23区での定員増は投資の有無と意思決定時期を確認―10月申請対応案

●文科省が「23区内での定員増は原則不可」の告示案を提示
●2019年度の新設や定員増は広報段階まで進んでいることが申請の条件
●専門職大学新設の条件は専門学校からの定員移動

文部科学省は8月14日、東京23区内での大学の定員増を原則として認めない方針を具体化した告示案をパブリックコメントにかけた。今年10月の認可申請に対応するための応急措置で、2018年度の23区内での収容定員増については「本来の6月申請をめざした意思決定が理事会等でなされ、金銭的な投資や契約等がすでに進んでいる場合」は例外として申請を認めるという内容だ。現在、届出を含む手続きなしでできる学部移転についても、内閣官房が各大学の計画について調査に乗り出しており、その結果を受けて今後の規制方策が検討される。

*パブリックコメント募集ページはこちら
http://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=185000924&Mode=0


●「6月末までに意思決定済み」の証明を求め、駆け込み申請を不可能に

 認可申請ルールの改正に関する告示案は、①今年6月から10月に申請が延期された23区内での2018年度の収容定員増、②今年10月以降に順次、申請を受け付ける2019年度の大学新設、学部新設、収容定員増、それぞれについて23区内での定員増となるものは原則として認めないという内容。
 それぞれについて例外的に申請を認める条件が示され、①は「校舎建設等の投資を伴い、2017年6月30日までに申請の意思決定がなされたことを証明する書類がある場合」となっている。次年度以降の規制強化をにらんだ駆け込み申請を封じることがねらい。②の例外規定は、「同じ法人が23区内に設置している専門学校の定員を減らして専門職大学を新設する場合」「23区内での収容定員の総数が増えないスクラップアンドビルドによる学部新設の場合」「校舎建設等の投資を伴い、2017年9月30日までに、申請の意思決定がなされたことを証明する内容で刊行物やインターネットによる広報がなされている場合」となっている。
 金銭の投資を伴う案件を規制の例外とするは、損害賠償請求のリスクを回避するためで、すでに投資がなされたものに加え、契約等による支出が予定されているケースも対象として検討される。

●「専門職大学新設を規制しても検討が進んでいる案件への影響はない」

 2019年度の新設や定員増が対象となる②については、申請の意思決定だけではなく、新設予定等の広報によって受験生に影響が及ぶ段階まで進んでいることを、23区内での申請を認める要件としている。一方、①については本来6月だった申請を急きょ延期したことをふまえ、広報済みかどうかまでは問わない。
 ②の専門職大学の新設について、同一法人内の専門学校の定員をどの程度減らせば例外として認めるかは、パブリックコメントの結果もふまえて検討される。23区内に専門学校を持たない法人は初年度、このエリアで専門職大学を新設できないことになるが、文科省の大学設置室は「今年10月の申請に関しては、この要件によって規制を受ける法人から専門職大学新設の相談は来ておらず、実質的な影響はないと考えている」と説明する。
 告示案に対するパブリックコメントは9月12日で締め切り、内容を調整したうえで9月末までに公布、即日施行される。今年10月の申請で23区内での定員増をシャットアウトするための言わば応急措置で、文科省はこれと並行して2020年度以降の新設や収容定員増に抜本的に対応すべく、来年の新規立法をめざして検討を進めている。 

●現状、届出不要で把握不能の学部移転についても対応検討へ

 一方、内閣官房のまち・ひと・しごと創生本部事務局は、8月10日付で首都圏一都三県の私立大学に、23区内に学部を移転する予定があるか尋ねる調査票を送付した。定員を変えず、土地の取得や施設の建設も伴わない形である学部を既存の別のキャンパスに移す場合、現行制度では認可申請も届出も不要で、移転しても文科省がその事実を把握できない状況にある。 
 そこで、こうした計画を事前に捉えて対処を検討することが調査のねらい。移転の予定がある場合にはその時期や対象人数、理事会等での正式決定の時期、計画に関する公表の有無、金銭的投資を伴う場合の支出内容と額などを尋ねている。
 この調査ではさらに、大学や学部・学科の新設、学部・学科間の定員移動による23区内での定員増の予定についても回答を求めている。


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