2024.0422

〈学生募集をDXで動かす~接触者育成のシナリオ〉vol.12
「いきなり出願」予備軍を接触者に変えるポップアップ機能

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3行でわかるこの記事のポイント

●サイト訪問リピーターを資料請求やオープンキャンパスに誘う
●「匿名」時代の閲覧情報も紐づけ、ナーチャリングで志望度を高める
●初訪問者にはサイト内の回遊を促すポップアップを

資料請求やオープンキャンパス参加など、大学との接触を経ることなく出願してくる「いきなり出願」への対応に頭を悩ませる大学は少なくありません。MA(マーケティング・オートメーション)ツールを導入する大学の多くが、この問題の解決を目的の一つに挙げています。今回は、問題解決につながるMAツールの機能の一つ、ウェブサイト上でのポップアップ表示について、進研アドの荒牧耕平MA事業本部長が解説します。


歩留まり予想を難しくし、中退リスクも高い「いきなり出願」

「いきなり出願」を歓迎しない大学が、その理由として挙げるのは「大学に対する理解や共感が高まっていない状態での出願だから」です。このような志願者が増えると歩留まりが読みにくく、合格者数を決めるのが難しくなってしまいます。さらに、合格・入学しても、大学の学びについて「思っていたのと違う」と失望して中退してしまうリスクが高くなりがちです。

この問題の解決策となるのがMAツールのポップアップ機能です。すべてのMAツールに装備されているわけではなく、今回の話は「ポップアップ機能が備わっているツール」を前提にしていることをご了承ください。

ポップアップとは、ウェブサイトの画面に自動的に表示される別の画面(ウィンドウ)のこと。メインの画面からワンテンポ遅れて広告等の情報を出すパターンが多いと思います。
一部のMAツールにもこの機能があり、学生募集DXで効果を発揮します。自学のウェブサイト訪問者にポップアップで個人情報の入力を促し、それ以降は「接触者」としてナーチャリングしていくことができるからです。 

「匿名の訪問者」から個人情報を取得してナーチャリング

「いきなり出願」に見える高校生でも、実際にはそれ以前に大学のウェブサイトを見ているケースがほとんどです。
一部のMAツールでは、「匿名の訪問者」であっても閲覧履歴が取れます。その中から繰り返しサイトを見ている訪問者を特定し、オープンキャンパスの参加申し込みや資料請求、LINE登録を促すポップアップを表示することが可能。そこで個人情報を入力してもらえば、「匿名の訪問者」が「接触者」に変わります。

その時点で、匿名時代の閲覧履歴(いつ/どのページを/どれくらい見たか)のデータも接触者情報として紐づけされます。
それ以降、閲覧履歴や入力された個人情報に基づいて、メールやLINEによる継続的なコミュニケーションができるようになります。一人ひとりの関心事や接触状況に応じてメッセージの内容を変え、大学に対する気持ちを温めるナーチャリングの対象が増えるわけです。

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「いきなり出願」予備軍ともいえる「匿名の訪問者」を早めに接触者に変え、志望度の高い出願者に育てる―。それがポップアップ機能のパワーです。 

サイト初訪問者に全くアプローチせず終わるのはもったいない...

多くのウェブサイト上ではポップアップと言えば広告が大多数のため、募集広報担当者には「高校生が抵抗感を持ち、むしろサイトからの離脱につながるのでは?」との懸念があるかもしれません。
実際、初めて訪問した大学のサイトでいきなり資料請求を促されたら、ネガティブな気持ちになるかもしれません。だからこそ、MAツールで訪問頻度を把握しておくことが大切です。

一方で、初めての訪問だからと言って、何のアプローチもせず終わらせるのはもったいない話だと思います。自分からサイトを見に来るからには一定の熱量があると考えられますから、できればその熱量を高めて次の訪問につなげたいものです。
こうしたシーンでは、個人情報の入力ではない別のポップアップを考えると良いでしょう。

サイト内の回遊を促すようなナビゲーションをしてあげるのも一案です。貴学の魅力が伝わりやすいコンテンツや、多くの受験生が見ているコンテンツにリンクを貼って「○○についてもっと知りたい方はここをクリック!」「人気のコンテンツはこちら」「入試直前チェックポイントはこちら」と誘導することなどが考えられます。 

ポップアップを表示するページは検討が必要

ポップアップの出しすぎにならないよう、表示するページは十分に検討して工夫する必要があります。MAツールのスコアリング機能を使えば、志望度の高い生徒が多く閲覧しているページを特定できます。志望度の高い人にアクションを促すためのポップアップであれば、そのようなページに表示すると効果的でしょう。

ある大学では、出願に至った生徒の多くが特定の学部の情報を見ていたことがわかり、その学部のトップページにポップアップを表示させたといいます。

サイトユーザーにとってポップアップはわずらわしいものと決めつける必要はありません。相手の状況や気持ちに寄り添い、必要な情報を届けるためにこの機能を使うという考え方が大事です。
欲しい情報になかなかたどり着けない高校生にとっては、手を取ってそこに連れていってくれるポップアップは親切なサポートと感じられ、好感度がアップするはずです。

「いきなり出願」予備軍をナーチャリングの対象に変え、サイト初訪問者の手を取って案内し、大学に対する気持ちを温める。ポップアップ機能の戦略的活用は、学生募集DXの深化につながります。

*進研アドが提供する学生募集MAツール「infoCloud Digital Marketing」の紹介はこちら


〈今回のナビゲーター〉
荒牧耕平(あらまき・こうへい)
MA事業本部長

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進研アド入社以来、首都圏、関西、北陸、九州の各エリアの大学・短大の営業担当、部門責任者としてお客様の課題解決に従事。高大接続のベストマッチングを実現すべく、2023年から事業責任者として、MA(マーケティング・オートメーション)事業部を立ち上げ、デジタルチャネルを活用した効果的、効率的な学生募集マーケティングの実践と、その仕組みを事業として研究、提供しています。