2017.0725

一般選抜の実施は現行通り2月1日以降―入試改革方針案から変更

この記事をシェア

  • クリップボードにコピーしました

3行でわかるこの記事のポイント

●記述式導入、多面的・総合的評価を目的とした前倒し案を撤回
●「共通テスト成績提供との間が短すぎ」と私大が反対
●大学からは「1週間程度の前倒しで面接等は無理」との声も

文部科学省が先ごろ発表した高大接続改革の実施方針中、「平成33(2021)年度大学入学者選抜実施要項の見直しに係る予告」では、一般選抜の開始時期が現行通りの「2月1日から」に戻った。5月の方針案では、一般選抜で記述式問題等を実施するための期間確保を理由に「1月25日から」と前倒しする方向が示されたが、私立大学などの反対を受けて軌道修正した。

*7月13日発表の「高大接続改革の実施方針」はこちら
http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/29/07/1388131.htm


 5月の方針案では、一般選抜における記述式問題の導入・充実、多面的・総合的な評価の実施に必要な期間の確保を理由に、「教科・科目にかかるテストの実施時期」を前倒しし、「1月25日~3月25日」にすることが示された。大学入学共通テストの成績提供は現行より1週間程度遅くなるため、一般選抜が前倒しされると、私立大学は現在のように共通テストの成績を受け取って合格者の歩留まりを予測したうえで一般入試を実施することができないとして、日本私立大学連盟など反対していた。文科省に対する同連盟の意見書では、共通テストの成績提供が遅れることとあわせて問題視し、「共通テストを利用できない私立大学が出かねない」と再考を求めた。入試の前倒しについては、高校関係者からも高校教育への影響を理由に反対の声が上がっていた。
 これらを受け、最終的な方針では一般選抜の開始時期は現行通りの「2月1日」となる一方、終了時期は現行の「4月15日まで」を前倒しした「3月25日まで」のままとされた。年度内に入試を終え、年度はじめから授業時間を十分に確保すべきという考えだ。
 現行と同じ「2月1日以降」となったことにより、当初の方針案で明示された、一般選抜での「記述式問題の導入・充実」「多面的・総合的評価」という要請はトーンダウンした。ある私立大学の入試担当者は「一般選抜の受験者数や地方試験のことを考えると、1週間程度日程を前倒ししたところで、面接や集団討論を入れるのは無理。共通テストを一次選抜として人数を絞り込んだうえで面接を実施することは考えられるが、共通テストの成績提供が今より遅くなるのでこれも難しい」と説明。「私立大学がやれるのは、調査書等の書類審査を経て筆記試験に一部、記述式を入れる程度だろう」。
 確定した実施方針ではこのほか、①共通テストの英語は2023年度まで、外部検定試験と共通テスト独自の英語の試験を併存させる、②「大学入学共通テスト」「高校生のための学びの基礎診断」等が正式名称として確定―が、5月の案からの変更となった。


*文科省による入試改革関連の記事はこちら

入試への活用は検討を先送り-高校生の基礎学力診断
/hu/2017/07/kisoshindan01.html

2023年度までは外部検定と共通テストの英語が併存-実施方針決まる
/hu/2017/07/kyotsutest02.html

新共通テストの案に私大連盟が「利用できない可能性も」との意見書
/hu/2017/06/shidairen-nyushi.html

新共通テスト検討会議で「このテストのみでの測定は難しい」と確認
/hu/2017/05/kyotsutest01.html

文科省が入試改革方針案を公表-推薦・AOでも知識・技能を評価
/hu/2017/05/setsuzokukaikaku.html