THEアジア大学ランキング2024―「研究の質」の指標追加で日本の大学が躍進
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2024.0509
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3行でわかるこの記事のポイント
●東大は3ランクアップの5位、京大は5ランクアップの13位
●日本からのトップ30入りは前年の2校から5校に増加
●総合トップは6年連続で中国の清華大学
イギリスの高等教育専門誌「Times Higher Education(THE)」はこのほど、「THEアジア大学ランキング2024」を発表した。「研究の質」と特許に関する指標が新たに追加されたことによって、日本の大学のランキングが軒並み上昇。東京大学は5位(前年8位)、京都大学は13位(前年18位)だった。日本からのトップ30入りは前年の2校から5校に、トップ100入りは6校から10校に増えた。
「THEアジア大学ランキング」は今回が12回目。
中国の清華大学が6年連続でトップの座を維持、2位の北京大学、3位のシンガポール国立大学はそれぞれ5年連続となる。
トップ10入りした数は、中国が前年より1校多い5校で他を圧倒、シンガポールと香港が2校ずつ、日本は1校だった。トップ10のうち前年から順位を上げたのは、南洋理工大学 シンガポール(5位→4位)、東京大学(8位→5位)、上海交通大学(9位タイ→7位)、復旦大学(9位タイ→8位)、浙江大学(12位→9位)の5校。
今回は31の国・地域から、前年より70校多い739校がランクインした。ランクイン校数は、日本が前年より2校多い119校で今回もトップ。インド91校、中国86校、トルコ75校、イラン73校と続く。これらの中で中国のみが前年から減少し(前年は95校)、16校増えたインドと順位が逆転した。
新たなランクイン校の多くは西アジアと南アジアの大学。データを提出したもののTHEが定める条件や基準を満たしていない「ランキング対象外」は388校あった。
「THE世界大学ランキング2024」の指標改訂に伴い、アジア大学ランキングの指標も下表の通り変わった。
従来の「被引用論文」分野が「研究の質」分野となり、3つの指標が追加された。さらに、「産業界」分野に「特許に引用された論文数」の指標が追加された。
日本に有利に働く「研究の質」の指標が加わったことにより、日本の大半の大学が大幅にスコアアップ。アジア地域の平均を大きく上回った。
その結果、東京大学、京都大学をはじめ軒並み順位が上昇。日本第3位の東北大学は前年の34位から20位に上がり、大阪大学(47位→28位)、東京工業大学(56位→29位)と続く。トップ10大学のほとんどの順位が下降傾向にあった前年までと比べ、状況が一転した。
今回、日本から新たにランクインしたのは、和歌山県立医科大学(251-300位)、兵庫医科大学(401-500位)、奈良女子大学と富山県立大学(いずれも601+)の4校。
THEチーフ・グローバル・アフェアーズ・オフィサーのフィル・ベイティ氏は「新たな指標の導入により、日本の大学の研究成果における卓越性が明らかになった。今回の成績の好転と大幅な順位上昇は、日本の高等教育の先行きが非常に明るいことを示している」とコメント。日本の研究力を一層強化するものとして、10兆円規模の基金による「国際卓越研究大学制度」の創設を評価した。