2022.0824

学部設置の認可要件基準は収容定員で算出、充足率5割以下は不認可

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3行でわかるこの記事のポイント

●厳格な成績管理による留年者の数は除外して算出
●定員割れによる不認可は経過措置を設け、2024年3月末申請分から適用
●届出制度には適用されない

文部科学省は大学・短大等が学部・学科を新設する際の認可基準となる定員超過率を、従来の入学定員による算出から収容定員による算出に変更する。定員超過に加え、定員未充足の状況についても基準を新設し、5割以下は不認可とする。


●弾力的な定員管理が可能に

 学部等新設の認可における定員管理に関する制度の見直しは、2022年3月に出された中央教育審議会大学分科会質保証システム部会の提言を受けたもの。文科省は9月中旬まで告示の改正案についてパブリックコメントを募っている。その結果もふまえて2022101日から新制度を施行。届出による学部・学科の設置等は今回の見直しの対象外だ。
 現行制度の認可要件は、設置申請する年度から過去4年間の各既存学部の平均入学定員超過率が、大学・学部の規模に応じて1.05115倍未満となっている。この基準を超える学部が一つでもあると認可されない。新制度ではこの基準が「申請する年度の収容定員超過率」に変わる。規模ごとの基準値は現行のまま。20233月末の申請分(2024年度学部等設置)から適用される。
 これにより大学は、設置申請を予定している年度でも前年度までの中退者数を考慮して多めに入学させるなど、弾力的な定員管理が可能になる。
 成績管理の厳格化に取り組んだ結果、留年者が増えて収容定員超過率が高くなることも想定される。そのような場合、「GPAに基づいて進級要件を定め、厳格に運用している」ことを示せば在籍者数から留年者数を除いて算出できるなど、私学助成の配分における収容定員の管理と同じルールが適用される。

●「定員割れの学部については届出制度も活用した改革を」

 定員超過率による認可基準は教育の質を担保するための仕組みだが、一方で大学に健全な経営を促す観点から、今回新たに定員割れの場合の認可基準も設けられる。収容定員充足率5割以下の学部が一つでもあると認可されないというもので、こちらは経過措置を設け、2024年3月末申請分(2025年度学部等設置)から適用される。
 定員充足率が5割以下の学部を抜本的に改革する場合について文科省は、「届出による定員削減や学部廃止等によって対応することができる」と説明している。