2016年10月20日

大学改革を知る

グローバル

教学改革

THE大学ランキング日本版の記者説明会-教育重視の独自ランキングに

●研究重視の世界ランキングと異なり、全ての大学が対象に
●ベネッセとのパートナーシップにより高校教員等の評判調査を導入
●入り口のみでの大学評価からの脱却を図る

「THE世界大学ランキング」を運営するイギリスのTES Global社は10月19日に東京都内で記者説明会を開き、2017年3月末に発表する予定の日本国内の大学ランキングについて、ねらいと構想を語った。「教育を重視する日本独自のランキング」の意義を強調し、多くの大学のエントリーに期待を示した。日本ランキングでTES社とパートナーシップを組むベネッセコーポレーションは、「入学時の学生の学力だけではなく、4年間の教育の成果によって大学が評価される仕組みを作り、日本の高等教育全体をよりよいものにしたい。大学には、自学の強みと弱みを把握して改革に生かすためにランキングを活用してほしい」との考えを示した。
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http://between.shinken-ad.co.jp/univ/2016/09/the-wur.html


●日本の大学の特徴に沿ったランキングを構築

 THEの世界大学ランキングが研究力を重視するのに対し、「THE世界大学ランキング日本版」(仮称)は教育重視で評価する点が最大の特色で、日本独自の指標を導入すべく、検討が進んでいる。ベネッセグループが国内総合パートナーとして、高校での評判調査等に協力する。現在、大学による定量データの登録が進みつつあり、3月30日にランキングが発表される予定だ。
 記者説明会では「THE世界大学ランキング」のフィル・ベイティ編集長が、アメリカの国内ランキングで取り組んだ教育中心の評価ノウハウを援用しつつ、日本の大学の特徴に沿った独自のランキングを構築する考えを述べた。量的な指標として、教員数と学生数の比率、学生一人当たりの教育費等を例示。論文引用数などの研究に関わる指標も、高度な研究が教育に生かされているかという視点で評価するという。「日本の大学は国際性の面で他国におくれをとっている」と指摘、異文化と触れ合う環境は日本人学生に対する教育的効果も高いとして、外国人留学生の受け入れ状況を重視する考えを示した。

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●企業の人事担当者の評判調査も導入

 日本大学ランキングでは評判調査にも力を入れ、生徒の大学選びに影響力を持つ高校の進路指導担当教員対象の調査を行う考えだ。「教育のアウトカムとして学生の人生を変え得るほどの結果を出せているかという観点から、企業の人事担当者の評判調査も取り入れる」とベイティ氏。「学費に見合う収入を得られるような職に就けているのか」という観点にも言及した。
 9月に発表したTHE世界大学ランキングは、一定の研究力を有することを条件に980大学を対象とし、日本からは69大学がランクインした。これに対し日本大学ランキングは、「教育を評価するため、全ての大学が対象となり得る」と説明。対象拡大のイメージとして「200位までのランキング」が例示された。

●「日本の高等教育全体のレベルアップに」

 記者説明会に同席したベネッセコーポレーションの藤井雅徳・学校カンパニーグローバル事業部長は、日本の大学の課題として、①世界の視点に立った大学経営(戦略)、②世界への情報発信/ネットワーキング、③大学全体(教職員・学生)の英語力向上の3点を挙げた。日本大学ランキングをこれらの課題の解決につなげたいとした。
 山﨑昌樹学校カンパニー長は、「これまで、日本における大学ランキングは入学時点の学生の学力評価が中心であり、その評価が卒業、就職まで変わらない。4年間の教育成果もしっかり見るランキングを構築することによって、大学が教育力で評価される社会にしたい」と、日本大学ランキングのねらいを説明した。
 さらに、「順位が上がった、下がったということ以上に、自学はどの指標で他大学に勝り、どこが弱いのかを自己診断して、強みの一層の強化と弱点の改善に生かすための仕組みとして大学ランキングを活用してほしい」と述べた。このような形でランキングが根付くことによって日本の高等教育全体がレベルアップすると指摘、世界に日本の大学の魅力をアピールできるよう貢献したいとの考えを強調した。