研究ブランディング事業の選定結果発表、選定済み大学の支援期間を短縮
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2019.0318
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3行でわかるこの記事のポイント
●2018年度で事業を打ち切り最後の選定となる
●選定校数は前年度の60から20に
●文科省は「教育の質保証重視へのシフトのため」と説明
私立大学等経常費補助を活用する「私立大学研究ブランディング事業」の選定結果がこのほど発表された。次年度以降の関連予算縮小に伴って選定校数を絞り込み、選定済みの大学についても2019年度までで支援を打ち切るなど、事業内容が変更された。
「私立大学研究ブランディング事業」は、学長のリーダーシップの下、全学的な特色を打ち出す研究に取り組む私立大学・短大に対し最長5年間、年額2000万~3000万円程度を支援する事業として2016年度に始まった。2018年には、選定を巡り文部科学省の幹部職員逮捕につながる不祥事が発覚した。
3年目となる2018年度で事業は終了し、今回が最後の選定となった。「教育の質保証を重視した私学助成の配分にシフトするため」(文科省の担当者)、選定校に対する支援の予算は次年度、大幅に縮小される。これを受け、2018年度は選定校数が絞り込まれ、支援期間も一律3年間となった。
157校(前年度は188校)から申請があり、20校(同60校)が選定された。選定されたのは、地域の経済・社会、雇用、文化の発展に寄与する「タイプA 社会展開型」が11校、全国的、国際的な経済・社会の発展、科学技術の発展に寄与する「タイプB 世界展開型」が9校だった。
タイプAは宮城学院女子大学「東日本大震災を契機とする〈地域子ども学〉の構築~子どもの視点に立ったコミュニティ研究の拠点形成~」、久留米工業大学「先進モビリティ技術で多様な人々が能力を発揮できる、Society 5.0に基づく『いきいき地域づくり』」など。タイプBは大東文化大学「漢学・書道の学際的研究拠点の形成による『東洋人の"道"』 研究教育の推進」、関西医科大学「難治性免疫・アレルギー疾患の最先端研究拠点大学としてのブランド形成」など。
選定数は3年間で計120件になった。2016年度、2017年度に選定され、支援期間が5年間の予定だった大学も2019年度で支援が打ち切られる。文科省はその理由を①教育の質を重視した私学助成のめりはりづけという方向にシフトするため、②ブランディング事業の支援額の減少が不可避である中、中間評価をなくし大学の負担を軽減するため-と説明している。当初の支援予定期間が5年だった大学も中間報告は行わず、実際の支援期間分の成果を報告することになる。
文科省は3月上旬、選定済みの大学を対象にこうした変更に関する説明会を実施。大学からは「当初の計画通りの研究ができなくなり、困る」といった声が多く挙がったという。
研究による大学の特色づくりの取り組みの支援は2019年度以降、私立大学等改革総合支援事業の「タイプ2 特色ある高度な研究の展開」「タイプ3 地域社会への貢献」などに吸収される。文科省の担当者は「改革総合支援事業などの特別補助は単年度の支援のため使いづらいと考える大学は、一般補助の教育の質保証に取り組んで継続的な支援確保をめざしてほしい」とコメント。2019年度の私学助成予算では一般補助が前年度から15億円増の2712億円、特別補助が10億円減の447億円となっていることを示し、教育の質の指標に基づいて配分する一般補助へのシフトが今後も維持される見通しだと述べた。
「私立大学等経営強化集中支援事業」の選定結果も発表された。
同事業は地方小規模大学等に対する経営改革支援を目的に、2015年度にスタートした。三大都市圏以外に所在する収容定員2000人以下の大学等が対象。2018年度からは選定校数を絞り込み、入学者数の増加、収支の改善、組織体制強化等のKPIを盛り込んだ経営改革計画の内容と改善状況を審査・選定することになった。選定校は3年間の継続支援を受ける予定だ。
今回は85校(うち短大41校)が申請し、50校(同23校)が選定された。文科省の担当者は「真に危機意識が強く、経営改革計画の策定や進捗管理もいとわない本気度の高い大学が選ばれた」と話している。
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