地域の国公私立大連携の規制緩和を目的に文科省が新法人制度を提案
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2018.0402
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3行でわかるこの記事のポイント
●地域の大学間や、同分野・異分野の大学による連携推進法人
●必要な科目をフル装備せず、単位互換で完結させるなどの規制緩和を想定
●将来的には経営破綻時のセーフティーネットとしての機能も
文部科学省はこのほど、地域の大学が設置形態の枠を超えて参加する新たな法人制度の案を公表した。大学間連携を阻んでいるさまざまな規制を例外的に緩和し、資源の共有、運営の効率化によって選択と集中を促すねらいがある。今後、大学の経営破綻が増えると予想される中、地域における再編・統合、学生のセーフティーネットを視野に入れた"第一段階"の案と言えそうだ。
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大学間連携の新たな制度として検討されているのは一般社団法人「大学等連携推進法人(仮称)」で、3月下旬の中央教育審議会大学分科会・将来構想部会の合同会議で案が示された。文部科学大臣の認定を受けることで、大学連携を阻んでいるさまざまな制度の壁について規制緩和が適用されるというものだ。
例えば、大学設置基準で「必要な科目は自ら開設」とされている規定の例外的扱いが認められ、自学では課程の一部科目のみ開設し、残りは連携推進法人内の他大学の科目を履修させる単位互換制度によって補うことが想定されている。さらに、「教員は1つの大学に限り専任になれる」という原則についても例外規定の対象とし、1人の教員が複数大学の専任教員になれるようにして大学間の連携を容易にする。
大学等連携推進法人は国公私立大学の各法人が運営費を出し合って設立し、文科大臣の認定を受ける。自治体や企業で構成する評議会から高等教育に対する意見や要望を受け、大学間の機能分担や連携についての方針を決める。案では同法人の「地域連携型」と「高度連携型」の2タイプが示され、前者の機能として教養科目の共有、共同教育課程の設置、学生の転学支援、入試業務やIR活動、FD・SD研修の共同実施などが例示された。
一方、高度連携型は同じ分野同士や異なる分野間の大学が共同教育課程を実施して強みを補完し合ったり、学際的な教育・研究を進めたりすることが想定されている。例えば2つの大学による医工連携教育で1人の教員が両大学の専任教員になることによって、どちらでも論文指導など同等の関わり方が可能になる。
いずれのタイプも教員を含む教育資源を共有することによってそれぞれの大学が運営を効率化し、自学の強みとする部分に資源を集中できるようにするねらいがある。1つの大学が複数の連携推進法人に参加することも可能だし、いずれかの法人に参加することが義務づけられるわけでもない。
従来の大学コンソーシアムでは「科目は自ら開設」規定によって大学にとっての単位互換制度のメリットが薄かったり、「1大学に限り専任教員になれる」との原則によって効率的で高度な共同プログラムを実施できなかったりという問題があり、連携を深められない現状がある。文科省はこれら制度的な課題を2017年秋の大学分科会・将来構想部会の合同会議に論点として提示し、解決策を検討していた。
同省は大学等連携推進法人について「規制緩和を適用するための認定法人制度」と説明し、「大学の経営破綻時のセーフティーネットとして考えているわけではない」と明言する。しかし、今後は国立大学の一法人複数大学制度の導入や私立大学の学部単位での事業譲渡を可能にするための制度改正、国公私の枠を超えた統合の方策などについても検討が始まり、これらの課題も連携推進法人の枠組み内での解決を図ることが考えられる。国公私の枠を超えた大学再編につながるこの新法人が、将来的には経営破綻した大学の学生や教員の受け皿となることも視野に入れた案であることは間違いなさそうだ。
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