新課程で初の共通テスト、予想平均得点率は文・理ともほぼ前年並み
学生募集・高大接続
2025.0122
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3行でわかるこの記事のポイント
●ベネッセと駿台予備校、河合塾が約40万人の自己採点結果に基づき算出
●前年から平均点の大きな変動はなく、国公立には強気で出願か
●初出題の「情報Ⅰ」の予想平均点は69点
新しい教育課程に対応した初の大学入学共通テストが1月18、19の両日、実施された。ベネッセコーポレーションと駿台予備学校が提供する同テスト自己採点集計「データネット2025」は21日、河合塾との連携によって計約40万4000人の受験生から提出された自己採点結果に基づく予想平均点を発表。同日23時07分時点の予想平均点は、文系6教科(1000点満点)が620点で得点率62.0%(前年から+2.4ポイント)、理系6教科(1000点満点)が633点、得点率63.3%(+1.2ポイント)と、いずれも5教科900点満点だった前年の得点率をやや上回った。共通テスト後の受験生の混乱は少ないと考えられることから、国公立大学への出願は、模試での志望と同様に強気でのチャレンジになりそうだ。私立大学では受験校の絞り込みも考えられる。
記事中、平均点の前年差は2024年度入試センター発表平均点(最終集計)との差を四捨五入したもの。
5回目となる大学入学共通テストは、新課程に対応して「地歴・公民」の科目が再編されたほか、新たに「情報」が加わり全6教科となった。
文系・理系とも6教科の平均得点率は前年並みだ。
「国語」の予想平均点は127点(前年から+11点)だった。
「数学I・A」は54点(+3点)、「数学Ⅱ・B・C」は52点(前年の「数学Ⅱ・B」と比べ-6点)。
「英語(リーディング)」は58点(+6点)、「英語(リスニング)」は61点(-6点)。
理科で前年との差が大きい科目は「地学」45点(-12点)、「化学」46点(-9点)。
科目が再編された「地歴・公民」では、「歴史総合、世界史探究」66点、「公共、政治・経済」62点、「公共、倫理」60点などで予想平均点が60点を上回った。
比較的易しかったとされる「情報Ⅰ」の予想平均点は69点。
データネットは今回から、自己採点の集計を河合塾(共通テストリサーチ)と共同で実施。より安定した母集団で出願指導データを提供できるようになった。
志望校判定の基準は従来通り両サービスが個別に設定し、共通サイトでそれぞれの判定を見られる。加えて、共通サイトからリンクする「マナビジョンCompass」では、さまざまな大学の判定シミュレーションが可能になっている。
ベネッセは予想平均点のデータに志望動向も加味して分析。エリアごとに高校教員を対象にした説明会を開催し、分析結果をフィードバックして出願指導を支援する。
大学入試センターの発表によると、今回の共通テストの志願者数は49万5171人で、前年から3257人(0.7%)増加。
現役生は前年より6434人(1.5%)多い42万5968人、既卒生は前年より3246人(4.8%)少ない6万4974人。全体に占める現役生の割合は、前年から0.7ポイント上がって86.0%になった。
現役生のうち共通テストに出願した者の割合を示す現役志願率は、前年から0.3ポイント上がって45.5%。
受験生の出願動向に詳しい進研アドの中村浩二主席研究員は「本年度は新課程による初めての実施であったが、6教科予想平均点は文理ともに上昇するなど、"ソフトランディング"と呼べる結果であった。そのため、当初の出願プラン通りに落ち着いて行動する受験生が多いのではないか」と予想。「入試の競争緩和が進む中、模試ではより上位の大学をめざす受験生の動きが目立っていたので、本番でも挑戦志向で国公立大学に出願するだろう」と分析する。
こうした傾向は私立大学の入試にどう影響するだろうか。中村研究員は「共通テストで想定以上に得点できた受験生は、私立大学に出願していても安全校を中心に実際の受験を絞り込むことが考えられる。大学が受験者を確保するには、受験生本人というより高校教員や保護者への一押しが必要だろう」と見る。「その一方で、実力を十分に発揮できず、当初の出願プランを急いで見直す受験生にとっては『今から出願できる入試』の情報はとても貴重だ」として、入試終盤の募集広報戦略の重要性を指摘する。