「THE世界大学ランキング日本版2019」の学生調査が本格化
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2018.0913
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3行でわかるこの記事のポイント
●大学の協力の下、10月末締切で調査を実施中
●国際比較を可能にするためアメリカ版、欧州版と共通の設問も挿入
●学生と他者との関わり、教育満足度等、大学選択のポイントについて質問
「Times Higher Education(THE:ティー・エイチ・イー)世界大学ランキング日本版2019」では、新たに学生調査を導入してランキング指標に反映させる予定だ。他者との関わりや教育に対する満足度など、学生の視点から学習環境や教育成果に焦点を当てる。各大学の協力の下、学生にウェブサイトを通じて回答してもらう方式で、既に調査がスタート。大学情報のポータルへの締切日と同日の10月31日まで実施される。日本版ランキングは大学の新たな価値基準の創出をめざす教育力重視の大学ランキングで、その目玉ともいうべき学生調査に多くの大学の協力が期待されている。
「THE世界大学ランキング日本版」は2019年で3回目となり、2019年3月末に結果が発表される。2018年版では「教育リソース」「教育充実度」「教育成果」「国際性」の4分野、13指標が設定された。2019年版の分野・指標や比重についてはTHEによる検討が進んでいるが、新たに学生調査を導入することが決まり、大学の関心を集めている。
学生調査は、THE世界大学ランキングにおける教育重視ランキングの第1号となったアメリカ版、2018年7月に発表された欧州教育ランキングで導入されている。高等教育を受けるにあたってどの大学を信頼すればよいかという、学生やその家族にとって重要な選択の参考となる問いに答える設計だ。
「THE世界大学ランキング日本版」は国際比較が可能となるよう、これら2つのランキングと共通の11の設問(下表)を含んでいる。多くの設問について10段階で評価する点も同じだ。
「教授陣や先生方と交流する機会はどの程度あるか」「協同学習(協働学習)の機会はどの程度あるか」といった設問で、学生と他者との関わりの度合いを確認。「クリティカル・シンキングのスキルの成長が支援される機会がどの程度あるか」「学習内容を実社会に応用することが支援される機会がどの程度あるか」などの設問には、教育満足度を測るねらいがある。回答しやすいよう、今回、協同学習やクリティカル・シンキングなど特定の用語には注釈が付けられた。そのほか、「友人や家族が大学に行くことを検討していたら、どの程度あなたが通う大学を勧めるか」と推奨度を問う設問もあり、学生は合計32問に回答する。
今回の学生調査はTHEが2018年7月、全大学に協力を依頼、大学を通して学生にウェブサイトからの回答を呼びかける方式をとっている。10月31日の締切に向け、多くの大学で学生による回答が本格化しつつある。
THEとのパートナーシップに基づいてランキングに協力しているベネッセグループ・進研アドの改革支援室・高坂栄一室長は「批判的思考力の育成や学習内容の実社会での応用、大学運営への学生の参画など、今回の設問は改革の重点課題として各大学が取り組んでいることを学生がどう受け止めているか問う内容になっている」と説明。「すべての実践が最終的には教育という形で学生に還元される以上、それらが学生にどう伝わっているかが重要だ。学生が大学教育を通して他者とつながり、自己肯定感を高めて社会に出ていけるかを問う調査の意義は大きいと考えている」と話し、より多くの大学から一人でも多くの学生に回答してもらえるよう大学の協力に期待を寄せる。
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