THE世界大学ランキング日本版-「国際性」順位が向上した大学<上>
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2020.0415
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3行でわかるこの記事のポイント
●「国際性」のスコアが10ポイント以上アップした4大学の取り組み
●梅光学院大学には建学の理念を反映した留学プログラムも
●創価大学は教育力の国際通用性向上のためFD研修派遣プログラム等を実施
「THE世界大学ランキング日本版2020」では、いくつかの私立大学が「国際性」分野の順位を大きく上げた。そのうち「国際性」のスコアが10ポイント以上アップした4大学(梅光学院大学、創価大学、関西外国語大学、恵泉女学園大学)について留学生の受け入れ、外国人教員の採用、留学送り出し、外国語による授業の開講という4項目における取り組みを2回に分けて紹介する。「日本人学生による留学生支援の仕組み」など、参考になりそうな共通項がある一方、それぞれの教育の理念、特色を根幹に据えていることもわかる。初回は梅光学院大学と創価大学を取り上げる。
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●梅光学院大学(「国際性」の順位:2019年15位→2020年5位)
―留学必修の専攻を拡大
<外国人学生比率>
海外協定校の拡充に伴い、2018年度の外国人学生比率は2017年度の8.2%から9.3%に上昇した。
「留学生サポーター」制度による支援に力を入れている。日本人学生が主に韓国・中国・台湾からの交換留学生をマンツーマンに近い形でサポートする仕組みが、日本人学生自身の語学力や異文化理解力の向上にもつながっているという。
2020年4月に「語学センター」をオープン。英語・中国語・韓国語を学ぶ学生や外国人留学生、ネイティブを中心とした外国語教員の交流を通して語学力の向上とグローバルな感覚・視野の養成に取り組んでいる。
<日本人学生の留学比率>
学部を問わず1年次の希望者全員が参加できる1~2カ月の海外研修プログラムが人気で、1カ月未満の留学比率は2017年度5.9%から2018年度12.3%にアップ。
学部・専攻によって留学を必修にするなど、中長期の派遣にも力を入れている。
文学部の東アジア言語文化専攻は2年次に半年~1年間の留学を必修とし、中国語は青島大学、韓国語は南ソウル大学校か啓明大学校でそれぞれ学ぶ。さらに、3年次の選抜性の「国際教養・専門留学」では現地の学生と共に専門的な教育を半年間または1年間受ける。
英語コミュニケーション専攻も2019年度のカリキュラム変更に伴い、2年次に1年間の留学を必修化し、3年次には希望者を半年間の「国際教養・専門留学」に派遣する。
文学部国際ビジネスコミュニケーション専攻では、海外のホテルや航空会社に2週間程度送り出す「海外ビジネス実習」を拡充。小学校教諭・幼稚園教諭・保育士を養成する子ども学部では海外の教育事情や異文化について学ぶ「海外教育研修」を設けるなど、専門分野と直結した海外体験の機会拡充に努めている。
語学研修や異文化交流にとどまらず、現地のスラム街や学校・福祉施設でのボランティア活動を組み込んでいる点が留学プログラムの特色だ。「新しい世界を切り拓く能力を、他者のために用いる」という建学の理念に基づいているという。
<外国語で行われている講座の比率>
外国人教員の増加(2017年度12.5%→2018年度16.3%)に伴って外国語による授業も充実し、比率は2017年度10.3%から2018年度17.6%に上昇した。
英語コミュニケーション専攻の「Listening & Reading」「Speaking」「Writing」をネイティブ教員が担当して4技能の修得を支援すると共に、身につけた英語で他分野を学ぶ「CLIL」も導入。国際ビジネスコミュニケーション専攻では電話での応対や交渉といったフォーマルな場面での実践的な英語力を身につける「ビジネス・イングリッシュ」などを開講している。
ネイティブ教員と寝食を共にして英語漬けで過ごす宿泊型学習、音楽を通して英語を学ぶ授業など、ユニークなものもある。
創価大学(「国際性」の順位:2019年16位→2020年6位)
―5年間で留学生が倍増
<外国人学生比率>
外国人学生は、文部科学省の「スーパーグローバル大学創成支援」事業採択前年の2013年度から2018年度にかけて約2倍の552人に増加し、全学生に対する比率は約7%になった。
海外交流校からの編入学や中国等の高校との指定校推薦入試制度も実施。2016年度からは学部・大学院に在籍する全外国人学生を対象とした独自の学費減免制度と給付型奨学金制度を導入している。
教育・生活面を支援する「留学生サポートセンター」を設置し、外国語に対応できるメンタルカウンセラーも配置。日本人学生と共同生活をする国際学生寮を新設し、日本人学生と外国人学生それぞれからレジデント・アシスタント(RA)を登用している。
<外国人教員比率>
学部・大学院の英語による授業の増加、すべての授業を英語で行う「国際平和学研究科」の設置(2018年度)などに伴い、多くの外国人専任教員を国際公募で採用した。外国人教職員や外国人留学生の増加により、学内文書や各種会議での英語化も進めている。
教育力の国際通用性向上のため、国内外から著名な教員を招聘するとともに長期・短期のFD研修派遣プログラムも実施。
<日本人学生の留学比率>
海外交流大学は61カ国・地域に223校(2020年4月時点)あり、2018年度は在学生の約13%が留学を経験。カリキュラムと連動した学部等主催の留学プログラムや海外インターンシップ・ボランティアプログラムも増加を図っている。派遣学生が多い国・地域には海外事務所を置いたり、卒業生組織等によるサポート体制を整えたりしている。
短期の海外研修の効果を測定するため独自の「VALUEルーブリック」を開発、プログラムの客観的測定手段として米国を中心に高等教育機関で広く取り入れられている「BEVI」テストの日本語版(BEVI-j)の運用も始めた。
<外国語で行われている講座の比率>
外国人学生・日本人学生ともに英語の授業のみで卒業できる学部・大学院の「English Medium Program(EMP)」を11コース開設しているほか、学部の専門科目に加え共通科目も英語による授業を拡充。外国語と異文化理解能力の促進を図る役割を持つワールドランゲージセンターでは、語学力養成のための課外プログラム、留学やグローバル企業就職を目指す学生向けの英語による授業、英語以外の外国語科目等を開講している。