私学助成の配分法見直しへ-無策による継続的定員割れは支援打ち切りも

●財務省が定員割れの大学への継続的支援について問題提起
●改革に積極的な大学にはより手厚い支援でメリハリをつける
●文科省は定員割れの背景や実質的影響にも配慮した配分ルールを模索

2018年度から私学助成の配分ルールが変わる。経営努力を怠って定員割れが続き、教育の質保証が困難と判断した大学については減額するという基本方針の下、文部科学省が財務省と調整して具体的な指標や基準を年内にも決める。経営改善の見通しがない場合は補助金を打ち切ることも検討。一方で、教育の質保証や経営改善に積極的な大学には支援を手厚くするなど、メリハリある配分によって改革を促す。


●8~9割の大学が特別補助を受給する実態を財務省が疑問視

 今回の見直しは、財務省が6月にまとめた予算執行調査の結果が根拠になっている。
*予算執行調査の結果はこちら
http://www.mof.go.jp/budget/topics/budget_execution_audit/fy2017/sy2906/14.pdf
 この調査結果では、2012~2016年度の私立大学等経常費補助交付対象校の半数以上が定員を満たしておらず、その状態が5年間続いた大学等も4割に上ると指摘。定員割れの大学等のほうが補助金への依存度が高いこと、定員割れの大学等への補助額が全体の 2割を占めていることを問題視している。この間、定員割れの大学等に対する補助金算出の調整係数が変更されず、意欲的な取り組みを支援する特別補助を全体の8~9 割の大学等が受給していることも指摘した。

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 財務省は「大学改革がない中での補助金支出は、教育力に疑問がもたれるような大学を救済することにつながる」「これは大学進学者や納税者にとって望ましいこととは言えない」と結論づけている。
 そして、「今後の改善点・検討の方向性」として、①私学助成の「調整係数のさらなる強化」および「補助金配分基準に教育の成果を測るための客観的な指標の導入」を行うべき、 ②数年間定員割れの状態が継続する、あるいは経営状況の改善が見られない大学等について、個別に補助金の減額・停止等を行うためのメリハリづけを強化すべき、③特別補助については、交付対象校数の見直しにより、競争性を高めるなど、交付要件およびメニュー内容の見直しを図るべき、という3点を示した。
 この調査結果が2018年度予算編成の方針となるため、文科省の担当者は「ゼロ回答はあり得ず、何らかの対応が必要」と説明する。現在も、定員充足状況によって補助金の増減を決める仕組みはあるが、単年度のデータだけではなく、定員割れの継続等、中期的な状況も加味し、経営改善を促す方向だ。補助金の算定ルールがいきなり大きく変わると混乱を招くため、段階的な見直しも検討する。

●配分ルールにおける定員充足率の扱いが焦点に

 ただし、文科省は「定員割れ=進学する魅力に乏しく、改革がない大学」という財務省の捉え方には同調していない。「定員割れが大学自身の問題によるものなのか、あるいは地域的、社会的な要因が大きいのか等、さまざまなケースを分析したうえで、補助金の本来の趣旨である大学のエンカレッジにつながるような配分ルールを考えたい。定員を満たしていなくても、地域から評価されている大学であれば何らかの形で救済できる仕組みにすべきだ」と担当者。
 新しい配分ルールでは、教員数や学生数に基づいて算出されている一般補助に、「教育の質保証」や「経営力強化」等、改革の意欲や成果を客観的に評価する指標を設ける方向。教育の質保証については、私立大学等改革総合支援事業申請時の評価項目の一部を移し、全ての大学に求める基本的取り組みとして位置付けることも検討されている。経営力について文科省は、定員充足率だけでなく、それが経営の不安定化、学生の不利益にどの程度つながっているか等、実質的な問題まで踏み込んで見ていくべきという考え方で財務省と交渉するが、どの程度折り合えるかは不透明だ。
 2018年度の概算要求における私立大学等経常費補助の総額は3283億円で、前年から130億円の増。しかし、配分ルールの見直しによって受給額が従来と大きく変わる大学も出てきそうだ。定員充足率がどのように扱われるのか、教育の質保証の評価にどの程度、客観的・合理的な指標が導入されるのか、注目される。


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