2019.0912

THE世界大学ランキング 東大は6ランクアップの36位、京大は65位を維持

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3行でわかるこの記事のポイント

●トップ10の顔ぶれは変わらず1位は4年連続オックスフォード大学
●日本からは初登場の7校を含む110校がランクイン
●世界をリードするトップ200へのランクイン数増加が日本の課題

イギリスの高等教育専門誌「THE(Times Higher Education)」は9月12日、16回目となる2020年の「THE世界大学ランキング」を発表、92カ国1300校以上(前回は1250校以上)をランク付けした。トップは前回と同じオックスフォード大学。日本からは東京大学と京都大学が引き続きトップ100入りし、東京大学は順位を6つ上げて同率36位、京都大学は前年と同じ65位だった。日本のランクイン数は110校で、前年から7校増えた。一方、世界のエリート大学と見なされるトップ200は依然2校のみ。トップ200に入る大学を増やしつつあるアジア各国・地域との差があらためて浮き彫りになった。

*THEによる公表はこちら


●トップ10の顔ぶれは前年と同じ

 「THE世界大学ランキング2020」のトップ10の顔ぶれは前年と変わらず、アメリカ7校、イギリス3校だった。オックスフォード大学のトップは4年連続で、2位は前年の5位から躍進したカリフォルニア工科大学。ケンブリッジ大学(3位)、スタンフォード大学(4位)、マサチューセッツ工科大学(5位)はそれぞれ前年から1つずつ順位を落とした。

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●日本は今回もランクイン数でイギリスを上回り世界2位

 日本のランクイン数は前回の103校から110校に増え、設置者別に見ると国立57・公立11・私立42となっている。

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 日本のランクイン数110校に対しイギリスは100校で、その差は前年の5から10に拡大。日本はランクイン数においてアメリカに次ぐ2位の座を維持した。
 東京大学、京都大学に続く東北大学(251〜300位)、東京工業大学(251〜300位)、名古屋大学(301~350位)、北海道大学(401~500位)、九州大学(401~500位)はいずれも前年と同じ順位。大阪大学は前年の251〜300位から301~350位に下がった。
 私立大学最上位は初ランクインした産業医科大学の 351~400位で、被引用論文(研究影響力)のスコアが高い。次いで、いずれも前年の順位を維持した藤田医科大学(藤田保健衛生大学から校名変更)と帝京大学の401-500位。慶應義塾大学と早稲田大学はいずれも前年と同じ601~800位だった。
 産業医科大学以外で新たにランクインしたのは、久留米大学(601~800位)、京都府立医科大学(801~1000位)、聖マリアンナ医科大学(801~1000)、三重大学(1001+)、大阪医科大学(1001+)、滋賀医科大学(1001+)の6校でいずれも医学部がある。 

●トップ200の数を増やすには本格的な投資と将来計画が必要

 日本はランクイン数が増える一方で、ランキング上位での存在感をなかなか強化できないという問題がある。ランクイン数ではイギリスを上回ったものの、トップ200に入った大学の数は日本の2校に対し、イギリスは28校。中国(7校)、韓国(6校)、香港(5校)にも差をつけられている。日本の大学の多くは産業界からの収入(知の移転)や被引用論文(研究影響力)のスコアが高い一方、国際性が低く、それがランキング上位に食い込めない要因になっている。
 THE チーフ・ナレッジ・オフィサーの フィル・ベイティ氏 は、日本はトップ200の大学を増やすなど、他のアジア諸国・地域と互角の実績を上げるために「優れた研究者や留学生を引きつけたり、他国の研究者との協力を進めたりして国際性のスコアを向上させるべきだ」とコメント。その実現には本格的な投資と将来計画が必要だと指摘した。

●シンガポールから2校がトップ50入り

 アメリカ はランクイン数172、トップ200の数は60で、いずれも前年と同じ。被引用論文(研究影響力)で強さを発揮して依然、世界をリードしている。
 アジアではランキング上位での存在感を増す国・地域が目立つ。
 中国はランクイン数が 72 校から 81 校に増加し、その数はアメリカ、日本、イギリスに次いで世界 第4 位。アジアトップの清華大学と2位・北京大学はそれぞれ23位と24 位だった。
 アジア第3位のシンガポール国立大学は 総合25位 で、前年から2ランクダウン。南洋理工大学 は同率 48位で、シンガポールから初めて 2 校がトップ 50 入りした。
 台湾はランクイン数が 32校から 36 校に増加。地域内トップの国立台湾大学 は被引用論文(研究影響力)と研究(量、収入、評判)のスコア向上に力を入れ、トップ 200の大学としては異例の50ランクアップで同率120位になった。
 韓国 は31校がランクインし、トップ200は1校増えて6 校に。
 香港 は4年連続で 5 校がトップ 200入り。国際性の高さがアジアにおける優位性となる一方、教育(教育環境)と研究(量、収入、評判)では遅れをとっている。地域内トップの香港大学 は 35 位 だった。

●5分野13指標でスコアを算出

 「THE世界大学ランキング2020」は基本的に前回と同じ指標を用い、教育、研究、国際性など5つの分野について、13の指標で各大学のスコアを算出している。
各分野・指標の比重は以下の通り。

◇教育(教育環境) 30%
・評判調査<教育> 15%
・学生に対する教員比率 4.5%
・学士課程学生に対する博士課程学生比率 2.25%
・教員に対する博士号取得者比率 6%
・大学の総収入 2.25%

◇研究(量、収入、評判) 30%
・評判調査<研究> 18%
・研究関連収入 6%
・学術生産性 6%

◇被引用論文(研究影響力) 30%

◇国際性(教員、学生、研究) 7.5%
・外国籍留学生の割合 2.5%
・外国籍教員の割合 2.5%
・国際共同研究 2.5%

◇産業界からの収入(知の移転)2.5%


<2019年9月18日更新>

*下表ではTHE世界大学ランキング2020、THE世界大学ランキング2019、THE大学インパクトランキング、THEアジア大学ランキング、THE世界大学ランキング日本版の各順位を一覧化している。一覧表のダウンロードはこちらから

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