2024.0708

入学前教育やガイダンス、交流会など入学前の支援に注力-大阪信愛学院大学

入学前教育・初年次教育

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3行でわかるこの記事のポイント

●1年次から主体的な学習姿勢を身に付けさせるため入学前教育を重視
●リメディアル教材ではなく学問系統別の教材で自分ごと化を促す
●先輩からの励ましや助言が功を奏し、受講完了率がアップ

大阪市にある大阪信愛学院大学(旧大阪信愛学院短期大学)は、看護学部と教育学部で構成する4年制大学として2022年に開学した。看護学部は当初から手厚い入学前支援を行っていたが、2024年度はこれをさらに強化した。


フォローが手厚い外部のプログラムを選択

大阪信愛学院大学看護学部は、多様な入試制度の下、すべての入学者が円滑に大学での学修に入れるよう、開学時から入学前の教育支援体制を整備していた。
入学前教育担当の委員である阪上由美准教授は「看護学部では2年次から国家試験対策が本格化するため、1年次の早い段階から主体的にコツコツと学習を継続する姿勢を身に付けてもらう必要がある。その導入として、入学前の支援を重要視している」と話す。

開学初年度は、短大時代から実施していた入学前教育を見直し、入学前ガイダンスも企画した。
「入学前教育は当初、医学系出版社の看護学生向け参考書を使うことを検討したが、今後、上級生の国試対策の指導で教員が忙しくなると入学前教育のフォローが難しくなると考えて、やめた」と阪上准教授。教育事業者が提供する複数のプログラムを比較検討し、フォローが手厚い現在のものに決めた。

使っているのは、入学後の学びや看護師の仕事について具体的にイメージできる看護・医療系テキスト、生物の復習用教材、論理的思考力を鍛える教材だ。
「一般的なリメディアル教材よりも学問系統別の教材の方が、学生が自分ごと化して入り込みやすく、最後まで取り組めると考えた」。課題提出状況が芳しくない受講者に対しては、プログラム提供者がフォローするほか、教員も電話で受講を促し、課題完了率向上に取り組んでいる。
受講費用は本人が負担。入試区分に関係なく全合格者に案内し、希望者に受講してもらっている。

一方の入学前ガイダンスは、各入試区分の合格者にとって適切なタイミングである12月、2月、3月の3回、集合形式で実施する。看護学部の学びの特徴や学生支援体制について説明し、個別相談や交流も行う。
ガイダンスでは入学前教育についても案内。高校と大学の学びの違い、学習継続の必要性について説明し、大学生になるためのマインドセットをする。

2024年度から入学前支援をさらに強化

開学から2年が経過し、学修の仕方に戸惑う学生が増えてきていることや学生の多様化がいっそう進んだことを理由に、2024年度入学者から支援を強化することになった。阪上准教授は「入学前教育の課題提出状況や1年次の学習習慣、学習態度に問題があると、成績不振に陥りやすい」と話し、入学前からのフォローが留年防止にもつながると指摘する。

そこで、入学前教育担当の委員を2人から5人に増員。支援策を再検討し、以下の通り改善した。 

①LMSによる情報発信の強化と閲覧促進
入学前から閲覧させるLMSでの情報発信を増やし、閲覧を促すようにした。それまでも合格通知の時にLMSを案内してログインを促していたが、あまり閲覧されていなかった。「入学後、大学からの各種案内や課題の配信をするLMSを見る習慣をつけておかないと課題を把握できず、授業についていけなくなる」と阪上准教授。

2024年度の入学予定者に対しては、LMSで新たに入学前教育をはじめとする学習継続を促し、1年次開講科目の教員による授業案内の動画、在学生の学び体験記などを発信。学びへの不安を解消し、入学準備を万全にしてもらうことを目的としている。
そのうえで入学前ガイダンスでは、実際に各自のスマートフォンを使ってログインの方法や発信内容を確認させ、入学後はどのような情報が発信されるか説明した。

その結果、2024年度の入学者は入学直後からLMSへのログイン率が高く、基礎科目については100%近くに上った。

②先輩学生が入学前教育への取り組みの重要性を伝える
2023年度入学者の入学前ガイダンスでは在学生が大学生活について紹介したが、2024年度は入学準備期間の学習の必要性を伝える時間を長くした。

入学前教育を受講した学生は「解剖学の授業についていけるよう、生物基礎はしっかり復習しておくほうがいい」「入学前教育に取り組むと、入学後の学びのイメージがわいて不安が和らいだ」などと話した。

活用している外部の入学前教育プログラムでは2024年度、受講者のモチベーションを高めるためオリエンテーションが強化された。
これらの結果、2024年度入学者の看護・医療系テキストの受講完了率は前年度より8.4ポイント上昇、期日内提出率も9.1ポイント改善。阪上准教授は「入学準備期間に課題に取り組む意義を入学者目線で複数回、いろいろな立場から伝えた結果、受講生の意識が高まったのではないか」と話す。

③ 入学前交流会で仲間づくりを支援
2024年度入学者については、入学前ガイダンスとは別に入学前交流会も実施した。過去2年間の入学前支援に対するアンケートで多かった「同級生と交流する機会がもっと欲しかった」という意見を反映したものだ。
「仲間ができると学習に対する意欲が増すと考え、3月、入学予定者全員を対象に企画した」(阪上准教授)。

交流会には入学予定者45人と保護者10人が参加。グループ単位で、校内に仕掛けられたミッションをクリアする「オリエンテーリング」を行い、仲間づくりを促した。

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交流会参加者アンケートの満足度は100%と高く、来年度も継続する予定だ。

大阪信愛学院大学看護学部は入学後の学生の様子をふまえ、入学前準備期間の支援を少しずつ見直している。阪上准教授は「年内入試の比重が高く、学習習慣が身に付いていない入学者も多いため、早い時期から看護師になるという目標に向けて主体的な学習姿勢を身に付けさせることが重要だ。今後も、入学者の変化にあわせて、支援の内容やタイミングを改善していきたい」と話す。


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