2023年度から私学助成不交付基準は収容定員超過率に一本化
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2022.1201
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3行でわかるこの記事のポイント
●入学定員超過率による不交付基準は廃止
●入学定員超過率の現行基準に合わせ、収容定員超過率の基準を厳格化
●収容定員超過率1.07倍以上に対する減額基準も厳格化
文部科学省は2023年度からの私立大学等経常費補助金の配分において、入学定員超過率による不交付措置を廃止し、収容定員による不交付措置に一本化することを決め、このほど各大学に通知した。現行の入学定員超過率の不交付基準に合わせる形で、収容定員超過率の不交付基準を厳格化する。
*参考記事(Between情報サイト)
学部設置の認可要件基準は収容定員で算出、充足率5割以下は不認可
私学助成の配分は「複数年度の収容定員」の管理で-有識者会議が提言へ
私立大学等経常費補助金の不交付基準は現在、入学定員超過率と収容定員超過率の両方で設定されている。収容定員8000人以上の大規模大学の場合、入学定員超過率1.1倍以上、収容定員超過率1.4倍以上が不交付の基準となっている。
2023年度からは入学定員超過率の基準を廃止し、収容定員超過率の基準に一本化する。これに伴い、厳格化されてきた入学定員超過率の基準値に合わせる形で、収容定員の不交付基準となる超過率を2025年度にかけて段階的に引き下げる。収容定員規模ごとの引き下げ(医⻭学部以外)は以下の通り。
【収容定員4000人未満の大学】
2023年度1.5倍
2024年度1.4倍
2025年度1.3倍
【収容定員4000人以上8000人未満の大学】
2023年度1.4倍
2024年度1.3倍
2025年度1.2倍
【収容定員8000人以上の大学】
2023年度1.3倍
2024年度1.2倍
2025年度1.1倍
補助金不交付の基準をクリアした場合に適用される「収容定員超過率による減額ルール」の基準も、段階的に厳格化される。収容定員8000人以上の大学の場合、現在、超過率1.07~1.09倍で3%減額のところ、2023年度からは6%減額になる。現在、超過率1.25~1.28倍で22%減額だが、2023年度は1.24 ~1.29倍で50%減額になる(2024年度からは不交付)。
なお、入学者数の適正管理のインセンティブとして設けられた「入学定員充足率0.9倍以上1.0倍以下の場合の増額ルール」は2023年度から廃止される。
また、文科省が検討することになっていた「入学定員充足率が1.0倍を超える場合の超過数に応じた学生経費相当額の減額措置」については、実施を見送る。
今回のルール改定は、中央教育審議会大学分科会質保証システム部会が2022年3月に出した「審議まとめ」において、「大学が安定した見通しをもって新たな取組を進めることを促す観点」から「基盤的経費の配分や設置認可申請等における定員管理に係る取扱いについて」「現行で入学定員に基づく単年度の算定としているものは、収容定員に基づく複数年度の算定へと改める」と提言したことをふまえたものだ。背景には、大学が補助金の不交付を回避するために少人数の追加合格発表を繰り返し、それによって受験生が不安定な状態に置かれるという問題があった。
「単年度の入学定員管理から複数年度の収容定員管理へ」のルール変更は大学の要望もふまえたものだが、不交付基準の厳格化を伴うことによって「合格者数の絞り込み、少数単位の追加合格発表が進むことになるのでは」 との見方もある。