1/19更新:共通テスト予想平均点は前年と比べ文系-44点、理系-59点
学生募集・高大接続
2022.0119
学生募集・高大接続
3行でわかるこの記事のポイント
●数学ⅠA、数学IIBがそれぞれ約20点の大幅ダウン
●国公立には手堅く出願し、一部私大では駆け込み出願が増加か
●私大志望層は年内入試で合格を決め、一般選抜回避の傾向も
*本記事は「共通テストの問題分析に基づく予想平均点」をお伝えした1月17日の記事を「自己採点データに基づく予想平均点」として更新したものです。
1月15、16の両日、2回目となる大学入学共通テストが実施された。ベネッセコーポレーションと駿台予備学校が提供する同テスト自己採点集計「データネット2022」は18日夜、全国の高校から回収した自己採点データに基づく予想平均点を発表。予想平均点は、文系5教科8科目(900点満点)が508点(前年から-44点)、理系5教科7科目(900点満点)が513点(同-59点)と、いずれも前年から大きく下がった。センター試験時代を含めても例のない低さになりそうだ。データネットでは今後、予想平均点と志望動向等の情報を発信。各高校はその情報を活用しながら生徒への出願指導を行う。
*「データネット2022」の平均点情報はこちら。
*記事中、科目平均点の前年差は2021年度センター発表平均点(最終集計)との差を四捨五入したもの。
新型コロナウイルスの感染が再び急拡大する中、共通テストの各試験会場は前年に引き続き厳重な感染対策で受験生を迎えた。出題傾向は前年と大きな違いはなく、資料や図表、会話文を多用して思考力・判断力・表現力を問う内容だった。
初の実施となった2021年度の平均点は予想に反して前年並みだった。今回は一転して平均点が下がると見られていたが、予想を大きく上回る高難易度となった。
1月18日時点のデータネットによる科目ごとの予想平均点は、国語110点(前年差-8点)、
数学Ⅰ・数学Aが38点(-20点)、数学II・数学Bは43点(-17点)、日本史Bが53点(-11点)、化学48点(-10点)、生物49点(-24点)などで大きくダウン。生物は前年の平均点が72.6と高かったことも一因と言えそうだ。
他の科目も軒並み下がり5点以上、上がったのは地学52点(+5点)のみ。英語はリーディング62点(+3点)、リスニング60点(+4点)だった。
これらのデータは高校から提供された約41万人分の自己採点結果を基に算出された。ベネッセはこのデータに志望動向も加味して分析。20日からエリアごとに高校教員を対象にした説明会をオンラインで開催し、分析結果をフィードバックして出願指導を支援する。
今回の共通テストの志願者数は53万367人で、前年から4878人減少。現役生は前年より426人少ない44万9369人、既卒生は4222人少ない7万6785人。全体に占める現役生の割合は前年から0.7ポイント上がって84.7%、既卒生は0.6ポイント下がって14.5%だった。現役生のうち共通テストに出願した者の割合を示す現役志願率は 45.1%で過去最高となった。
共通テストの実施直前には文部科学省が大学に対し、共通テストを受けられなかった受験生について個別試験などで合否判定することを例に、配慮を要請。これを受け、金沢大学は本試験と追試験のいずれも受けられなかった受験生は個別試験の成績と出願書類による総合的な判定で選考を行うと発表した。
今回のような平均点の大幅ダウンは、2013年度のセンター試験でも起きた。この年、文系は530点(前年から-40点)、理系は555点(-34点)で、数学Ⅰ・数学Aも難化。
同年のベネッセコーポレーションの入試結果調査によると、文系では法学系統、教員養成・教育学系統で国公立大学の志願者数が減少し、私立大学の志願者数が増加した。理系では国公立大学の医学系統の志願者数が減少し、歯学系統、薬学系統の志願者数が増加した。センター試験の難化を受けて受験生の安全志向が高まり、私立大学への併願を増やした結果、私立大学の一般入試の志願者数は285万人で対前年指数106に増加した。
今回の共通テストの予想平均点は2013年度よりも大きく下がっているが、一方で18歳人口減という市場環境の変化もあり、私立大学への影響は見通しにくい。
進研アド・データサービス開発部の仁科佑一グループリーダーは「国公立大学については手堅い出願になるだろう。私立大学は一般選抜の志願者数は前年からさらに減ると想定していたが、共通テストの平均点大幅ダウンにより受験生やその保護者からの出願相談、問い合わせが急増している私立大学もあると聞く。一部の大学では駆け込み出願が増えるのでは」と予想する。
「前年度の共通テストが易しかったことを受け、模試では強気の志望動向が目立ったが、今回、平均点が大きく下がったため国公立大学については安全志向が働くだろう」と説明。一方、私立大学の年内入試について、現時点で入手できているのは関西を中心とする一部大学のデータにとどまるとしつつ「出願者は前年並みだが合格者は増えている。私立志望層の中では早々に入学先を決め、一般選抜は受けない受験生も多いと予想される」。コロナ禍の影響で高校が入試情報を十分に収集できず、進路指導が停滞したことも受験生の安全志向を強めていると見る。
一方、出題傾向について「共通テストでは数学で文章題が増加し、資料や図表、会話文から情報を抜き出したり、意図を読み解いたりする内容に変わった。これに対し、私立大学の出題が従来通り一問一答形式中心のままだとしたら、『思考力等を問う』という潮流に乗り遅れた大学と見られるかもしれない」と指摘する。
*卒業生調査に関心のある方はこの記事もチェック!