2017.1115

英語外部検定―実施の実績や体制は柔軟に審査し、多くの参加を促す

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3行でわかるこの記事のポイント

●当面は「計10か所以上で複数回の実施」でOK
●2年以上の実施実績、技能別の成績提供についても柔軟に判断
●国大協の「両試験を課す方針」で「受験生の負担増」との指摘も

文部科学省と大学入試センターはこのほど、2020年度からの大学入学共通テストで活用する英語外部検定試験の選定要件を発表した。受験生に配慮してなるべく多くの試験を活用する方針の下、実施に関する実績・体制については柔軟に判断することになった。

*入試センターの発表資料はこちら


●受験生の経済的負担への配慮も求める

 文科省は当初、要件を満たした検定試験を入試センターが「認定」すると説明したが、その後、法的根拠に基づく認定制度ではないと軌道修正し、「大学入試英語成績提供システムに参加」するための要件として今回の発表を行った。
 今回示された主な要件は次の通り。

①日本国内での2年以上の試験実施実績
②高校生の受検実績、大学入試での活用実績
 ただし、多くの検定試験に参加を促すため、これらについては柔軟に対応する方針だ。英語の資格・検定試験の実績がある実施団体がそれを基礎として新たな試験を開発する場合などは、実績が2年未満であったり、受検・活用実績が少なかったりしても参加を認める場合があるという。

③1回の試験で4技能を偏りなく評価できること
 これも、試験の設計上、技能別の成績を示すことができない場合は、それに準じる方法での成績提供を認めるという。

④高校の学習指導要領との整合性
⑤CEFRとの対応関係やその根拠となる検証方法等の公表・検証体制の整備

⑥毎年度4月から12月までの間に複数回の試験を実施
⑦原則として毎年度、全都道府県で試験を実施

 ただし当面の間、受検者が少ない地域では複数の県の合同実施を認め、計10か所以上での複数回の実施を要件とする。現状、実施団体によっては年度ごとに実施都道府県が変わるケースがある。採算割れしない程度に受検者数を確保できるか見通せない現時点で会場の増設を確約できないという事情にも配慮し、柔軟な判断で参加を認めることにした。

⑧経済的に困難な受検生への検定料の配慮

 これらの要件を満たして「大学入試英語成績提供システム」への参加を認められた検定試験の実施団体は、受検生からセンターへの成績送付を依頼された場合、スコア(バンド表示も含む)とCEFRの段階別成績等をセンターに提供する。センターは各大学からの請求を受けて、検定試験の成績データを大学入学共通テストの各科目の成績と合わせて各大学に提供する。 
 この仕組みのイメージは下図の通り。

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 センターは12月中旬まで各検定試験実施団体から参加申し込みを受け付け、要件を満たしているか審査したうえで、年度内に参加を認める検定試験を公表する。  

●文科省は「検定試験のための特別な対策は不要」と説明

 国立大学協会は、大学入学共通テストのマークシート方式の英語と外部検定試験が併存する2023年度までは、その両方を全受験生に課すことを決めた。検定試験の段階別評価をどう活用するか、国立大学共通のガイドラインを今年度内に作成する予定だ。

*国大協の発表資料はこちら

 国立大学を受験する生徒にとっては従来の英語の試験に加え、検定試験の対策も求められることになり、経済的負担もさることながら受験勉強の負担増を指摘する声が聞かれる。文科省の担当者は「そもそも、高校の英語教育が学習指導要領に基づいて4技能型になっている。普段の授業できちんと力をつけていれば入試のための特別な対策は必要ないはずで、必ずしも負担増とは言えない」と説明している。


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