2018年度AO入試から卒業生と職員が選考に参加ー 女子栄養大学
学生募集・高大接続
2017.0705
学生募集・高大接続
3行でわかるこの記事のポイント
●主体的に学べる人材を多様な視点で発掘
●プレゼンテーションとレポートを教員と同じ権限で評価
●高校での指導に配慮し、AOの選考方法を学科・専攻間で統一
2020年の"入試改革元年"を前に、各大学で入試の見直しが進みつつある。女子栄養大学は多面的な視点で受験生を評価するため、2018年度入試から卒業生と職員がAO入試の選考に参加。自ら課題を見つけて学び、動くことができる人材を発掘する「アクティブ・ラーニング入試」として実施する。
*大学のウェブサイトのアクティブ・ラーニング入試紹介はこちら
http://www.eiyo.ac.jp/juken/entrance/selection/ao.html
女子栄養大学には栄養学部のみがあり、実践栄養、保健栄養、食文化栄養の3学科が設置されている。2018年度入試で「AO入試」から変更する「アクティブ・ラーニング入試」は保健栄養学科の2専攻と食文化栄養学科で実施。いずれも①プレゼンテーション+面接、②課題解決型レポート、③書類審査という共通の方式で選考する。2学科の募集人員237人のうち約3割をこの入試で受け入れる。
プレゼンテーションでは、志望学科の学びの内容と結び付けながら高校で取り組んだことや入学後の目標を話してもらう。その内容、および志願者が記載したALシートをふまえて質疑応答と面接を実施。課題解決型レポートでは食、健康、環境問題などのテーマで400字程度の文章を書かせる。書類審査では、調査書の評定平均値に大学が指定する資格等を加点し、知識・技能も評価する。プレゼンテーションとレポートは教員2人、卒業生または職員1人の計3人1組で各受験生を評価する。
このような体制でアクティブ・ラーニング入試を実施する背景として、入試広報課の伊吹憲昭課長は次のように話す。「募集活動を通じて、年々受け身の高校生が増えていると感じる。与えられたことには一生懸命取り組むが、自ら問題点を見つけようという主体性が弱い。高校と大学の接続にとどまらず、社会とのつながりまで考えるうえで、こうした傾向と企業等の人材ニーズとのギャップに問題を感じている」。
同大学では以前からアクティブ・ラーニングを積極的に導入して主体性の育成に力を入れている。これまでのAO入試もアクティブ・ラーニングとの親和性が高い者を発掘する手段と位置づけており、2018年度も選考方法の大枠は変えないが、受験生、また高校現場へのメッセージが明確になるよう名称を変更。教員だけでなく、各職場の人材ニーズを熟知している卒業生や教室外での学生の様子を把握している職員を加え、多様な視点で受験生の潜在能力を見極めることにした。
卒業生の選考委員は、同大学が高校生やその保護者向けに実施している栄養学関係の講座で講師を務めるなど、母校との接点がある人、企業や教育現場で活躍している人などに委嘱。職員の選考委員はアドミッションオフィスのメンバーが担当する。試験1カ月前となる8月に受験生役を立ててプレゼンテーションとレポートの選考をシミュレーションする研修を実施する。9月の本番では教員と同じ権限で評価にあたる。
学科・専攻間でのアクティブ・ラーニング入試の選考方法統一も2018年度の変更点だ。学科等の枠組みにとらわれず、大学全体として高大接続を重視した入試改革を実施し、それを広く理解してほしいとの考えがある。選考方法は、自ら問題を発見して解決策を見いだす力を測るとともに、大学のアドミッション・ポリシーにも則したものとしている。
2016年度の卒業生について、4年間の成績動向を入試方式別に検証したところ、AO入試による入学者の平均GPAの伸び率の大きさがわかったという。入学時点では一般入試で入った学生との差が大きかったが、専門科目が本格化する2年次にはAO入学者のみGPAが上昇。3、4年次も上昇を続け、卒業時には一般入試の学生と同程度までになったという。
伊吹課長は「AO入学者には、目的意識が明確で積極的に学ぶ学生が多いため入学後の成長につながっている」と分析。2018年度入試以降、多様な視点を交差させて選考するアクティブ・ラーニング入試によって、このような資質を見いだす精度を上げたい考えだ。
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