ベネッセ入試結果調査① 志願者数は国立で緩やかに減り、私立で増加

●国立は理科の負担感や後期の定員削減により敬遠される傾向に
●私立は入定厳格化による併願校数増で志願者増が継続
●センター試験も3科目以下の私立型受験者の割合が過去5年間で最大

ベネッセコーポレーションは全国の高校の協力の下、2018年度入試の結果をまとめた。国立大学の志願者数が緩やかに減少する一方、私立大学は志願者数の増加と合格者数絞り込みによって難化していることが判明。ベネッセ教育情報センターの分析に基づいて、2018年度入試結果と次年度入試の動向についてシリーズで解説する。初回は志願者動向を取り上げる。

*各データはベネッセの分類・集計によるもので、各大学が公表している数値とは異なる場合がある。
*大学の公表数値を基にしたデータは5月中旬までにベネッセが収集・確認できた情報を基にしている。


 ベネッセコーポレーションは2018年度入試について、全国3627の高校から51万4966人分の出願・合否結果の情報提供を受け、進研模試データを加えて分析。ベネッセグループが集めた各大学の志願者データや次年度入試の変更点等の情報も加味し、夏休み前後に本格化する志望校選びの参考として、高校に情報を還元している。これらの情報に基づき、今回はまず国立、私立、およびセンター試験の志願動向について解説する。

●国立大の志願動向―後期日程の志願者減が目立ち、欠席率も上昇

 国立大学の一般入試志願者数は前期日程と後期日程合わせて33万205人、対前年指数98だった。2017年度の指数も99でここ数年、緩やかな減少傾向が続いている。背景には、現行教育課程が先行実施され理科の負担感が増した2015年度入試以降、国立大学を敬遠する傾向が続いていること、国立大学が推薦・AO入試拡大に伴い後期日程の募集人員を減らしていることなどがある。理科の旧課程最後の入試となった2014年度入試を100とすると、2018年度の前期日程の募集人員は99で横ばいだが志願者数は97とやや減少。後期日程の募集人員は92、志願者数は90で、志願者数は4年間で1割減少した。

zenki_koki.png

 後期日程では欠席率も上昇している。2018年度入試の欠席率は56.9%で6年続けて上昇。前期日程で合格するケースに加え、後期日程に出願はしたものの早々にあきらめて私立大学への進学を決める受験生も増えていると考えられる。

kesseki.png

 公立大学の一般入試志願者数は前期・中期・後期の各日程合わせて13万5503人で対前年指数101。前期101、中期107に対し後期のみ96と前年より減った。

●私立大の志願動向―情報工学は対前年指数124と人気

 国立大学で志願者数の緩やかな減少が続く一方、私立大学の一般入試志願者数は359万人で対前年指数107と増加。背景としては、①入学定員管理厳格化の下での合格者数絞り込みを受けて受験生が併願校を増やしている、②Web出願や受験料割り引き制度の広がり、③理科の負担感や後期日程の募集人員減少のため国立大学を敬遠する動きなど、いくつかの要因を指摘できる。入学定員管理厳格化によって一般入試合格者数は87万人で対前年指数96と、受験生にとって厳しい入試となった。次年度以降も私立大学ではしばらくこの傾向が続くと予想される。
 私立大学の学部系統別志願動向を見ると、引き続き文高理低傾向にあることがわかる。文系人気の背景には今春の大学卒業者の就職率が過去最高水準の98.0%となるなど、売り手市場の就職環境がある。社会、経済・経営・商学などの社会科学に加え、人文科学、語学でも志願者数の伸びが目立つ。

shiritu_bunnyabetsu.png

 以下も、私立大学の学部系統の志望動向について解説する。
 語学系統は対前年指数110、国際関係学系統は106だが、2016年度を100とした指数は後者の伸びがより目立つ。授業や探究活動を通して高校生の関心が「外国語を使える」ことから「語学を使って何をするか」に変わってきたことが要因の一つと推測される。

 gogaku_kokusai.png

 理系の中でも工学系統の志願者数は対前年指数107と増加。学科系統別に詳しく見ると情報工学の指数が124と人気が高く、AI、IoT、ビッグデータ等のキーワードに代表される社会的要請の高い分野への関心の高さがうかがえる。

kogaku.png

 薬学が対前年指数96と前年を割り、近年ダウントレンドにある要因の一つとして、私立大学で薬学部の新設が相次ぎ薬剤師国家試験の合格率が低下していることが考えられる。直近の合格率は、薬剤師養成が6年制に変わった後、初の国家試験となった2012年度と比べ20ポイント近く低下している。

yakuzaishi.png

●センター試験の志願動向―私立難化でセンター利用方式も積極的に活用

 2018年度のセンター試験の志願者数は58万2671人で対前年指数は101。国立型の7科目以上受験者の割合が低下する一方、私立型の3科目以下受験者の割合はこの8年間で最高となった。受験科目が多く負担の大きい国立大学を避けて私立大学を専願する受験生の増加、私立大学の難化によりセンター利用方式も積極的に活用しようとの私立専願層の心理が背景にある。

7kamoku_3kamoku.png

 データネット(ベネッセコーポレーションと駿台予備学校が提供するセンター試験自己採点集計)で教科型について見ると、文系人気を背景に文系型5教科8科目の受験者数が対前年指数102と増加、理系型5教科7科目は同98と減少した。
 平均点は文系、理系ともに前年から大きな変動は見られず、得点調整は行われなかった。

 国立大学の志願者数が緩やかに減少し、私立大学は国立志望層の流入、および入学定員管理厳格化の影響によって志願者数が増えている状況が浮かび上がった。「ベネッセ入試結果調査」シリーズ次回は、私立大学の志願者増と合格者絞り込みの状況を分析。それをふまえた高校の進路指導の動向に触れ、大学の学生募集の方向性について考える。


*関連記事はこちら

私大の23%が一般入試、センター利用入試に英語外部検定を導入
更新版 センター試験予想平均点は文理とも若干の変動~ベネッセ「データネット」