文科省の学生調査に515大学が参加、11月25日スタート

●全体傾向のみを公表し、各大学に個別のデータをフィードバック
●集計対象は「回答者数30人以上かつ回答率10%以上」または「回答率 50%以上」
●大学にはベンチマーク用に学部分野ごとの平均値等のデータ提供も検討

文部科学省による学生調査の試行版が515大学の参加の下、11月25日からスタートする。3年生を対象に実施、2020年4月以降に全体的な傾向を公表する。「教育する側ではなく学生の目線から学びの実態を明らかにする」という施策に学生がどう応え、どんな実態が浮かび上がるのか注目される。

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●3年生41万人に4週間、回答を呼びかけ

 文科省による学生調査は、2018年11月に中央教育審議会がまとめたいわゆる「グランドデザイン答申」の提言に基づいて実施される。学生の目線を通して学びの実態を把握し、公表することによって「社会に対して大学の教育力を可視化する」「大学が他大学との比較を通して教育改善を図る」「政策立案のためのデータを得る」等の実現をめざす。
 今回の試行実施については、2019年夏に参加の意向を確認する事前調査を実施、参加を希望した515大学(全体の67.4%)すべてが対象になる。
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 調査対象となる3年生は計約41万人。大学から学生に呼びかけ、11月25日から12月20日までの4週間、スマートフォンにも対応するインターネット調査に回答してもらう。文科省が作成したチラシの配付のほか、授業やゼミの前後、就活関係のイベント等の機会を捉えた学生への呼びかけが予定されている。
 設問は「大学で受けた授業」「大学での経験とその有用性」「知識や能力の修得における大学教育の役立ち度」について4段階または5段階評価で回答するもの、「平均的な1週間の生活時間」「授業の形態ごとの割合」、さらに大学での学びに対する意見を自由記述で答えるものなどで構成され、文科省は「10分程度で回答できる」と説明している。

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 知識や能力の修得に関する設問では「論理的に文章を書く力」「統計数理の知識・技能」「多様な人々と協働する力」等、それぞれの力を身につけるうえで大学教育が「とても役に立っている」「役に立っている」「あまり役に立っていない」「役に立っていない」のどれに該当するか4段階で尋ねる。1週間の生活時間については、授業、予習・復習等、授業以外の学習、部活動/サークル、アルバイト等のほか、スマートフォンの使用についても聞く。

●小規模大学の参加を受け、有効基準に「回答率50%以上」を追加

 2020年4月以降に文科省と国立教育政策研究所のホームページで調査結果の全体傾向が公表される。分析の対象となるのは、学部単位での「有効回答者数が 30人以上かつ有効回答率が 10%以上」または「有効回答率が 50%以上」の回答。当初は「30人以上かつ10%以上」のみで検討されていたが、参加の意向を示した中に対象学生数が数十人規模の大学が相当数含まれるため、「50%以上」という基準を加えた。
 個別大学の集計結果は公表せず、3月頃に各大学にフィードバックする。その際、ベンチマークに活用する分析資料として、学部分野別の集計結果やクロス集計、段階別評価を点数化したものの学部分野ごとの平均値など、自学の位置を把握できるデータの提供も検討されている。各大学は自学の結果を学生に示し、課題への対応方針についても説明することになっている。
 試行実施に参加する首都圏の大学の職員は「自学で毎年実施する学生調査の回収率が高いので、自学のデータよりもベンチマークのデータが得られることがメリット」と説明。一方で「成長度合いを測るのであれば1年次と4年次での実施が必須ではないか。回答者数30人以上かつ有効回答率10%以上という基準で信頼性を担保できるのかも疑問」と指摘する。参加大学からは「文科省のサイトで参加校が明らかになるので、参加しないと『何か問題があるのでは?』ととられかねない」という声も聞かれる。
 対象学年や有効回答の基準、設問内容等に対する疑問の声は参加を見送った大学や文科省の有識者会議の委員からも様々な意見が出ている。文科省は「今回の試行実施の結果を見たうえで改善を図っていきたい」と説明。再度の試行調査をふまえて本格実施に移り、大学単位の結果の公表についても検討する考えだ。