2023.0721

理系学部新設等を支援する事業に67大学を選定―文科省

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3行でわかるこの記事のポイント

●全申請大学が選ばれ、最長10年間、20億円までの支援を受ける
●文系中心の大学、女子大、単科大学など多彩な大学が新設をめざす
●福井県立大学、松山大学など7大学を「特筆すべき内容」と評価

大学による「デジタル」「グリーン」等、理系分野の学部設置等を文部科学省が最長10年間、約20億円まで支援する大型事業の初の選定結果が発表された。公立・私立合わせて67大学が選ばれ、今後3年以内の設置申請をめざす。

*文科省の発表はこちら
*大学改革支援・学位授与機構の発表はこちら
*参考記事(Between情報サイト)
国の基金による理系学部設置等の支援は最長10年間、20億円程度まで


●7校は「学部新設等」と「大学院レベルの教育支援」の両方で選定

 特定成長分野への学部転換等の改革を促す「大学・高専機能強化支援事業」では、3000億円の基金を活用して「デジタル」「グリーン」等の分野の人材育成を継続的に支援する。
 公私立大学が対象の「支援1」では、理・工・農の3分野、およびこれらのいずれかを含む融合分野への学部再編等を支援。原則8年以内、最長10年で、20億円程度までの支援を予定している。国公私立大学と高専が対象の「支援2」はデジタル分野の高度専門人材を養成する大学院レベルが対象で、最長10年、原則として10億円程度までの支援を予定している。
 2023年4月中旬から5月下旬にかけて対象校を公募し、支援1は67件(公立大学13件、私立大学54件)が申請、全てが選定された。支援2は申請57件のうち51件(国立大学37件、公立大学4件、私立大学5件、高専5件)が選定されたが、7校は支援1にも選定されている。

●「MARCH」の3校も選定

 支援1では、都市部の大規模総合大学、文系中心の中小規模大学や地方大学、工学や医療など理系分野の大学、女子大など、多彩な大学が選ばれた。環境、食、情報、データサイエンス等の分野が目立ち、文理融合型と推測される学部・学科もある。
 「MARCH」の中では、青山学院大学が統計・データサイエンス学部統計・データサイエンス学科、中央大学が健康スポーツ科学部健康スポーツ科学科など複数の学部学科、立教大学が環境学部をそれぞれ新設する計画だ。
 女子大では、日本女子大学が建築デザイン学部建築デザイン学科、椙山女学園大学が情報社会学部情報デザイン学科、京都女子大学が食農科学部、安田女子大学が理工学部生物科学科等をそれぞれ新設する予定。
 神田外語大学の国際経営データサイエンス学部、昭和音楽大学の芸術工学部など、単科大学も選定された。
 福祉系総合大学の日本福祉大学は、健康科学部福祉工学科を発展させる形で工学部の新設をめざす。
 福井県立大学は恐竜学部恐竜・地質学科といった独自色が注目される。
 博多大学(仮称)は学校法人を新設し、データサイエンス学部を設ける構想で選定された。 

● JABEE認定をめざす京都光華女子大学を「特筆すべき内容」と評価

 公募にあたっては、審査の観点として「産業界等のニーズをふまえた体系的な教育カリキュラム」「実務家教員による授業科目」「初等中等教育段階の学校との連携」「女子学生確保」などが示されていた。
 これらの観点をふまえ、「支援1」の審査において多数の項目で「特筆すべき内容がある」と評価されたのは東日本国際大学、共愛学園前橋国際大学、京都光華女子大学、芝浦工業大学、福井県立大学、山陽小野田市立山口東京理科大学、松山大学の7件。
 デジタル・グリーン学部デジタル・グリーン学科の新設をめざす共愛学園前橋国際大学は、地元・前橋市がデジタル田園都市国家構想の対象になっていることをふまえ、地元企業との共同による商品開発、クロスアポイントメントによる実務家教員の確保、初等・中等教育との連携といった構想が評価された。
 芝浦工業大学は既存のシステム理工学部の定員増をめざす。文理横断の教育プログラムやアントレプレナーシップ教育の充実を特徴とし、女子学生の割合向上を図る広報や入試の施策が評価された。
 松山大学は情報学部情報学科の新設を計画。「ITエンジニアの登竜門」とされる基本情報技術者試験に2年生までを目安に全員の合格をめざす。教育の質保証の具体的な目標に加え、県内企業へのインターンシップや女子学生に配慮した施設、女性教員の積極的採用といった計画も評価された。
 京都光華女子大学も教育の質保証における具体的な取り組みが「特筆すべき内容」とされた。新設を予定する食品生命科学科の教育プログラムは、日本技術者教育認定機構(JABEE)の認定をめざす。近隣の公的機関等と連携して施設や機器を充実させる点も評価された。

●2032年度まで申請受け付けの予定

 支援対象に選定された場合も、設置認可申請や届出等、従来の手続きは必要となる。選定された大学は今後3年以内に文科省に設置を申請する。
 支援1は2032年度までの申請受け付けを予定し、次の公募はスケジュールが決まり次第、文科省が発表する。