2023.0629

〈学生募集をDXで動かす~接触者育成のシナリオ〉vol.02
今、なぜデジタルシフトか~接触者の動きを可視化して1to1で育成

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3行でわかるこの記事のポイント

●接触の「タイミング×メディア」のパターンは高校生の数だけある
●接触行動の多様化でマスマーケティングの効果に限界
●デジタルシフトによるナーチャリングで「心地良いメッセージ」を届けよう

進研アド・MA事業部商品部の伊藤学部長が、デジタルシフトが求められている背景、デジタルによって何ができるのかをわかりやすくお伝えします。


●「いきなり出願」の生徒も実は大学ホームページを訪問?

 6月下旬にもなると、大学のキャンパスは4月の喧騒から落ち着きを取り戻し、一人ひとりが思い思いに、キャンパス内を往来している様子が見えてきます。高校生の進路決定までの歩み方も同様です。大学との接触状況をつぶさに見ていくと、いろいろな生徒がいることに気づきます。例えばーー。
◆1年生の時点で大学案内を取り寄せ、オープンキャンパスにも参加、2年生でも同様に新しい大学案内を請求し、オープンキャンパスへ。大学ホームページも頻繁に訪問して学部情報をしっかりと見ていたにもかかわらず、3年生の春になると突然足取りが途絶えてしまう生徒。
◆出願で初めて特定の個人として大学に認識された(いわゆる「いきなり出願」層)が、実はホームページには3年の春から短期間で何度もアクセスしていた生徒。
◆高校の指導を受けたためなのか8月に資料請求をしたきり、その前も後にもホームページには一度もアクセスすることなく、指定校推薦に出願する生徒。 

 下図でもわかるように、年内入試志望者の進路選択プロセスだけを見ても、いつ、何を起点にして大学と接触するかは今や実に多様です。

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●デジタルならメール開封の有無やHP滞在時間の把握、スコア化が可能

 高校生の十人十色の足跡を辿っていくと、大学案内や入試ガイドの完成、資料の一括発送、オープンキャンパスや入試対策講座の開催、そして出願から入試へと続く従来の学生募集活動という一連のスケジュールに、ぴったり合った行動をする高校生がいかに少ないかが分かります。

 そんな中、「抜本的な改革が必要だ」と認識しつつも、学内のさまざまな意見を調整した結果、前年踏襲にならざるを得ないという大学も多いのではないでしょうか。
◆10月に初めて資料請求した人に、いきなり学校推薦型選抜の告知DMを送る。
◆1年生から何度もホームページにアクセスしてくれている生徒が3年生になった途端、「数字で見る〇〇大学」といったランディングページに誘導する。
◆12月の入試対策講座の情報を、低学年含め一斉に配信する。 
 このように、自分たちがその時々で伝えたいことを、個々の高校生の状況や内面に関係なくマスマーケティングの手法で発信している大学が多いのが現状です。 大学の「伝えたいこと」が高校性に「伝わる」よう、苦労しながら試行錯誤するケースもあるでしょう。

  高校生が進路選択に向けてどのように歩んできているのかしっかりと確認して、一人ひとりに合わせたメッセージを送り分けするのは至難の業です。ここで解決のヒントとなるのが「学生募集DX」です。大学からの発信に対する開封やクリック等の反応の計測、ホームページのどの情報をどれくらいの時間閲覧しているかの把握、さらには、これらをスコア化して情報を送り分けるところまでできるのがデジタル・ツールの特徴です。

●ナーチャリングとは「今、必要な情報」で興味・関心を育てる営み

 学生募集DXのキーワードは「ナーチャリング」です。ナーチャリングとは、その大学に興味を持ち接触してきた高校生に、大学が伝えたいことを一気に語り尽くすのではなく、その生徒が今、必要としている情報にフォーカスして伝え、少しずつ興味・関心を育てていく営みです。進路選択のスケジュールや普段活用しているメディア、そして志望度に応じて、それぞれの高校生にとって一番心地良いメッセージを届けることです。

 LINEは友だち同士の連絡用ツール、インスタやTwitterは検索用に使われていると言われています。ある大学では、LINEの友だち登録をしている生徒の出願率は50%を超えています。この大学がメールアドレスを保有している生徒の出願率は、保有しない生徒の3倍以上というデータもあります。
 活用するメディアやメッセージを届けるタイミングを最適化するなど、MA(マーケティング・オートメーション)ツールを活用して、高校生が「これこそ、自分の知りたかったことだ」と思えるような心地良いメッセージを届けてナーチャリングしたことが、出願率の向上につながったといえます。また、志望度の高い層を見極めて継続的にメッセージを配信するなどして、コンタクトポイントを最大化させることは、入学歩留まり率の向上にもつながると考えられます。

●来校者数、出願件数にMAツールの効果

 最後にMAツール導入による成果をご紹介します。下図はMAツールを導入した大学の来校者数、出願件数の変化を示したものです。来校者数の伸びがB校191%、C校161%など、いずれの大学でも導入による成果が出ています。

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 また、冒頭に紹介した高校生の接触の足取りやLINE、メールアドレス保有者の出願状況などをリアルタイムに分析できること、それによって、1年後の募集戦略を検討するだけではなく、期中での戦略見直しができるのも、MAツールのメリットと言えます。
 自分らしい進路選択ストーリーに寄り添ってくれること。これこそ、受験生が大学に求めていることであり、学生募集DXなら、それが実現できます。

 *進研アドが提供する学生募集MAツール「infoCloud Digital Marketing」の紹介はこちら
*進研アド主催・学生募集広報DX Webセミナー「学生募集広報に今なぜ"デジタルマーケティング"が必要か」の案内はこちら


〈今回のナビゲーター〉

伊藤学(いとう・まなぶ)
進研アドMA事業部商品部部長

2007年の進研アド入社以来、クリエイティブ部門に所属し、プランナーとして全国の大学を対象に、Webを起点としたコミュニケーションを中心に提言、実践。2018年から4年半、東海地方の私立大学の入試広報部門に出向し、広報戦略の立案・実践を支援するとともに、「中の人」としてMAツールのメッセージ配信も担当。
「大学への出向時、接触者一人ひとりを大切にする募集担当者の熱意に共感しました。デジタルシフトはその熱意を接触者に届けるための効果的な術だと確信し、現在は商品磨きにまい進しています」