2019.0123

更新版「データネット2019」のセンター予想平均点と今後の高校の動き

この記事をシェア

  • クリップボードにコピーしました

3行でわかるこの記事のポイント

●文系は570点、理系は576点
●国語の平均点が前年より17点アップ
●高校はデータネットを活用し、面談・出願指導へ

*本記事は「センター試験の問題分析に基づく予想平均点」をお伝えした1月21日の記事を「自己採点データに基づく予想平均点」として更新したものです。

ベネッセコーポレーションと駿台予備学校が提供する大学入試センター試験自己採点集計「データネット2019」は1月22日夜、全国の高校から回収した自己採点データに基づく予想平均点を発表した。予想平均点は、文系5教科8科目(900点満点)で570点(前年のセンター最終集計との差は+16点)、理系5教科7科目(900点満点)で576点(+12点)となっている。データネットでは自己採点結果と志望校のデータを分析し、各大学の志望動向等の情報を高校に提供する。各高校はその情報を活用しながら生徒への出願指導を行う。予想平均点の概要と合わせ、今後の高校の動きを紹介する。

*「データネット2019」の平均点情報はこちら


●英語リスニングの平均点がアップ

 1月22日夜時点のデータネットによる平均点は、国語が122点(前年のセンター最終集計の平均点を四捨五入したものとの差は+17点)と前年より大きく上がる一方、数学I・数学Aは60点(-2点)、英語筆記は123点(-1点)とほぼ前年並みだった。他に英語リスニング31点(+8点)、地理B62点(-6点)、倫理62点(-6点)、化学55点(-6点)などで変動が目立つ。  
 センター試験の志願者数は57万6829人で前年度より1.0%減った。既卒の志願者数は前年度より2.6%多い10万6682人だった。全体に占める既卒者の割合は前年度より0.7ポイント高い18.5%となっており、前年度入試で多くの大学が合格者数を絞り込んだ影響と推測される。
 データネットでは約4800の高校、予備校から約45万人分の自己採点結果を回収し、予想平均点を算出。これと合わせて全体概況、各大学の志望動向や志望者度数分布等を算出、分析する。24日から全国で高校教員を対象にしたデータネット説明会を開催する一方、ウェブサイトでもこれらの情報を発信する。

●高校では週末から週明けにかけて出願指導がスタート

 センター試験以降、出願指導に関する高校現場の動きは学校によって多少異なるが、おおよそ次のような流れになる。
 各高校は21日(月)、センター試験受験者から自己採点結果を回収。科目ごとの得点と第1志望校から第6志望校までを記入したカードを集め、データネット等、各集計機関に送付。その一方で、自己採点の結果に一喜一憂しないよう、生徒のケア、励ましにも気を配る。目標点に達しなかった生徒に対しては、全体の平均点の変動や2次試験で逆転も可能なことなどを伝えて励まし、一気に弱気な出願に傾かせないようにする。
 23日(水)にはデータネットから高校に対し、各生徒の志望校合格可能性を確認できる情報が提供される。教員は自己採点結果から合否が特に気になる生徒についてこの情報を確認し、面談での指導の方向性を検討しておくといった使い方がなされる。
 24日(木)午後以降、全国約60会場で計5000人以上の高校教員を対象にデータネット説明会が開かれる。ここでセンター試験の結果分析、各大学の合格ライン、どの大学に多く志望者が集まっているかといった情報と合わせ、出願指導のポイントが解説される。
 各高校では同日夕方から25日(金)にかけて、進路指導担当者や3年生の担任を中心とする会議が開かれる。データネット説明会に参加した教員から情報が共有され、出願指導の方針、生徒一人ひとりに対する指導・助言内容を確認。併願先の検討などもなされる。
 この会議をふまえ、早い高校では金曜日から、個人面談や3者面談を実施。学校によっては土日に面談をするケースもある。そこで志望校の合格可能性を確認し合い、本人の考えと教員の助言をすり合わせながら出願先を決める。
 国公立大学の個別学力試験の出願受け付けは1月28日から2月6日まで。生徒は私立大学についても、模試データもふまえ、各大学のウェブサイトで公表される志願者速報を参考にしながら出願先、併願先を決めていく。

●平均点アップでも手堅い出願傾向か?

 高校の進路指導に詳しい進研アド・マナビジョン企画部データベースマーケティング課の仁科佑一グループリーダーは「前年度までの入試で合格者数がかなり絞り込まれたうえに、現行制度での入試は次回が最後なので浪人できないと考えるなど、受験生の安全志向は極めて強い。文系、理系とも平均点はアップしたが、上位校に強気の出願をするというよりは、志望校に手堅く出願する傾向になるのでは」と予想する。
 データネットには高校生や高校教員から多くのアクセスが集まる。前年度、センター試験直後から1週間のユニークユーザー数は約282万人だった。