中京大学が主体性や意欲を含む学力の3要素を測る高大接続入試を導入
学生募集・高大接続
2017.0828
学生募集・高大接続
3行でわかるこの記事のポイント
●各学部の特色を反映して全学で実施する多面的・総合的評価
●初年度は法、国際英語、経済の3学部が実施
●法学部は推薦型、一般型それぞれでグループディスカッションを導入
中京大学は2020年度からの抜本的な入試改革を見据え、2018年度入試で「高大接続入試」をスタートさせる。学力の3要素を測る多面的・総合的評価を試行して結果を検証し、3年後の抜本改革につなげたい考えだ。推薦型、一般型両タイプを設け、多様な人材の受け入れをめざす法学部の高大接続入試を中心に紹介する。
*大学のウェブサイトでの「高大接続入試」の紹介はこちら
https://nc.chukyo-u.ac.jp/koudai/
中京大学の新たな全学入試方式「高大接続入試」は、「学力の3要素を測る多面的・総合的評価」「学部ごとの特色の反映」をコンセプトとする。一般入試と推薦・AO入試の枠にとらわれない多様な入試方式として全学の会議で検討を重ね、2018年度は法学部のほか、国際英語学部と経済学部でも実施することとなった。
この会議では、「学力の3要素の中でも従来、十分でなかった主体性や意欲の評価をどう具現化するか」が重要テーマとなった。従来型の入試では対応が難しいため、各学部の特性に合った新しい評価軸での入試を開発した。
法学部では、従来の推薦入試をベースにした「基礎力評価型」と、一般入試をベースにした「リーダーシップ型」の2つの高大接続入試を導入。いずれも、入学者に求める能力としてアドミッション・ポリシー(AP)で示している学力の3要素をカバーし、調査書やグループディスカッションを通じて主体性や意欲も見る。
「基礎力評価型」には以下の3つの型があり、受験生が選んで出願する。
①基礎学力型、②法学的思考型、③活動実績型のいずれも記述式問題を含む国語基礎学力型試験によってAPで求めている文章読解・作成等の力を評価し、さらに調査書等の書類審査を行う。他大学との併願も可能。
①と②は評定平均値3.0以上を出願資格にしている。②はグループディスカッションを課し、法学の素地となる論理的思考力、チーム内での主体性や協調性を見る。当日示される課題文に基づいて6人程度で約20分議論し、グループの意見を発表するという内容だ。
③は書類審査と国語基礎学力型試験に面接が加わる。高校生活で取り組んだ活動の実績を主体性や意欲のエビデンスとして評価する入試で、面接と志望理由書を通じてこれらの姿勢、活動の実態を確認する。国語の力を示す資格・検定に加え、時事関係の検定やボランティア活動など、多様な活動を評価の対象にした。専門高校からの出願が想定される簿記と情報処理関係については、評定平均値3.8以上を出願資格として設定している。
これら3つの型で募集人員は計55人。同大学は、②の法学的思考力を持つ学生を一人でも多く確保したいと考えている。
一般入試をベースにした「リーダーシップ型」は、センター試験3科目(英語必須)と、法学的思考型と同様のグループディスカッション(2月初旬実施)で選抜。総合評価で合否判定するが、センター試験は基礎学力の確認と位置づけ、グループディスカッションの成績をより重視するという。
下の表は、法学部の4タイプの高大接続入試が学力の3要素を何で見るか示している。
法学部はこれらの高大接続入試を通して主体性や意欲を持つ多様な人材の確保を図る。
初年度の高大接続入試ではほかに、国際英語学部が「アクティブ型」を実施。学外でのツアーに参加し、与えられた課題にチームで取り組んでプレゼンテーションをする。経済学部は、夏休みに2日間の講義を受講して試験に合格すれば出願できる「単位認定型」をスタートさせる。合格者は入学後、1単位が認定される。
3つの学部は今後それぞれ、高大接続入試による入学者の単位修得状況やGPAを含む活躍ぶりを分析することにしている。各入試が求める人材の確保を実現できているか検証し、大学入学共通テストの活用も含めて2020年度以降の入試改革に反映する。他の8学部も、それぞれのAPに基づいて主体性や意欲を含む多面的・総合的評価の手法を開発し、順次、高大接続入試に参加する予定だ。
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