関東学院大学〜学生が成長する要因とは?〜教育の質向上をめざしてベネッセと共同研究

●成長要因を解明し、成長のトリガーをカリキュラムや授業に「仕掛け」として組み込む
●初回授業のモデルを開発し、学びの見通しを持たせて成長につなげる

関東学院大学は、1年次に実施しているアセスメントテストの結果を分析してFDに反映するため、ベネッセ教育総合研究所、ベネッセi-キャリアとの共同研究を始めた。学生が成長する要因やプロセスを可視化して教育の質向上に生かそうという試みだ。
*この記事は『Between』2016年4-5月号17~19ページの関東学院大学の事例と連動しています。『Between』も併せてお読みください。ウェブ版(4月27日公開予定)こちら
http://shinken-ad.co.jp/between/backnumber/pdf/2016_4_tokushu07.pdf


●学びの心構え、見通しの弱さに着目

 関東学院大学は2014年度から、1年次向けのアセスメントテスト「大学生基礎力レポート」(開発:ベネッセi-キャリア)を全学で導入。1年次を対象に開講する「KGUキャリアデザイン入門」の授業内で実施している。このアセスメントは、「基礎学力や批判的思考力などの能力的評価」「協調的問題解決力に関する行動的評価」「進路や学びの意識に関するアンケート」などで構成されている。
 この授業を運営する高等教育研究・開発センター所属の杉原亨専任講師らは、2014年度、2015年度とも、「学びへの意識」の各項目の中で「学びへの心構え」「学びの見通し」のスコアが他に比べて低いことに着目。入学時から自分で目標を定め、それに向かってなすべきことを主体的に考えて努力してほしいと考えるからだ。

●FD推進の秘策は"ポジティブな面へのアプローチ"

 今回の共同研究では、2015年度の入学者100人を対象に同年12月にも同じアセスメントの上級学年版を実施。入学直後と比べて意識や能力が向上している学生を抽出し、各設問への回答やインタビュー、授業で課すミニレポートなど、多面的な分析を通して成長要因を明らかにする。そして、その分析結果をもとに、「成長のトリガー」をカリキュラムや授業の中に「仕掛け」として埋め込むための方策を提言としてまとめ、実践のプロトタイプも開発する。成長する学生というポジティブな面からアプローチすることによって、FD活動における教職員のモチベーションを高めようという発想だ。
 同アセスメントでは、入学時よりもその後の方が学びの意識のスコアが一般的に低くなる傾向にあり、本調査でも同様だった。その中にあって学びの意識が高まった学生は、キャリアビジョン、学びと社会とのつながりといった展望を持ち、批判的思考力が高まっていることが判明。モチベーションの維持が将来への目標・展望を持つことにつながり、しっかり学ぶ結果、能力が高まるのではないかと考えられる。
 4月以降は学生を抽出してインタビューを行う。そこで特定の教職員による成長への影響がわかった場合には、その教職員にもインタビューを行い、その結果を受けて授業での効果的な「仕掛け」を提言していく。
 加えて、上記調査から明らかとなった成長要因をふまえて、2016年度の入学者全員(約2800人)を対象としたアセスメント結果についても定量的な分析を行う予定である。

●自ら目標設定できるよう初回授業のモデルづくり

 共同研究の重要テーマの一つが初回授業のモデルづくりである。学びの見通しや心構えを持たせるには、どの科目においても初回の授業がカギになると考えるからだ。「教員が自身の教育理念を語り、シラバスに基づく到達目標やルールを伝えたうえで授業に対する学生の期待を書いてもらうなどして、さらなる質向上を図りたい」と杉原専任講師。学生の成長を促す要因を組み込んだ初回授業のモデルを作り、まずは今後の新任教職員研修に反映したい考えだ。
 共同研究の成果は2016年度末に公表し、エビデンスに基づく教育の質向上の試みについて広く情報発信していく。

共同研究のメンバー(◎は代表者)
<関東学院大学>
◎奥聡一郎(高等教育研究・開発センター長)
 杉原亨(高等教育研究・開発センター専任講師)
 奈良堂史(高等教育研究・開発センター専任講師)
 山田昭子(高等教育研究・開発センター研究員)

<ベネッセ教育総合研究所>
◎谷山和成(所長)
 佐藤明宏(高等教育研究室室長)
 岡田佐織(高等教育研究室研究員)

<ベネッセiキャリア>
◎竹内健一(教育事業本部本部長)
 影山裕介(教育事業本部東日本営業部グループリーダー)
 松尾洋希(教育事業本部東日本営業部)

*共同研究についてのリリースはこちら
http://berd.benesse.jp/publicity/detail.php?id=4889