2018.0207

THEアジア大学ランキング-東大は1つ下げ8位、京大は3つ上げ11位

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3行でわかるこの記事のポイント

●日本からのランクインは89大学、国別で最多
●藤田保健衛生大学は初のランクインで83位と高順位
●日本の大学の平均スコアで唯一下がったのはST比

イギリスの高等教育専門誌「Times Higher Education(THE)」は2月7日、「THEアジア大学ランキング2018」トップ350+を発表した。1位は前年と同じシンガポール国立大学で、ほぼ全分野でスコアを伸ばした。日本からは東京大学が前年より順位を1つ落として8位、京都大学は3つ上げて11位と、トップ20に2校がランクイン。THE幹部は日本の大学について、ランクイン校数がこれまでで最多だと評価する一方、中国の大学が急速に台頭する中でランキングから脱落するところもあったと懸念を示した。
*THEの発表はこちら


●ランクイン大学全体の4分の1が日本、5分の1が中国

 「THEアジア大学ランキング2018」のトップ10では、2位清華大学(中国)と3位北京大学(中国)の順位が前年から入れ替わり、清華大学が初めて中国の大学のトップに躍り出た。香港中文大学が前年の11位から7位にアップする一方、浦項工科大学校(韓国)が10位から12位に。他は同じ顔触れで順位にも大きな変動はなかった。
 トップ20の国・地域別の内訳は、中国7大学、韓国5大学、香港5大学、日本2大学、シンガポール2大学で、中国の大学の強さがわかる。

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 日本からのランクインは、2017年に発表されたトップ251+では69大学だったのに対し、今回のトップ350+では89大学に増加。全体の4分の1を占めて国別で最多だった。中国からは全体の5分の1にあたる63大学がランクインした。THEランキング編集長のフィル・ベイティ氏は「中国を除く東アジアの国々はアジアでの激しい競争を勝ち抜くために努力が必要だ」と総括している。

●THEはスーパーグローバル、指定国立大学への期待を表明

 日本の大学について見ていく。3番手である大阪大学は順位を4つ上げて28位。対して、4番手の東北大学(4ランクダウンの30位)と5番手の東京工業大学(3ランクダウンの33位)は順位を下げた。公立大学で日本トップの首都大学東京は論文引用数の大幅減により35ランクダウンの104位だった。初めてランクインしたのは藤田保健衛生大学(83位)など22大学。藤田保健衛生大学は日本の中で筑波大学(63位)の次に位置し、私立大学でトップとなった。

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 THEによると、日本の大学の平均スコアは前年から改善。教育と研究に対する評判が高まり、論文引用数も増えた。「産業界からの収入」の指標でも非常に高いスコアを獲得したという。一方で唯一、「教員数:全学生数比率」のスコアが下がり、課題が浮き彫りになった。
 ベイティ氏は「日本の大学のランキングは全体として前年より向上する一方、中国はじめ他の国が急速に順位を上げる中でランキングから脱落する大学も出ている。トップ10に東京大学しか入っていないのは残念で、8位というその地位も危うくなっている」と懸念を表明した。こうした状況の中、スーパーグローバル大学創成支援事業や指定国立大学法人制度など、文部科学省の施策は「アジア、および世界における日本の大学の評判とステータスの回復に役立つだろう」と述べている。

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