2026.0105

都市部の大学が学生を地方に送り出す国内留学の体制整備を支援-文科省

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3行でわかるこの記事のポイント

●地方の大学、自治体、産業界と連携してPBLやインターンシップを実施
●教員個人の取り組みから組織的・継続的な取り組みへの拡充を期待
●初年度は10件の支援を予定し、10億円を予算要求

文部科学省は、中央教育審議会が2025年2月にまとめた「知の総和」答申に基づき、2026年度、地域大学の振興や地方創生を支援する新規事業を複数予定している。その一つ、国内留学促進事業を紹介する。東京をはじめとする都市部の高等教育機関が学生を地方に送り出す体制や仕組みの構築を支援。地方への新たな人の流れを創出し、地方創生につなげることがねらいだ。
*図は文科省の資料から流用

🔗文科省の2026年度高等教育関係概算要求(「都市と地方の連携を通じた国内留学等の促進」は9ページ
🔗地域の高等教育アクセス確保について議論する新たなプラットフォーム構築を支援-文科省


体制整備やプログラムコーディネートの費用を支援

文科省は2026年度、国内留学促進のために10億円を予算案に盛り込んでいる。
都市部の大学が、地方でのPBLやインターンシップ等の教育プログラムを設け、継続的に学生を送り出す体制や仕組みを構築することを支援する。

対象は国公私立の大学・短大と高専。2028年度まで3年間継続し、初年度は10件に対し1億円程度を助成する予定だ。
学生の旅費や滞在費等、留学プログラムの実施そのものというよりは、主に学内の体制整備やプログラムのコーディネート等にかかる費用を中心に支援する。

この事業は2025年6月に閣議決定された「地方創生 2.0 基本構想」に基づき、東京一極集中の是正を図ることを主な趣旨とする。「都市部」は東京を中心とする首都圏、「地方」はそれ以外の地域を想定していて、公募開始時に具体的な定義を示す。

背景には、進学・就職時の地方から都市部への人口流出がある。文科省の担当者は「東京生まれ東京育ちで地方のことを知る機会が少ない学生が増加傾向にある」と説明。この事業は、地方への新たな人の流れをつくり、都市部の学生に地方の課題に対する理解を深め解決に関わってもらうことによって、地方創生を図るものだ。
国内留学を終えた後も学生が地方と行き来したり、移住したりと、継続的な関わりに発展することも期待されている。

「海外留学と同様の全学的な支援体制の構築を」

大学が学生を送り出す地方の派遣先・連携先は大学に限定しない。自治体と連携して商店街活性化など地域の課題解決に取り組んだり、産業界と連携してインターンシップを実施したりするといったプログラムも対象になる。地方の大学で学びながら、自治体が出す課題に取り組むことなども想定されている。

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現状、教員個人がゼミなどで学生を地方に送り出すケースも多く、文科省はこれを学部単位や全学など、組織的な取り組みに拡充させたい考えだ。担当者は「今やどの大学でも海外留学の相談に乗ったり、留学プログラムを企画・実施したりする部署がある。国内留学についても同様に、希望する学生を支援できる組織的な体制を整えてほしい」と説明する。

特定の学部等で国内留学プログラムを導入済みの大学は、他学部の学生が参加できるようにするなど、拡充を図ることによって支援の対象になり得る。

早ければ2025年度内に事業の公募が始まる見通しだ。