2020.0917

後期の授業はオンラインとの併用含め対面方式再開の動き-文科省調査

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3行でわかるこの記事のポイント

●2割近くが「全面的に対面授業」の方針
●8割が「対面と遠隔の併用」でそのうち6割が「半分以上は対面」
●施設の混雑状況をアプリで学生に知らせる大学も

文部科学省は、大学等を対象に行った後期の授業実施方針に関する調査の結果を9月15日に発表した。7月時点では23.8%だった「全面遠隔授業」は0.1%に減り、「全面対面授業」と「対面と遠隔の併用」がそれぞれ増加。全国的に見ると新型コロナウィルスの感染拡大が落ち着きだす中、大学では対面授業再開の動きが出ている。

*文科省の発表内容はこちら
*記事中の図は発表資料より


●6割の大学では「ほぼ全員が週2日以上通学可能」

 文科省の調査は大学、短大、高専を対象に825日から911日に実施、2020年度後期の授業形態について聞いた(N=1060校)。520日時点(N=890校)、71日時点(N1069校)に続く3回目の調査となる。
 後期の方針を71日時点の状況と比べると、全面対面は16.2%から19.3%の微増だが、全面遠隔が20ポイント以上減る一方で両者の併用は60.1%から80.1%に増え、全体として対面授業を再開する動きになっている。全て遠隔での授業を予定しているのは1校のみ。

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 全体の8割を占める併用型のうち、「半分以上が対面」という大学が6割に上る。

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 併用型でも学年によって対面と遠隔の割合を変える大学もある中、「おおむね全学生が週2回以上、通学できる」と答えたのは6割。施設の全面利用を再開する大学も3割ある。

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 併用型での対面授業と遠隔授業の使い分けなど、基本方針は「実験・実技は対面」が9割弱で、「ゼミは対面」が6割を超える。対面授業の中継や収録した授業のオンデマンド配信など、一つの授業で対面と遠隔を「同時実施」する大学は5割ある。

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1年生に配慮し、優先的に対面授業を行う例も

 調査では感染対策の工夫についても質問。「1つの授業を対面とリアルタイム配信の2教室に分け、交互に入れ替える」(浜松医科大学)、「バス停や学食、ラウンジなど施設の混雑状況をアプリで知らせる」(桜美林大学)、「図書館やPCルームは利用人数や利用時間を制限しながら開放する一方、図書の郵送貸し出しや複写サービスも継続」(東京都立大学)などの事例を紹介している。
 入学後、ほとんど登校できない状況が続いていた1年生への配慮として「大学の学修に慣れない1年生は優先的に対面授業を実施する」(高知工科大学)、「オンラインでの交流機会を設けたり感染症対策を講じたうえで交流イベントを実施したり」(宮城大学)といった例も。
 この調査結果は15日の中央教育審議会大学分科会(オンライン開催)で報告された。座長の永田恭介筑波大学学長は、対面授業再開の動きをふまえ「学生は(新型コロナに)感染しても症状が出ないまま治るケースが多いと予想される。問題はここにいる(委員の)先生方で、感染すると学生以上にダメージが大きいであろう方が過半数と思われるので、十分にケアしながらやってほしい」と異例の注意喚起をした。

●関東学院大学は学部単位の入学式を実施

 各大学は、独自に対面授業の再開などを発表している。
 追手門学院大学(大阪府)は春学期の授業を全てオンラインでスタート、緊急事態宣言解除後の6月から一部の実技・実習や資格系科目、新入生演習科目で対面授業を再開した。914日にスタートした秋学期はオンラインを併用しながら、授業科目の総クラス数 のうち約 7 割を対面形式に。多人数の講義はオンデマンドを含むオンラインで運用している。
 同じく春学期はオンライン授業が中心だった関東学院大学(神奈川県)も、921日からの秋学期は対面授業を実施することをこのほど決定、オンラインと組み合わせて開講する。これに先立つ17日からは学部単位での入学式も実施。家族は出席できず、学生も出席を必須にせず各自の判断に任せるという。