2018.0416

私大の23%が一般入試、センター利用入試に英語外部検定を導入

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3行でわかるこの記事のポイント

●東京での実施率は4割近くで突出
●大学・学部数の割に実施率が高いのは文・人文・教養・心理
●入試の変更に伴って大学の授業も変わると高校側は期待

2018年度入試の一般入試、センター利用入試で英語外部検定を活用した私立大学は前年から40校増え、全体で136校、私立大学全体の23%に上ることが、豊島継男事務所の調査でわかった。地域や学部系統による傾向も含め、導入状況を紹介する。


●大規模総合私大で目立つ出願基準としての活用

 豊島継男事務所は進研アドと連携して大学入試の志願動向を調査・分析している。2018年度入試については英語外部検定を導入した大学・学部の数と活用方法についても調べた。
 下表に示すように、2018年度の一般入試、センター利用入試で外部検定を導入した大学は136校あり、私立大学全体の23.3%に上った。学部数は前年の316から482に増えた。
 地区別に見ると東京地区の実施率(大学単位)が4割近くに達し、突出している。南関東、九州などでは導入学部拡大の動きが読み取れる。

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 導入している136大学482学部を学部系統別に分類すると下表のようになる。

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 導入大学数は「国際・外国語」に次いで「経済・経営・商」が多いが、系統ごとの大学数、学部数を考慮すると、実施率が高いのは「国際・外国語」「文・人文・教養・心理」などとなっている。
 豊島事務所では英語外部検定の活用方法を次の6つに分類し、該当する大学の数をまとめている(学部・選抜方式によって活用方法が異なる大学があるため、合計大学数は136にならない)。
 ①一定以上の級・レベル・スコアを保持している者が出願できる=出願基準(36大学)、②一定以上の級・レベル・スコアを保持している者は英語の試験が免除される(15大学)、③一定以上の級・レベル・スコアを保持している者は英語の得点が満点に換算される(18大学)、④保持する級・レベル・スコアに応じて英語の得点に換算される(55大学)、➄保持する級・レベル・スコアに応じて英語の得点に加点される(18大学)、⑥合否判定の際に考慮したり優遇したりする(12大学)。
 ①の出願基準としての活用は2018年度、東北学院、昭和女子、東京女子、東京理科、法政、明治学院、京都外国語、関西などの各大学が新規導入、または実施学部の拡大を行い、実施大学数は2017年度から7校増えた。

●高校生の間で高まりつつある「受検すべき」との意識

 英語外部検定を導入している私立大学のうち、豊島事務所が志願者数データを入手した85大学における外部検定利用入試の志願者数(3月22日現在)は、39万6825人で対前年指数117.5となっている。ただし、上記①以外の活用方法については実際には外部検定の成績を利用せずに出願した者も含まれる。
 2018年度入試では入学定員管理厳格化の下で各大学が合格者を絞り込み、受験生が併願校を増やした影響で志願者数が大きく増加したが、外部検定導入校の増加も一定程度、志願者数増加の要因になったと考えられる。
 外部検定は共通テストでも導入されることから高校生にとって受検すべきものという意識が高まりつつある。私立大学の一般入試についても、外部検定を積極的に導入する姿勢は4技能向上の努力に応えるものとして高校現場から歓迎されるだろう。ただ、活用できる外部検定が大学ごとに異なる状態で拡大していくと、受験生はいくつもの検定を受検しなくてはいけなくなる。センターの認定を受けた試験を全て活用対象とするなど、受験生の負担軽減のための配慮が必要だろう。
 言うまでもなく、英語4技能の重視は入試の時点だけの課題ではない。ベネッセコーポレーション学校カンパニー営業開発部の大山敦史部長は「外部検定に積極的にチャレンジし、力を伸ばしている高校生は大学の授業で自分の力をどこまで伸ばせるか期待して入学してくる。高校教員も、入試が変わるからには大学の英語教育も当然、変わるものと注目している。大学が教学改革によってこうした期待に応えてこそ、真の高大接続改革と言える」と話す。


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