立教大学―英語のみで学位が取得できるGLAPを2017年度に開設
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2016.0606
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3行でわかるこの記事のポイント
●超少人数、留学必修でリベラルアーツを4年間、英語で学ぶ
●2年次春学期まで寮で留学生と共同生活
●「高校から直接、海外の大学に進学するのは不安」という生徒、SGH生の受け皿に
立教大学は2017年度、原則、英語による授業科目だけで学位が取得できるコース「Global Liberal Arts Program(GLAP)」を開設する。独自入試で選抜される20人が、創立以来の教育の柱であるリベラルアーツを4年間、英語で学び、英語によるコミュニケーション能力、思考力や表現力の修得をめざす。
GLAPには以下の5つの特徴がある。
(1) リベラルアーツを柱に、すべての授業科目を英語で学ぶ。
入学時に専門分野を決めないLate Specialization方式を採用。リベラルアーツを通して多様なものの見方、考え方を学び、世界の人々と理解し合い、協働する力を修得する。定員管理上、学生の所属は文学部文学科となるが、実質的にはどの学部からも独立した独自のカリキュラムを4年間履修。英語によるリベラルアーツの選択科目群(ELA)は週2コマ4単位で、集中的に学ぶ。
(2) 少人数教育
GLAPは1学年20人の選抜制で、専任教員5人が専従で担当する予定。1年次必修の「チュートリアル」は1クラス5人以下のゼミで、論理的思考力の基盤となる力をつける。①のELAは講義科目だが、1クラス30人程度までの規模で、演習的な要素も導入する。
(3)全寮制
入学時から2年次春学期までの1年半、全員が寮に入り留学生と共同生活を経験する。共同学習スペースなどの共有空間と学生による寮運営によってコミュニケーションを促し、自主性を身に付けさせる。寮は池袋キャンパスへの通学が便利なエリアに確保する予定だ。
(4)海外留学の必修化
2年次秋学期から3年次春学期までの1年間、全員がリベラルアーツで定評のある大学(アメリカのサウス大学、トリニティ大学、ニューヨーク州立大学ジェネセオ校、ミリキン大学、香港の嶺南大学など)に留学する。留学先の学費は免除される。
(5)帰国後の専門教育
3年次秋学期以降は、広範囲の科目を引き続き履修しながら、用意された3つの専門分野「Humanities」「Citizenship」「Business」のうち、関心を持った分野を1つ選択し、その分野の科目を中心に深く学ぶ。GLAP生の有力な進路として大学院進学を想定しており、4年次には「Final Year Seminar」を履修して卒論執筆に取り組む。
学費は年180万円。私立大学の文系としてはかなり高額だが、大学側は、留学先となるリベラルアーツ大学の学費を反映していること、自学での少人数による手厚い指導などを理由に挙げる。入学金が20万円で、入学後1年半の寮費は月4〜5万円の予定だ。
学生は「国際コース選抜入試(GLAP)秋季、春季」で選抜。9月末出願の秋季入試で10人、1月出願の春季入試で若干名を募集する。他に、関係校や指定校対象の推薦入試も予定している。一次は書類選考で、GTECをはじめとする英語検定試験でCEFR(ヨーロッパ言語共通参照枠)B2レベル以上(GTEC CBT1250点、英検準1級など)を出願資格とする。二次試験では小論文と面接を課す。
当面は日本人学生を想定し、帰国生の割合が多めになると予想している。それ以外の高校生についても、「高校から直接、海外の大学に進学するのは不安だが、4年間、海外留学と同等の環境で学びたいという生徒、特にスーパーグローバルハイスクール(SGH)の生徒の受け皿になりたい」(国際化推進担当の山口和範副総長)と話す。
教員はネイティブスピーカーにこだわらず、海外での教育体験など、英語で授業ができるという要件を重視しつつ多様性を確保するという。
5月下旬の記者発表の席上、吉岡知哉総長はGLAPの開設について、2014年に発表した国際化戦略「Rikkyo Global 24」の一環であり、スーパーグローバル大学創生支援の事業にも組み込まれていると説明。「全学のグローバル化が進まないとGLAPを支えることはできない。英語で授業ができる教員やアジアの言語を教えられる教員の増加、留学生の確保など、他の施策と連動させながら推進していく」と述べた。