高校教員は今後の思考力等の育成・測定に積極的―ベネッセ調査

●現状、思考力等の育成・測定はごく一部の教員の取り組みにとどまっている
●アクティブ・ラーニング含め、授業改善の強化に前向き
●80%近くが「各大学の入試改革情報の収集を強化」と回答

85%の高校教員が今後、思考力・判断力・表現力を育成する授業実践を強化したいと考えている―。ベネッセコーポレーションが実施した調査で、思考力等の育成や測定に対する高校教員の積極的な姿勢が浮かび上がった。高大接続改革に対応するための高校側の実践に、大学がどう応えるかが問われている。


●「基礎知識を早期に定着させ、表現力を育成」

 ベネッセコーポレーションの調査「教育・入試改革対応に関するアンケート」は2017年3月~4月、高校で進路指導、教務、各教科を担当する教員や管理職の教員を対象に実施され、1237件の回答が得られた。
 図表1は、入試改革への対応に向けた取り組みの現状を「未着手」の割合が高い順に示している。「思考力・判断力・表現力を育成する授業実践」は全体の中では取り組みが進んでいるが、組織的な取り組みは10%強にとどまる。「思考力・判断力・表現力を測るための作問、定期・実力考査での導入」も、大半は一部の教員のみが取り組んでいる状況だ。

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 一方、図表2は、今後の取り組みの予定を「特に強化したい」+「強化したい」の割合が高い順に示している。思考力等を育成する授業実践は「特に強化したい」が25%で他を引き離し、「強化したい」も60%近くに上る。これらの力の測定についても80%近い教員が積極的な姿勢だ。これらと「アクティブ・ラーニングの視点からの授業改善」の割合の高さから、まずは自身が担当する授業から見直そうという意識がうかがえる。

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 志望校選びの指導につながる「各大学の個別選抜改革の内容に関する情報収集・問題分析」も8割近い教員が強化したいと考え、大学の動向と発信に注目している。
 フリーアンサーでは、「基礎知識等に関する定着を早い段階で行い、高校2・3年次からは入試改革で求められる力の養成を行いたい」「言語表現能力の育成のためには基礎知識の早期定着が必要」など、早めに基礎知識を修得させ、それを土台として思考力や表現力をつけさせるという考えが複数、示された。

●改革に消極的な大学は高校から背を向けられる可能性も

 これらの結果から、高校は高大接続改革において、まずは思考力・判断力・表現力の育成に取り組む方向で授業の中身や教育スケジュールの見直しを図る一方、各大学からの情報発信に注目・期待していることがうかがえる。
 大学側は、こうした高校の姿勢に呼応すべく、入試改革とその情報の発信に積極的に取り組む必要がある。入試における思考力や表現力の評価は大学にとって負担が大きいが、そこにきちんと向き合わなければ、高校から「自分たちが努力して育成している力を評価してくれない大学」と見なされ、背を向けられることになりかねない。評価手法については、思考力等を測るための作問に取り組もうとしている高校との情報交換を通して磨き合うことも考えられるだろう。
 大学がそれぞれのアドミッション・ポリシーに基づき、学力の3要素をそれぞれの手法で評価する入試改革に取り組み、その情報を積極的に高校に届けることが求められている。


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