文科省委託事業で主体性評価に向けeポートフォリオと出願システム構築

●高校生が探究活動や課外活動、資格・検定等の実績をeポートフォリオに蓄積
●web出願ポータルサイトとの連携システムを構築し、広く開放
●今秋から高校でeポートフォリオを運用、2019年度入試から活用へ

現在、進められている入試改革では、学力の3要素の総合的・多面的な評価が求められる。その中でも、主体性をどう評価するかは大学にとって難しい課題と言える。文部科学省の委託事業(代表大学・関西学院大学)では、大学がコンソーシアムを形成し、高校と連携しながら高校eポートフォリオの開発を通してこの課題に取り組んでいる。web出願ポータルサイトと組み合わせ、入試で主体性を評価するための基盤を構築し、広く高校、大学に開放する予定だ。

*文部科学省による委託事業の説明はこちらhttp://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/28/08/__icsFiles/afieldfile/2016/09/01/1376777_01.pdf


●eポートフォリオには調査書の記載項目を補完する情報を蓄積

 関西学院大学が代表校となり、国立・私立計7校(大阪、大阪教育、神戸、早稲田、同志社、立命館、関西の各大学)と共同で取り組んでいる委託事業の名称は「『主体性等』をより適切に評価する面接や書類審査等教科・科目によらない評価手法の調査研究」。学力の3要素のうち主体性を適切に評価するため、教育委員会や高校と連携し、「『主体性等』の評価尺度・基準の開発」「高校段階でのeポートフォリオとweb出願ポータルサイトとの連携システムの構築」を進めている。
 主体性の評価基準については、全国の大学を対象に実施した調査の「大学は調査書の意義は認めつつ、より客観的な記載でないと選抜には活用できないと考えている」との結果から、eポートフォリオには調査書の記載項目を補完するための情報を蓄積できるようにする。
 探究活動、生徒会活動、課外活動や資格・検定等、主体性のエビデンスとなる情報を蓄積したeポートフォリオを高校や生徒が活用し、その内容をweb出願ポータルサイトから各大学に送信する仕組みを構築、高校や大学が自由に参画できるようにする。2016年度から3年間かけて取り組むことになっており、2017年9月に高校でのeポートフォリオ運用をスタート、2019年度入試から大学の参加によりweb出願ポータルサイトを稼働させて入試に活用する予定だ。

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●高校の調査書作成、大学の入試、それぞれの業務負担の軽減にもつなげる

 eポートフォリオには、①主体的・対話的な深い学び(探究などの校内の研究活動やフィールドワーク等)への取り組み、②部活動、ボランティア活動等、③取得資格・検定等、④表彰・顕彰等、⑤生徒会活動や学校行事などの特別活動といった項目を設定。例えば、④は「英語ディベート大会」「国際科学オリンピック」等の各大会、および「全国大会出場」等のレベルを選択肢としてあらかじめ設け、生徒が該当するものを選択して入力する。各大学が自学のweb出願システムで評価項目ごとの配点を設定しておき、志願者を自動的に採点・評価できるようにするイメージだ。
 高校側にとっては調査書の充実に伴い記載項目が増加するため、このeポートフォリオを活用することで業務負荷を軽減できる。将来的には検定等の各実施主体のシステムと連携してeポートフォリオの記載内容に虚偽や間違いがないか自動的に照合できるようにするなど、大学側の入試業務の負担軽減にもつなげたい考えだ。事業に参加している大学の中には、eポートフォリオの情報を基に初年次教育の質を高めたり、就職活動での活用までを視野に入れて学生ポートフォリオと接続させたりすることへの期待もあるという。
 文科省は高大接続改革の一環として調査書の電子化に取り組むことにしており、将来はこのeポートフォリオの情報を活用してデジタル調査書を生成し、出願先の大学に送付できるようにすることも検討している。
 委託事業期間中は8大学がシステムの管理主体となり、事業終了後は大学の連合体と民間事業者で構成する公益財団法人等に引き継ぐ考えだ。
 関西学院大学で学長特命としてこの事業を担当している高大接続センターの尾木義久次長は、「主体性を評価するためには一人ひとりの生徒の学びのプロセスをしっかり見つめて評価する丁寧な入試が求められる。大学は、志願者の数を競う従来の価値観から脱却しなければならない」と話す。
 このシステムの利用に関心がある大学・高校からの連絡は、下記アドレスで受け付けている。
 jep@kwansei.ac.jp(委託事業の事務局) 


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