2022.0210

文科省の学生調査、2月末まで実施中-オンライン授業に対する評価も

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3行でわかるこの記事のポイント

●大学の7割強、短大の半数近くが参加
●最終学年と大学2年生が対象
●学部の規模別、分野別等の集計結果を公表

文部科学省による「全国学生調査」の第2回試行版が1月末から1か月間実施されている。全大学の73%にあたる568校、全短大の47%にあたる147校が参加を表明(1月時点)。各大学・短大は教育改善の基礎データの精度を上げるため、学生に協力を促す工夫が期待されている。
*第2回試行実施に関する資料はこちら
文科省の学生調査―「外国語力修得に大学教育が役立っている」は30%


●大学の参加は前回から50校余り増加

 「全国学生調査」は、中央教育審議会の「グランドデザイン答申」で打ち出された「学修者本位の教育への転換」を図る一環で、文科省が実施。具体的な目的として①各大学の教育改善に生かす、②結果の公表によって大学に対する社会の理解を深める、③国の政策立案の基礎資料にする、④学生にとって大学生活を充実したものにする-などが掲げられている。
 2019年度に初の試行版を実施。翌年に予定されていた2回目は新型コロナの感染拡大を受けて1年延期され、2021年度もコロナの影響で当初予定の11月から年明けに延びた。1月31日~2月28日の1か月間実施されている。
 初回の試行版は大学3年生のみが対象だったが、今回の調査には短大も参加。大学と短大の最終学年、および大学2年生を対象にウェブ上で実施されている。1月中旬時点で、参加の意向を示した大学は前回の515校(67.4%)から53校増えた。対象学生数は大学2年生45万人、同最終学年生47万人、短大の最終学年生2.4万人となっている。

●オンラインと対面型を「教員とのやりとりのしやすさ」等で比較

 質問項目は選択式60問、自由記述式2問。選択式は8つの大問ごとに設けられた項目に全て答える必要があり、その項目が60ある。回答所要時間は10分程度とされている。
*質問項目はこちら
 今回新設された「大学での学びを振り返ってどのように思うか」という大問では、「大学のディプロマ・ポリシーを理解している」「自身の成長を実感している」「卒業後も主体的に学び続けることの大切さを感じる」等の8項目について、「そう思う」~「そう思わない」の4段階評価をさせる。
 コロナ禍の影響を捉えるため、「今年度の授業期間中1週間にキャンパスへ通った日数」「昨年度と今年度に受けた授業形態の割合」といった大問も設けた。授業形態に関する大問では「同時双方向型オンライン」「オンデマンド型オンライン」の割合を質問。さらに、それぞれについて「対面授業と比べて良かった点」「悪かった点」を尋ねる選択肢として、「理解しやすさ」「教員とのやりとりのしやすさ」「他の学生とのやりとりのしやすさ」などを示す。
 自由記述式では「大学での学びについての意見」「この学生調査についての意見」を書かせる。

●不参加の理由は「学生の負担」が最多

 調査結果は夏に公表される予定だ。大学・学部単位の結果は公表せず、全体集計に加え、回答数等が一定の基準に達した学部について設置者別、学部規模別、学部分野別などの集計結果を公表する。参加大学には回答を一覧化したものと学部ごとの集計結果を提供し、各大学が自学の判断でそれを公表することも認める。
 次年度以降に実施される3回目の施行版では、大学独自の質問項目を加えられるようにする方向で検討。その後に予定される本格実施では全大学の参加が可能になるよう、実施内容を見直し、大学・学部単位の調査結果も公表する方向だ。
 参加のハードルとなる問題の解決を図るため、今回の参加意向調査では不参加の理由についても複数回答で聞いた。「学生の負担を考慮」が最多で大学71.3%、短大63.4%だった。次いで「学校独自で同様の調査を実施している」が大学49.6%、短大42.3%。「案内等の事務負担」も大学14.8%、短大19.7%が不参加の理由に挙げた。


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