元就職を希望して進学する層が多いであろうことがうかがえる。専門学校は2年制が多いため、大学4年間と比べると、卒業までに必要な費用にはさらに大きな差が生じる。専門学校は「在学中に必要な総コストを大学より抑えられる進学ルート」と言える。
まとめると、専門学校は大学と比較して次のようなことが言える。
・大学の授業料が2%近く上がったのに対し、専門学校の授業料は6.7%下がっている
・学費全体で見ると、大学は6.5%増で専門学校は横ばい
・専門学校生の生活費は大学生の8割程度に抑えられている
このように、調査をもとに大学進学との比較における専門学校進学の経済的メリットをデータで裏付けることができる。
一方で、物価高による生活費上昇というすべての学校種に共通する課題については、国の修学支援新制度をはじめ、学校独自の支援策も含めて丁寧に説明して受験生や保護者の不安を軽減する努力が欠かせない。「大学より安い」という次元にとどまらない幅広い視点での広報が求められている。
大学との比較における学費の安さは専門学校の魅力の一つであることは間違いなく、その強みをさらに磨く戦略を取っている学校もあるだろう。その一方で、昨今の物価高騰を受けて、授業料値上げに関する議論も活発化しているようだ。
学生募集への影響を最小限にとどめることを念頭に、専門学校ならではの強みを維持しつつ、授業料をどこまで引き上げられか、難しい判断が求められている。
後編では、専門学校生生活調査の収入に関するデータを見ていく。
文・弘田翼(専門学校支援部)