2018.1121

今年度から定員割れによる私学助成減額率を最大7ポイント引き上げ

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3行でわかるこの記事のポイント

●文科省は「改革に努める大学への支援強化とのセットでめりはりづけ」と説明
●充足率1%ごとに減額率を設定
●特別補助でも定員割れの度合い等による減額率導入を検討

2018年度からの私学助成配分ルール変更点の一つとして、定員割れによる減額率強化の具体的内容がこのほど固まり、各大学に通知された。最大で減額率が7ポイント引き上げられ、次年度はさらに厳しくなる見通しだ。


●「充足率を1ポイントでも上げる努力を促すための見直し」

 今回の見直しは、私学助成が交付されている大学等の半数以上が定員を満たしていないことを財務省が問題視し、文部科学省に「私学助成が経営の厳しい大学の延命策になりつつある」「国民から、大学への"ばらまき"ととられかねない」と指摘したことが発端。定員割れによる減額率を強化する一方、改革に努める大学への支援をより手厚くし、「めりはり」をつけることで両省が一致した。
 これまで、定員充足率「90~87%は2%減額」から始まっていた減額ルールを「90%は減額なし」とする一方、「89%は5%、88%は6%、87%は7%の減額」という具合に改訂。充足率を「階段状」に区切っていたのを1%ごとに区切る「リニア方式」に変更し、減額率を引き上げた。引き上げ幅は3~7ポイントとなっている。減額率はこれまで徐々に強化され、今回の見直しは2011年度以来7年ぶりとなる。

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 文科省の担当者は「充足率が89%でも87%でも減額率が同じだと、87%の大学にとって、改革に努めてあと2ポイント上げようという発想になりにくかった。90%を一つの目標に、充足率を1ポイントでも上げてもらうための見直しだ」と話す。2018年度は先行実施と位置づけ、その影響を分析したうえで次年度からはさらに減額率を強化する予定だ。

●特別補助の配分でも教育の質の指標反映へ

 2018年度からの一般補助配分ルールの変更はほかに、「教育の質の指標導入」「財務情報の非公表に対する減額率の強化」が決まっている。
 2018年度は特別補助の配分ルールも変わる。私立大学等改革総合支援事業、私立大学等経営強化集中支援事業については交付対象校の削減、および審査方式等の見直しが決まっている。加えて、新たな減額ルールも導入される方向だ。ここでも定員充足率や教育の質の指標が使われ、「定員割れが一定基準以下」「5年程度連続の赤字」「教育の質が一定基準以下」「定員割れの度合いが〇年間、悪化を続けている」等の全てにあてはまる場合、特別補助を減額する方向で、指標ごとの基準値も含め検討されている。
 私立大学が補助金を減らされないためには、「学生の安定的確保」「積極的な改革による教育の質の確保」「情報公表」等の努力が一層重要と言える。


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